しかし、誘拐された社長令嬢は何故かあなたに協力的で…
※誘拐 解放っ! 誘拐っ!
「ねえ…目隠しだけでも取ってくれないかな。前が見えないから歩きにくくて…ありがとう」
「この部屋で暮せば良いの?オッケー。お風呂は…我慢するけどトイレは…どうかした?」
「状況分かってるのか…?うん、分かってるよ。あたし、誘拐されたんだよね。学校帰りにキミに拉致されて、身代金が手に入るまではここで暮せば良いんだよね?」
「怖くないのか…?ああ、それで驚いてるのか。そうだよね。助けて〜、家に帰して〜♪ふふっ、こっちの方が良かったかニャ?」
「実はあたし、こうやって誘拐されるの初めてじゃないんだよね」
「ほら、あたしのパパって人に恨まれるタイプでしょ?パパの所為で仕事を失ったり破産した人は何人もいるから。中には自殺した人もね」
「だからパパに恨みを持つ人に誘拐されるの一度や二度じゃないんだよね〜」
「キミはパパに何をされたの?キミもパパに恨みを持っているから、あたしを誘拐したんだよね」
「ふ〜ん…パパに濡れ衣を着せられて逮捕されそうに…それは大変だったね」
「そうだ!あたしも手伝うよ!一緒にパパから身代金いっぱい
「あたし、パパの弱みや警察の捜査についても結構詳しいんだ。だから一緒にパパをギャフンって言わせてやろう?ふふふ、面白くなってきた〜♪」
「お帰り。あ、服買ってきてくれたんだね。うん、ジャージで良いよ〜、誰かに会う訳じゃないし」
「あとさ、そろそろ手足の拘束解いてくれないかな?…うんうん、言いたい事は分かるよ、あたしが逃げるって思ってるんだよね」
「でもトイレの時に何かと不便なんだよね。トイレ汚しちゃっても、掃除するのキミでしょ?」
「手だけ…?いいよいいよ、大丈夫!
「…家に帰りたくないのか?う〜ん、そうだね、正直言うと帰りたくないんだよね。変?まあ、そう思うのが普通だよね〜」
「ネグレクトって知ってる?いわゆる育児放棄ってやつ。あたし、それだったのよね。別に虐待されてたとかじゃないよ、特に不自由はなかったし」
「何の不自由もない、その代わり誰にも必要とされない…あたし、何で生きてるんだろうって毎日思ってた」
「そんなある日、キミみたいにパパに恨みを持つ人に誘拐されたの。犯人はすぐに捕まったけど、それからも何度か誘拐されたんだ〜」
「誘拐された時は怖かったし、時には殴られたり、もっと酷い事…そうそう、エッチな事もされたな〜」
「でもね、あたし心のどこかで、それを楽しんでたの。初めて自分が必要とされたみたいで嬉しくて。我ながら変だな〜って思うけどね、ニャハハ♪」
「あ、そんな可哀そうって思わなくてもいいって!別に同情して欲しかった訳じゃ…あ、あれ…あたし、どうして泣いてるんだろ?あれ…あれ?」
「ご、ゴメンね。変な空気にしちゃって。あ、そうだ!お詫びっていう訳じゃないけどさ」
「…抜いてあげよっか?どういう意味って…そういう意味だよ。大丈夫、あたし初めてじゃないから遠慮しなくていいよ〜」
「パパの事でムシャクシャしてるんでしょ?あたしで
「…どうする?」
「たっだいま〜…あれ、居ないの〜?大事な人質が帰りましたよ〜っと…わっ、びっくりした!何でそんな所に隠れてるの?」
「…え?服が汚れて…あっ、な、何でもないよ!急いでたから転んじゃって…そ、そんな事より!」
「これ頼まれてた物。家にあるパパのパソコンから情報抜き取ってきたよ。どう?あたし優秀っしょ?」
「ううん、思ったより楽勝だったよ。まさか誘拐されたあたしが忍び込むなんて思ってないから、警備もしてなかったし」
「でも、あなたも相当変ってるよね〜。まさか本当に家に行く許可くれるとは思わなかったよ。もし帰って来なかったらどうするつもりだったの?」
「そりゃ、家に忍び込もうかって言ったのはあたしだけど、半分冗談だったのに。もしあたしが警察に駆け込んだら、キミ終わりだったよ?」
「…絶対裏切らないって信じてた?何でそんな事分かるの?う、うん。手枷取った後、キミが鍵掛けないで出かけてたのは気付いてたけど…」
「逃げないか確認したの?もしかして警察連れて来たって思った?あ、それでさっき隠れてたの?ひっど〜い、全然信じてないじゃん!」
「わざわざ戻ってくるあたしも変だと思うけどさ、どうして戻って来たと思う?あたしさ、これでもキミに同情してるんだよ。そう思ったから、キミの計画が上手く行く様に協力してるんだから」
「それに、キミとっても優しいから、あたしに酷い事しないって信用してるし。現にあたしから誘っても我慢してくれたでしょ?」
「それでね、あたしからも相談なんだけど、身代金手に入ったら、暫くは遊んで暮らせるでしょ?だったらさ…」
「あたしと一緒に逃げない?」
「冗談じゃないよ〜。家に帰っても、何度誘拐されるんだって怒られるだけだし。別にあたしの所為じゃないのにね〜」
「さっきも言ったけど、キミとっても優しいからさ。乱暴な事しないし、手枷取ってって言ったら取ってくれるし」
「一番嬉しかったのは、パパとあたしを別の人間として扱ってくれた事。今まではパパが憎いから、あたしも憎いなんて人ばっかだったからさ」
「…ダメ?」
「う〜ん、一応理由聞いていいかな。どうしてダメなのかな?」
「キミは…手に入れたお金で人生やり直して…あたしはまだ学生だから…学校くらいは卒業しておいた方が良い…?」
「そっか…こんな時でも、あたしの将来心配してくれるんだ。でも、それって半分は建前でしょ?」
「本音はあたしが裏切るとか、足手まといになるからでしょ?うん、実際そうかもしれないね。でも、あたしを傷付けない様にしたんでしょ?」
「そういう所も…どうしたの、メール?もしかして、身代金の準備できたのかな?」
「…パパが…殺された…?」
「…」
「そう…」
「う、うん。驚いてるよ。確かにショックだけど…あれだけ恨まれてたし、誰かに刺されるのも時間の問題だと思ってたから…」
「それでこの後どうするの?予定通り、身代金を受け取ったら私が居る場所を警察に教えて…暫くは身を隠す…と」
「キミとは今日でお別れ?そっか…」
「変な言い方だけど、キミに監禁されて、とっても楽しかったよ。さよなら、またね」
「…ん?あ、そうだね。もう会う事はないんだよね。うんうん、気にしないで。こっちの勘違いだから。そう、勘違い…」
「キミのね…」
「あぁ、暴れないで、すぐに手枷取るから!もう、丁寧にって言ったのに…あうっ!」
「く、苦し…話すから…離し…」
「かはっ!ゲホッ…」
「まずは、お久しぶりだね。1ヶ月振りかな?どう、元気だった?」
「そ、そんな怖い顔しないでよ。全部キミの為なんだから。それなのに、そんなに睨まれたらあたしも悲しいよ。シクシク」
「うん、キミを誘拐した理由と、隣で縛られてる男の人は誰かって事だよね。まずはキミを誘拐した理由だけど…」
「そう、キミ、パパを殺した犯人として指名手配されてるでしょ?だから、あたしが警察より先に見つけ出して保護したの。探すの苦労したんだよ〜、褒めて欲しいニャ❤」
「うんうん、そうだよね〜。あたしと一緒に居たキミにパパを殺せる訳ないもんね。でも、警察は犯人はキミだと思ってるよ」
「…あ、やっぱり気付いてた?うん、そうだよ。パパを殺したの、あたし♪家に忍び込んだ時に、パパ寝てたからチャンスだって思って」
「でも、どうしてあたしが犯人って判ったの?」
「帰って来た時、服が汚れて…死因を言ってないのに殺されたって…あ〜、うっかり口を滑らせちゃったか〜。ま、どうでもいいじゃん、そんな事」
「え…パパを殺した理由…?キミと一緒に居たいからだよ。それにパパの事は前から嫌いだったし」
「あたしね、キミに監禁されてた3日間、凄く楽しかったの!今まで生きてきた中で、こんなに楽しいって思ったことなかったよ」
「最初はキミに同情してただけだった。でも、キミと過ごしてる内にもっと一緒に居たいって思う様になって…キミになら一生監禁されても良いってくらいに!」
「今ね、パパの会社、実質あたしの会社なんだ。パパの持ってる株、あたしが相続した事になってるから」
「あたしを外に出しちゃったのは間違いだったね。その時に思い付いたんだ、パパを殺して会社を乗っ取って、キミに濡れ衣を着せようって」
「納得いかないって顔してるね〜。まあ気持ちは分かるよ。もし、キミが望むなら…今すぐにでも解放してあげるけど…」
「考えてみて?キミ、誘拐犯だし今は殺人犯でもあるんだよ?一生こそこそ逃げ回るつもり?」
「そこで、その男の人の出番って訳。この人には全部の罪を背負って自殺して貰いま〜す♪」
「この人、キミと同じでパパに恨み持ってるの。パパを告発しようとしたとかで、家族が謎の事故に遭ったんだって。可哀そう…」
「だから、誘拐もパパを殺したのも全部この人がやった事にして、自殺して貰うの!キミは無罪放免、この人は天国の家族に会いに行ける…Win-Winってヤツだね。あたし頭い〜♪」
「ね?あたし、このくらいだったら、簡単に揉み消せる力あるんだよ。だから…ね…」
「一生あたしの側に…居てくれるよね…」
誘拐した子に懐かれたら面白いなって思って考えました。補足として、彼女のパパはヤミ金融みたいな事してます。少し怖い人達とも繋がりがある様で、誘拐された男は翌日遺書を残して飛び降り自殺してます。
今日のお友達
市ノ瀬 美希 やや裕福な家庭に生まれた女の子。いわゆるお嬢様として扱われていた為、乱暴に扱われる事に興奮する。父親の所為で何度か誘拐されているが、それを楽しんでいる節がある。イメージキャラはアイマスの一ノ瀬志希。