真・女神転生square root   作:長月 海里

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やることにやる気が反比例することが多すぎて就活大変だなと思います。


人造半魔事件
学者の講義


「よう、こんばんは。」

 只今深夜10時過ぎ。約束通り夕べと同じ場所のいつもの道で待っていたらふっとセヲリは現れた。

「この時間に女の子1人がコート姿で電車のるとまァ〜怪しまれてね。異殻(なか)通って来たんだよ。さて。」

 念の為と人気のない路地まで入るとセヲリはアプリを起動させる。

 

 

「今日もとりあえず武器屋に行く。で…」

「イサカって人に会うんですよね?どんな人なんです?」

「学者ってあだ名の文系院生だよ。文献解読とフィールドワークが専門。」

 ジードに僕を乗せながらセヲリは答える。

「文献解読?」

「悪魔の文字とかカルトの予言書とか。色々あるわけよ。他の連中もやってるけどあいつが頭ふたつくらい抜けてる。」

 悪魔の文字読むってそれ抜けてるの実力だけじゃないんじゃないだろうか。

「リャナンシー連れてるんだよ。」

 リャナンシーって...昔漫画で見たな。

「寿命と引き換えに男の人に文学的才能を与えるって言うアレですか。」

「いや、意外とどっちでもOK。」

「なんか言いました?」

「変わり者の悪魔ってだけ。ほら行くよ。あ、あと私敬語いらないから。」

 モニョモニョ言っていたことの追求も返事もする前にリニアも真っ青な加速度でジードは走り出した。

 

 

「お邪魔しまーす。」

「失礼します…。」

 見上げるとイチモクレンが手を振っていた。振り返す。

「よぉ。上で待ってるぜ。」

 カウンターの裏に回ってちょっと言ったところの階段を登っていくと長〜い髪の美女がふわふわと浮いていた。

「あれがリャナンシー?」

「あらボウヤ、ダメよ。女の人にあれなんて言っちゃ。」

 女性の扱いがなってなくてすみません。

「こんばんはリャナンシー。」

「こんばんは。中で待ってるわよ...。」

「ど〜も。これ神田で買ってきた詩集。」

「あら、ありがとう。」

 株上げ上手いなこの人...。

「こんばんは〜。」

「おじゃまッ」

無言で読み始めたリャナンシーを傍目にドアを開けてウワサのイサカとご対面...する前に足元の紙に滑って頭からこけた。

「んぐッ!」

「イサカアンタ書き散らした紙はまとめろって何回言わせるんだよ。」

「あ〜ごめんごめん。新入り君大丈夫やった?」

 頭が大分大丈夫じゃないです。

ひっくり返って見上げたイサカは学者のあだ名の割にもやしやオタクな感じもマッドな感じもない普通の人だった(清潔感あるジーパンに麻シャツメガネだったし)。でも異殻(ここ)の人である分普通じゃないんだろうな...。

 

 

「そいで?このセヲリのお弟子君に異殻とサマナーのイロハを教えてほしいってわけやな。」

「私じゃ順番に教えるのも理解させるのも限界があってここなら資料も多いしいざとなったらアンタの助手に出来るし...。」

 押し付け狙ってんじゃないすかお師匠。

「心配せんともやること変わらんからそんなショックな顔せんでええんやで。やりたきゃ一通りやってから頼むわ〜。...さて。異殻の構造やら何やらは必要なしでサマナーとしてはまずはこれやな。」

 バサッと東京全体が描かれた大きな地図を出してきた。

 

 

色々なところにマーカーが引いてある。

「最低限覚えなあかんのは、まず東京の勢力図とか危険エリアやな。異殻自体は地球全部覆っとるけど今んとこは知らんともええやろ。」

「えっ地球全部?」

「海外旅行でふざけてアプリ使ったら入れたんだってさ。英米中仏伊豪南極...まァここまで行ったら全域だろうってなったわけ。入んなきゃいいのよ。入らなきゃ。」

 誰だよ南極行ったやつ。

1人資料の山となっている本棚から漁って読書をしていたセヲリが代わりに答えたがなんか顔が渋そうだ。

「で、まず千代田区、新宿、あと墨田。ここ行っちゃダメな。」

 マーカーで真っ赤になった3箇所を指差す。

千代田と墨田って超隣じゃん。

「気持ちはわかるで。新宿はガイア教、墨田はメシア教の本拠地でな。人間が一番怖いエリアなんさ。わかる?ガイア教とメシア教。」

「ガイアースなら昨日私がクソバイク潰してきた。」

「そりゃお疲れ。ガイア教は自由と混沌。メシア教は法と秩序を教義にするカルトなんさ。詳しいことはまた今度な。今は触るな危険のカルトでいいから。で、千代田区。ここはとにかく危険な悪魔がうじゃうじゃおるん。もうマジでうんざりするくらい。」

 うじゃうじゃ...。

「特に霞ヶ関はヤバいで。な〜セヲリ。」

「二度と御免。」

 セヲリにここまで言わせる霞ヶ関のなんかヤバいのは相当らしい。

「とにかく寄らないこと。行っても誰も絶対助けてくれへんからな。入ってしもたらすぐ現実帰ること。死ぬよりはマシやから。...で、どこになんで行ったらいかんかわかった?」

「新宿、墨田はカルト、千代田は悪魔がとにかく危険ですよね。」

「そう。で、今度はここ。何があるかわかる?」

 と、今度は水色で囲まれた台東、武蔵野、港区、江東の一角を指差す。

ここ遠足で行ったことあるな。

「公園ですか?」

「地理勉強しとって偉いな。正確には恩賜公園。ここは話のわかる悪魔と協定結んであるから何もせんだら安全地帯。イタズラくらいはあるかもしれんけど。」

 悪魔と協定...。

「協定なんか組めるん?ッてなるやろけど意外と行けるもんなんさな。ほら、セヲリ悪魔使ってここ来たり戦ったりしとったやろ?それって大体悪魔と交渉して仲魔になってもろてやっとんのさ。」




イサカ:『学者』、『三闘火神』
文系の大学院生。西日本出身。
武器屋の3階を拠点に異殻の各調査を行なっている。
自身とよく似た名前のショットガン愛用者。
説明上手で穏やかに見えるが、かつてはスラムファイアによる無茶苦茶な戦闘から『ファイアーウォール』のあだ名がついていた。

リャナンシー
イサカの仲魔の一体。
イサカに惚れているようだが、その理由は大変悪魔的。
リャナンシーの中でもかなりの変わり者らしい。







リャナンシー:妖精の恋人。アイルランドに伝わる美しい妖精で、気に入った男性に憑き、詩歌の才能と引き換えに寿命を啜る。
その為、アイルランドの名だたる芸術家は皆短命というが、相手が愛に応じなければ応じられるまで懸命に尽くし、また求める男性以外からはその姿は見えない等、非常に一途な面を持つ。

異殻東京勢力図・危険地帯
墨田区、スカイツリー周辺はメシア教、新宿区、駅周辺はガイア教が強い権勢を持っている。これは天や世界に声を届ける為、新宿駅という混沌とした要塞と法から半ばはみ出た人々が多くいたという名残り等、それぞれの理由があるらしい。サマナー達は余程理由があるか攻め込む時以外は近寄らない。
また、千代田、特に霞ヶ関は議事堂という日本の思想、感情等人々のエネルギーであるマグネタイトが大量に集まる場所が存在するため、マグネタイトを多く必要とする強力な悪魔達が集まっており易々と近寄れる場所ではなくなっている。

異殻東京勢力図・セーフエリア
恩賜公園各地は温厚、あるいは理性的な悪魔達の住処となっており、協定によりこちらから手を出さなければ休息や悪魔達との交流が可能となっている。
特に上野では妖精達が最大の勢力を築いており、妖精王と妖精女王が種族を率いている。
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