ヤンデレちゃんとメンヘラちゃん   作:昼間ネル

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通学途中、駅で困っている女の子に声を掛けたあなた。聞けば彼女は目が見えない様だった。彼女を放っておけなかったあなたは、何かと手助けする様になる。
そんなあなたに心を許した彼女は、あなたの顔を見たいが為に目の手術を受ける事を決める。
数日後、再会した彼女は…

※その時、彼女に電撃走る!
悪魔的…圧倒的閃き…!!


盲目の彼女

「あっ、すみません…どこ…どこなの…」

 

「きゃっ…すみません、急に肩を掴まれたので、びっくりして…」

 

「これを探してるのか…あの、それ、もしかして杖ですか?」

 

「はい、そうです。私、目が見えないので…」

 

「駅の人混みにぶっかって杖を落としてしまって。ありがとうございます。それじゃ…」

 

「はい、何でしょう…そうです、電車に乗るつもりです。カードがあるのでお金は大丈夫です。階段は…少し不安ですが…」

 

「え…途中まで…?それは嬉しいですが…あなたも用事があるのでは…」

 

「確かに…人混みが怖いですが…」

 

「…」

 

「では、お言葉に甘えて…お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…ありがとうございます。こんなにスムーズに電車に乗れたのは久しぶりです」

 

「この後ですか?三つ程先の駅で降ります。そこの盲学校に通っているんです」

 

「うふふ、ご心配なく。一人で行けますよ。2年も通っていますから。それこそ目を瞑っても行けます。なんて♪」

 

「あの…あなたは大丈夫なんですか?私に付き添ってくれるのは嬉しいですが、何か予定があるのでは?」

 

「…そうですか。大学が同じ方角なんですね。良かった」

 

「大学ですか…きっと楽しいんでしょうね…」

 

「いえ、何でもありません。はい、助けて頂いてありがとうございました。それでは…」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ…困ったわ。何でしょう…あの、もしかして昨日の方ですか?」

 

「ふふっ、違いますよ。見えている訳じゃありません。声を覚えていたんです。昨日、駅で誘導して下さった方ですよね」

 

「駅の真ん中で何してるのか…ですか。お恥ずかしい話ですが…ICカードの残高が無いようで…いえ、お金は持っているんですが、発券機のボタンが…」

 

「代わりに…はい、お願いします。財布は…この中から取って下さい」

 

 

 

 

 

 

 

「一時はどうなるかと…お金は持っていても文字が見えないので切符を買うのも困難ですし…おまけにカードのチャージまでして頂いて、本当に助かりました」

 

「こうして会うのも何かの縁ですね。あの、宜しければ名前を教えて貰えませんか?…素敵な名前ですね。私は…どうして私の名前を…カードに書いてあった?」

 

「そう言えばそうでした。もし落とした時にって、名前入りにしたんでした」

 

「今日も学校ですか?今日は…買い物に。そうですか。ちょっと羨ましいです。何故って私はこんなですから、学校以外の場所に行かないんです。月に一度、母と買い物に出掛ける位です」

 

「あ、あの…私の格好、大丈夫ですか…本当ですか?変じゃないですよね。すいません、変な事聞いて。学校以外で男の人と話す事なんてないので」

 

「それ以外なら…嫌と言う程ありますが…」

 

「学校は…楽しいですか?勉強は苦手…ふふっ、私もです。でも羨ましいです。勉強したり友達と遊んでいた中学生の時が懐かしいです」

 

「はい、実は私、元から目が見えない訳じゃないんです。中学生の時に事故に遭うまでは普通に見えていたんです」

 

「それからは大変でした。友達もいなくなり、外に出るのも怖くなって…文字通り、目の前が真っ暗になりました」

 

「母の勧めで、私のような人の為の盲学校に通うようになりましたが…最初は大変でした。駅に行くだけでも、私にとっては暗い夜道を彷徨(さまよ)っているようなものですから」

 

「それに…何とか学校に通えるようになっても、別の悩みが増えて…」

 

「ふふっ、違いますよ。恋愛関係の悩みではありません。私みたいな手の掛かる女と付き合いたい男の人なんていませんよ」

 

「…かわいい…私が…ですか?ありがとうございます。例えお世辞でも嬉しいです」

 

「お世話じゃ…ない?ふふっ♪そうですか。私、かわいいんですね。あなたは…失礼しますね」

 

「ふん…ふむふむ…なるほど…」

 

「急に顔を触ってびっくりしました?こうすると大体の輪郭は判るんです。あなたもとってもカッコいいと思いますよ。あ、顎の下にお髭の剃り残しがありましたよ」

 

「…」

 

「あの…少しだけお時間頂けますか。もし、お急ぎでなければ話を聞いて欲しいんです…」

 

 

 

 

 

 

 

「せっかくのお休みに時間を割いて頂いて、申し訳ありません。実は…あなたに頼みたい事があるんです」

 

「私の…ボディガードになってくれませんか…?いきなりで驚きますよね。理由をお話しします」

 

「実は…私、よく痴漢に遭うんです」

 

「盲学校に通うようになってからなんですが、電車や通り道で…その、胸やお尻を触られるんです…」

 

「最初は私も気の所為だと思いました。でも、私が目が見えない所為か、何度も狙われてるみたいなんです」

 

「以前も学校の帰り道で、急に抱き着かれた事がありました。その時は人が通り掛かって事無きを得ましたが…」

 

「誰かに助けを求めれば良いと思うでしょうが…無理です…怖いんです。唯でさえ目が見えないのに、男の人に力づくで抵抗されたら私には為す術がありません」

 

「仮に捕まえたとしても、私は相手の顔が判りませんから、違うと言われたらそれまでです」

 

「それにボディガードと言っても、私に付き添って頂ければ良いだけです。もちろんタダでとは言いません。あ、違います。お金は払えませんが、その代わり…」

 

「私の事を…好きにして貰って構いません」

 

「…はい、そういう意味です。私に出来るお礼は、この位しかありませんから…」

 

「矛盾してると思うでしょうが、信頼出来る方に触れられるなら嫌じゃありません。それに…私も人並みに興味はありますから。ほら、触ってみて下さい。私、胸は大きい方だと思うんです」

 

「あなたの優しさに漬け込むようで申し訳ないですが…誰にでも頼める事じゃないんです。もし…お望みでしたら…今からでも構いません。どうでしょうか…?」

 

「…」

 

「本当ですか?では早速、明日からお願いしたいのですが…」

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…いつもは学校に行くだけで1時間は掛かるのに。付き添ってくれる人がいるだけで、こうも変わるものですね」

 

「それに…電車の中でも、あなたが側に居てくれるので、とても心強いです。本当にありがとうございます」

 

「毎日付き添えない…?大丈夫です。例え週に2〜3回だけでも、今日はあなたが着いて来てくれると思うだけで、どれだけ心強いか」

 

「それと…本当にお礼はいいんですか?もし我慢しているようでしたら遠慮しないで下さいね」

 

「誤解しないで下さいね?別に誘ってる訳ではないんです。ですが、こう…あまりに何もないと…女として見られてないんじゃないかと…やっぱり私が相手では、そんな気になりませんか?」

 

「…そうですよね。こんな目が不自由なだけでも手が掛かるのに、地味で色気の欠片もない女じゃ…」

 

「新しいのを買えば良い…と言われても、買い物に行く事も出来ませ…一緒に行って探せばいい…?あの、それって…」

 

「私と…一緒に買い物に行ってくれるって事ですか?」

 

「かわいい服着てくれた方が…一緒にいて楽しいですか。うふふ♪ですよね」

 

「私も誰に見せる訳でもないので一切気にしませんでしたが、やっぱり女の子らしい服、着てみたいです。それに…」

 

「見せる人がいた方が、こっちも張り合いがありますからね」

 

「でも…本当に良いんですか…私、本当に迷惑掛けますよ?それでも私をデートに誘ってくれるんですか…もう慣れた?…素直に喜べないのは何故かしら…」

 

「…はい、喜んで。それでは日曜日、楽しみにしています」

 

「ちなみに、あなたはどんなのが好きなんですか?」

 

「…」

 

「やっぱり母と一緒に行こうかな…」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…もしかして…ああ良かった。来てくれたんですね。ほら、私、あなたが目の前に居ても判らないので、声を掛けてくれるまで不安だったんですよ」

 

「いつもと違う…?はい、実は化粧してるんです。変じゃないですか?」

 

「それでですね…その…どうでしょう、私の服装…本当ですか?あ、ありがとうございます」

 

「実は化粧もこの服も母に選んで貰ったんです。その…あなたが学校まで付き添ってくれる事、母に話してしまったんです。もちろん、お礼の事は言ってませんから、ご心配なく」

 

「私、てっきり反対されると思ったんですが、むしろ歓迎されてしまって…この服も今日の為に買い揃えてくれたんです」

 

「…あ、あの…そこに居ますよね?何か言ってくれないと、何処に居るのか…え…?」

 

「…見惚れてた…私に…ですか?それは褒め過ぎですよ…そんな事…///」

 

「違うんです。嬉しくない訳じゃないんです。そう言って貰えて、とても嬉しいです。この気持ち、もう少し後に取っておきたかったから…」

 

「杖…ですか。はい、せっかくの雰囲気が台無しになるから今日は持っていくなと母が。ふふっ、意味解りませんか?」

 

「こういう事です。私と腕を組んで歩くのは、嫌ですか?」

 

「…胸が当たってる?ウフフ…当ててるんですよ❤フフッ♪一度このセリフ言ってみたかったんです。どうです?少しは私の事、女として意識して貰えます?ありがとうございます♪」

 

「でも、それは私も同じです。ほら…私の鼓動、聞こえます?」

 

「今日はエスコート、お願いしますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もうそんな時間ですか?そうですか…楽しい時間はあっという間に過ぎちゃいますね」

 

「あの…あなたはどうでしたか?私の世話で大変だったと思いますが…本当ですか?ふふっ、嬉しいです」

 

「もう帰ろう…?そ、そうですね…」

 

「…あ、そうだ。帰りにこれを渡せって母に言われてました。多分、お礼って事でしょう。えっと…これです」

 

「…あの、どうしました?それですか、確か商品券だと言ってましたが」

 

「…ホテルの…無料宿泊券?」

 

「…」

 

「母には…私の気持ちが見抜かれていたのかもしれませんね。あの…この後、何か予定ありますか?もし、なければ…」

 

「もう少し…一緒にいたいです…」

 

「これは、お礼とかじゃなくて、私の気持ちです。私、あなたの事は信頼してますから…あなたになら何をされても構いません…」

 

「前に切符が買えなくて困っていた事があったでしょう。実はあれ、わざとなんです。あの場所に居れば、またあなたに会えるんじゃないかと思って、ずっとあの場所に居たんです」

 

「そうしたら、あなたはやっぱり来てくれた。あの時の私の気持ち、解りますか?」

 

「あの時、私がどれだけ嬉しかったか。まるで暗闇に光が差したように…」

 

「あなたは私の事なんて、目が見えない可哀そうな子程度にしか思っていないかもしれません。でも、私にとってあなたは光そのものなんです」

 

「お願いです…もし少しでも、私の事を女として見れるなら…あなたの時間を…私に下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、今日も付き添い、ありがとうございます。実はですね、今日は、あなたにお伝えする事があるんです」

 

「実は私、目の手術を受ける事にしたんです」

 

「前から話は出ていたんですが、ずっと断っていました。だって辛いじゃないですか。せっかく治るって期待して、失敗しましたなんて言われたら…」

 

「どうして私が手術を受けてみようって思ったか…解りますか?」

 

「それはあなたです。もし手術が成功すれば、あなたの顔が見れるじゃないですか。それが嬉しいんです」

 

「そんなにイケメンじゃない…うふふ♪あなたがどんな顔をしていようが、私は気にしません。私は、私が好きになった人の顔が見たいんです」

 

「はい…あなたが好きだって言いました。ああ、大丈夫です。あなたの気持ちも気付いてますから」

 

「あなたの好きは愛情じゃなく、同情だって事…」

 

「私はあなたを男性として見ています。でも、あなたは違う。あなたは私の事を女としてではなく、唯の弱者として見ている事…恋愛感情ではなく同情から私に付き合ってるんですよね」

 

「隠さなくてもいいですよ。私が好きなんだから当然あなたも私の事が好きだなんて、そこまで自惚(うぬぼ)れていませんよ」

 

「この事を、あなたに報告したのは…怖かったからなんです」

 

「手術が…いいえ、手術は怖くはありません。もし手術が上手く行ったら…あなたは自分は必要ないからって、私に会ってくれなくなると思ったからです」

 

「正直に答えて下さい。もし私の目が見えるようになって、私があなたに付き合って欲しいって言ったら…私と付き合ってくれますか?」

 

「…」

 

「返事がないのは…ノーってことですよね?謝らないで下さい。謝らなくちゃいけないのは私の方ですよ。いつもお世話になってるだけでも感謝しなくちゃいけないのに。それに…」

 

「それならそれで…」

 

「いえ…何でもありません。一週間後、もう一度ここに来てくれますか?手術が成功しても失敗しても、あなたには報告したいんです」

 

「大丈夫です。私はきっと上手く行くって信じてます。きっと、あなたの顔を見る事が出来るって。だから、あなたも信じて下さい。きっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達、これからも上手くやっていけるって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、良かった。来てくれたんですね」

 

「どうして分かったか…?ふふっ、お察しの通りです。手術、成功したんです」

 

「と言っても、まだ半分ボヤけて見えるし、一日何回か薬を飲まなきゃいけないんですけどね。でも…」

 

「やっと…やっと会えた…」

 

「これが…私が夢にまで見たあなたの顔…カッコ悪い?ううん、そんな事ない。あなたは本当にカッコいいです。少なくとも私には世界中の誰よりも輝いて見える…」

 

「嬉しい…本当に嬉しい。目が見えた事より、あなたの顔が見れた事の方が私は嬉しいの…」

 

「グスッ…あ、ごめんなさい。あまりに嬉しくて抱き着いちゃった。それとね、今日は聞きたい事があるの」

 

「前にも聞いたけど、もし私の目が見えるようになったら、もう私とは会ってくれなくなるんじゃないかって…」

 

「友達としてなら会える?ありがとう。でもね、私こう見えて結構欲張りなの」

 

「あなたが私以外の女に微笑んだり、その手で私以外の女の体に触ったりするのかと思うと…目の前がね、真っ暗になるの」

 

「もう一度、確認するけど…もし私の手術が上手く行かなかったら、これからも私に会ってくれるつもりだったのよね?」

 

「ふふっ、ありがとう。その言葉を聞いて私も安心したわ。ちょっと待ってね。そろそろ薬の時間だから。えっと…あっ」

 

「ああ、ごめんなさい。はっきり見えないから落としちゃった。あ、大丈夫。拾わなくてもいいの。最初からこうするつもりだったから」

 

「何してるって…持ってる薬、全部捨ててるの。今日の分は一度も飲んでないから、そろそろ目が霞んできたわ。でも最後にもう一度あなたの顔を見せて」

 

「…もう大丈夫。絶対に…絶対に忘れない…魂に刻んだから」

 

「何を言ってるのか解らない…?じゃあ、こうすれば…」

 

「解る…ッッ!?」

 

《ガリッ!!》

 

「ぐうっ!あううっ!!ああっ…ハァ…ハァ…」

 

「だ、大丈夫…くっ…まだ痛いけど平気。何をしてるって…見て解らない?目を傷付けたの」

 

「何でこんな事をって…あなた、さっき言ったじゃない。もし、私の目が見えなければ、これからも一緒に居てくれるって」

 

「でも一度だけ…どうしても、あなたの顔を見ておきたかった。だから私は手術を受けたの。その望みも叶った。もう何の悔いもないわ」

 

「あなたの私に対する気持ちが同情でも良い。例え同情でも、それで私の側に居てくれるなら私はそれでも構わない」

 

「ねえ…見て。これで私、また暗闇に戻っちゃったわ。これじゃあなたの助け無しじゃ何も出来ないわ…」

 

「ねえ…どこに居るの?ああっ!捕まえた!この手…この手でまた私に触れて…私を導いて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また…私の光になってくれるわよね…?」

 

 




かたわ少女って海外の同人ゲームで視覚障害のあるキャラを見て、この設定で話作れないかなと思って考えた話です。あまり重くならないように心掛けたつもりですが…因みにそのゲームでは華子ってキャラが一番好きです。

※遅れましたが、みみみこさんに3作品演じて頂きました。自分の作品に声が吹き込まれるのは不思議な感覚ですね。本当にありがとうございます。




今日のお友達

斉藤 恵理 盲学校に通う女の子。18歳。かなり達観している所があり、年の割に落ち着きがある。趣味はラジオを聴く事。主人公の顔は…ギリ合格点。元キャラはかたわ少女の砂藤リリー。
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