ヤンデレちゃんとメンヘラちゃん   作:昼間ネル

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あなたは武家の次期頭領。そんなあなたに付き従う一人の女。戦で家族を失った彼女は、あなたの父に拾われ世話係兼護衛として共に成長する。
彼女もあなたを実の弟の様に可愛がるが、いつしか一人の男として見る様に。身分違いの恋と自分を戒める彼女だったが、ある事をきっかけに暴走し始め…

※年上のお姉さんに守られたい人にお勧め。



SF、ファンタジー
次期頭領のあなたに仕える従者


「お館様(やかたさま)の命により、今日より若様のお世話をさせて頂きます、(つる)と申します。若様が立派な次期頭領になるまで、誠心誠意お仕え致しまする」

 

「…年ですか?若様より五つ程上の拾五で御座います。むっ、笑いましたね?こう見えても剣術には多少の覚えがあります。試してみますか?」

 

「一本!どうです?鶴は(つよ)う御座いましょう?若様に不埒な輩が近付いても、この鶴が必ずお守りして…もう一度…で御座いますか?」

 

「ふふふ、若様は負けず嫌いですね。それでこそ武士というもの。構いませんよ、何度でも付き合いまする。いざ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…鶴の事で御座いますか?ふふ、構いませんよ。私も若様には鶴の事を知って欲しゅう御座いますから」

 

「鶴の家は、若様のお父君に当たるお館様にお仕えする家来でした。ですが、先の戦で鶴の父は…討ち死にしました。いえ、主君の為に死ぬるは臣下の(ほまれ)。若様が悲しむ事はありませぬ」

 

「母も元々病弱な為、跡を追う様に亡くなり、鶴は一人になってしまいました」

 

「本来なら鶴は野垂れ死ぬ筈でした。ですが、そんな鶴を不憫に思ったお館様が、若様の従者として引き取ると言って下さったのです。お館様には感謝してもしきれませぬ」

 

「この上は若様にお仕えし、亡き父上の様に命を懸けて若様をお守り致しまする。それが鶴の恩返しで御座います」

 

「え…(はた)を織らないのか…?もう!若様、鶴は人間で御座いますよ。決して飛んで行ったりはしませぬから安心して下さい」

 

「ですが…決して夜中に鶴の部屋を覗いてはいけませんよ?」

 

「何故…?鶴の本当の姿を見られたら、ここには居られませぬ…いいですね?」

 

 

 

 

 

 

「…で、ついつい覗いてしまったと。昼間のは冗談で御座います。この様な夜更けに()()()の部屋に来るのは、あまり感心致しませぬ。若様には…まだ早いかと…」

 

「な、何でも御座いませぬ!別に顔が赤くなどなっておりませぬ!これ以上騒ぐ様なら、お館様に言いつけますよ?」

 

「…それとも、鶴と一緒に寝ますか?朝まで鶴が、ぎゅ〜っ…としてあげまする」

 

「フフフ、今度は若様が真っ赤っかで御座いまする♪」

 

「はい、お休みなさいませ」

 

 

 

 

 

ちょっと残念…

はしたないわ鶴、若様に対して何と不埒な事を…

いけない、反省しないと…でも…

 

顔を真っ赤にした若様、とっても可愛かったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

「えい!やっ!…あっ!ま、参りました…」

 

「お見事です。こんなに強くなられて…もう鶴では敵いませぬ。ふふ、若様の成長は嬉しゅう御座いますが、少し寂しゅう御座いますね」

 

「…そうですね。若様にお仕えして、もう五年。もう鶴と同じ背丈で御座いますね」

 

 

 

はぁ…若様。こんなに大きくなられて…。少し大人びたとはいえ、まだまだ、あどけなさを残すその面持(おもも)ち。

ああ…そんな爽やかな笑顔を見せられては、鶴は、どうにかなってしまいまする…❤

それに毎日の鍛錬で引き締まった身体、筋骨逞しい二の腕…

はあっ…❤あんな腕で掴まれたら、鶴は…鶴は抵抗出来ませぬ…❤

 

 

 

「…はっ!す、すみませぬ!少し考え事を…えっ…胸元が…見え…若様!見てはなりませぬ!めっ!で御座いますよ!」

 

「それに…こんなサラシを巻いた胸など見ても面白くもないでしょうに…」

 

「それとも、若様は、まだ母君の乳が恋しゅう御座いますか?」

 

「若様は、いずれはこの家を継ぐ御方。その様な女々しき事では、臣下に示しが付きませぬ」

 

「その意気です…ですが、辛い時は鶴に言って下さりませ。鶴は、どんな時でも若様の味方です」

 

「鶴にだけは…甘えても良いのですよ…」

 

 

 

 

 

 

 

あら、珍しく元気がないですね。どうしたのかしら…

 

「若様、どうかなさいましたか?…お館様が、若様を…?」

 

昨日の軍議の事ね。流石に皆の前で怒鳴られて、悔しかったのね。

 

「お館様は、若様に立派な跡継ぎになって欲しいのです。決して若様の事が嫌いな訳ではありませぬ」

 

「本当で御座います。鶴が今まで嘘を言った事が御座いましたか?」

 

「恩返し…もう、あれは冗談と言ったでしょう。あまり細かい事に(こだわ)る殿方は、おなごに嫌われまするぞ」

 

「鶴は…ふふっ、大丈夫です。例えどんな若様でも、鶴は好きで御座いますよ。ですが、叱られた程度でいじける若様は嫌いで御座ります」

 

「その意気で御座います。ほら、おいでなさいませ。辛い時は、こうして鶴が抱き締めて差し上げまする。若様は強い子。どうか元気を出して下さりませ」

 

「…はい。鶴が付いておりまする」

 

 

 

 

でも、おなごの様にクヨクヨしている若様も、鶴は好きで御座いますよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「若様、今日は随分と元気で御座いますね。何か良い事でもありましたか?お館様に…褒められた。それは良う御座いましたね」

 

あの後、鶴がお館様に若様の頑張りを口添え致しましたからね。お館様も皆の前で恥を掻かせたのは、流石に不味いと思ったのでしょう。

 

「ね、鶴の申した通りで御座いましょう?お館様も皆の手前、若様を甘やかしてはいけないと思っているだけです。本心では若様の事を大事に思っていまする」

 

「当然で御座います。我が子を可愛く思わぬ親が何処に()りましょう」

 

「ですが若様は、いずれは家を継がなければ成りませぬ。敢えて厳しく接しているので御座います」

 

「若様。若様には、この鶴が居りまする。また辛い時は、こうして鶴に(おっしゃ)って下さりませ」

 

「若様の為ならば…鶴は何でも致しまする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや…どうなさいました?若様が鶴の部屋へ訪れるとは珍しゅう御座いますね」

 

「…」

 

「…今、何と…」

 

「祝言が…決まった…?」

 

「…」

 

「そ、それは、おめでとう御座います。はい、鶴も嬉しゅう御座います。同盟を結ぶ為に…隣国の姫と…」

 

「左様で御座いますか…いえ、若様も、もうすぐ拾八。妻を(めと)っても良い年で御座います」

 

「ふふ…もうそんな年なので御座いますね。鶴も年を取る訳で御座います」

 

「鶴…で御座いますか?鶴は若様にお仕えする身で御座います。嫁ぐ気は有りませぬ」

 

「鶴は一生…若様のお傍に居りまする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「若様…起きていらっしゃいますか?夜分遅くに申し訳ありませぬ。お館様から至急お連れする様にと…」

 

「はい、こちらで御座います」

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お館様はここには居りませぬ…申し訳ありませぬ、あれは嘘で御座います。ここなら…誰にも話を聞かれないと思い、お呼び致しました」

 

「わ、若様…鶴を…鶴を抱いて下さいませ」

 

「いきなり何を申すのかと、お思いでしょう。ですが、鶴は真剣で御座います」

 

「あの日、鶴と初めて会った日を若様は覚えておいででしょうか」

 

「あの日…まだ幼君で在られる若様に会った時…鶴は自分に誓ったのです。私は、この方の為に死のうと…」

 

「本当は、若様をお慕い申し上げている事は、一生、鶴の胸に閉まっておくつもりでした。ですが、若様が祝言を挙げると聞いた時…鶴は、若様が何処か遠くへ行ってしまう様な気がしたのです」

 

「鶴は、これからも若様に付き従うつもりです。ですが…ですが、今夜を逃しては鶴は一生後悔すると思い…こうして打ち明けた次第で御座います」

 

「女である鶴の口から、この様な事を申すのは、はしたないとお思いでしょう。ですが…もし鶴の事を少しでも憐れに思うならば一度だけで構いませぬ。鶴に情けを掛けて下さいませ…」

 

「…あっ!わ、若様…」

 

「はい…鶴は何処にも行きませぬ。一生お傍に居りまする…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「若様…いえ、明日からは頭領で御座いますね。お館様とお呼びしましょうか?ふふふ、そうで御座いますね。鶴も若様の方がしっくり来まする」

 

「奥方様も無事お世継ぎをお産みになり、これで当家は安泰で御座います。鶴も嬉しゅう御座います」

 

「実は…先代お館様の命により、隣国への使者の役を仰せつかりました」

 

「はい…奥方様からも手紙を届ける様にと、仰せつかっております。ふふ♪暫く鶴に会えないのは、寂しゅう御座いますか?」

 

「大丈夫で御座います。鶴は必ず帰って来まする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「只今戻りました…若様、少し宜しいですか?内密のお話が御座います」

 

「若様…奥方様とは、少し距離を置いた方が宜しいかと…」

 

「大変申し上げにくいのですが…隣国は奥方と通じて我が領地に攻め入るつもりで御座います」

 

「はい…鶴も(にわか)には信じられません。ですが、鶴は聞いてしまったのです。同盟を結び、油断しきっている今こそ攻め入る好機だと」

 

「どうやら奥方が若様と婚姻を結んだのは、当家の内情を探る為だったと思われまする」

 

「…若様、どうか怒らないで下さいませ。鶴もその様な事、信じたくはありませぬが、確かに耳にしたのです。鶴も奥方様を信じとう御座います。ですが、鶴は若様が一番大事に御座います。若様の身に危険が迫っているのを放置出来ませぬ」

 

「ゆめゆめ…油断為されませぬ様…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「若様、ご無事で御座いますか!?こちらです!」

 

「夜討ちで御座います。どうやら隣国の者が火を着けている様で御座います。先代様は、残念ながら…」

 

「奥方様も行方知れずで御座います。若様の子も居りませぬ。恐らくは奥方様の手引きかと…」

 

「だ、大丈夫で御座います!鶴が居りまする!さ、こちらへ。こちらは敵の手も手薄で御座います。何とか逃げ延びましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまで来れば安心でしょう。どうやら追手もいなくなった様です」

 

「はい…配下の者も、ほとんどが討ち取られるか、寝返ったと思われます。館も焼け落ちてしまいました」

 

「…」

 

「はい、鶴も悲しゅう御座います。もう…何も残ってはいませぬ」

 

「ですが…若様には鶴が居りまする。例え若様が頭領でなくなったとしても、鶴は決して若様を裏切ったりはしませぬ。前にも言ったではありませんか。鶴は一生、若様のお傍を離れませぬと」

 

「…その意気で御座います。生きていれば、いつかお家再興も叶いましょう」

 

「鶴は何処までも…若様に付いて行きまする…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふふふ…

こうも簡単に事が運ぶとは…

若様、申し訳ありませぬ…隣国の者を手引きしたのは奥方様ではありませぬ…鶴なので御座います。

若様がこの事を知れば、きっとお怒りになるでしょう…

ですが…ですが、これは仕方のない事なのです。

若様に鶴だけを見て貰う為には、他に方法が無かったので御座います…

 

使者として隣国へ赴いた時、奥方様の父君は我が領地を欲していると鶴は気付きました。そこで鶴は密かに内通し、屋敷を襲わせる算段を企てました。見張りの者にも眠り薬入りの酒を振る舞っておいたので、敵の手の者を手引きするのは簡単で御座いました。

そして…奥方…いえ、あの卑しい女狐は、鶴が直接殺してやったわ。

アハハハハ♪ざまあみろ!若様と鶴の間に入り込むからだ!思い知ったか!!

お前など、所詮隣国との同盟を結ぶ為の道具に過ぎないのに…あの女狐、例え政略結婚であろうと、(わらわ)は若様を愛しているなどと抜かしおって…生意気な!

赤子は例えあの女の産んだ子とはいえ、若様の子でもある。殺すのは偲びないと思ったのに、怒りに任せて手に掛けてしまったわ…

まあ、済んだ事は仕方ない…

 

それにしても…

若様…やっと…やっと、鶴と二人きりに成れましたね。

鶴は、この時をどれだけ待ったか…

若様は、お家再興を考えておいででしょう。ですが…申し訳ありませぬ、鶴はお家再興など、どうでもよう御座います。

これから若様は、追手の目に怯えながら鶴と当ての無い旅に出るので御座います。

 

そう、鶴と二人っきりで…

 

若様も、お家再興など無理だと、いつか気付くでしょう。鶴はその時まで何年でも待ちまする。

いつか…全てを諦めた時、何処か追手の手の届かない土地へ行き、鶴と、今度こそ夫婦の契を交わしましょう。

若様の子供は、鶴が何人でも産んであげまする。そしてその子達を立派に育ててみせまする。それが若様に対する償いで御座います…

 

ですから…若様…

どうか…鶴がお傍に居る事を…

 

 

 

 

お許し下さいませ…

 

 




名前でピンと来た人もいるかもしれませんが、元キャラはダンジョン飯のマイヅルです。このシチュエーションがめっちゃ好きなので設定だけお借りしました。
この話と人形使い、キャバ嬢の話をみみみこさんに台本として使って貰いました。3話連続1時間半と長めですが、良ければ聴いてみて下さい。
https://youtu.be/nDEL3fS2s1k


今日のお友達

鶴 武士の家系に生まれた為か、女の子らしい遊びより剣術が好き。若様の前ではデレッデレだが、他人にはクール系美人に映るらしい。三人姉弟の長女。下の二人は親戚に引き取られた。
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