ヤンデレちゃんとメンヘラちゃん   作:昼間ネル

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とある美少女VRゲームに熱中しているあなた。その中でもあなたはヒロインに当たるキャラクターに夢中だった。AIによってまるで感情を持っているように振る舞う彼女。彼女と交流を重ねる内に二人は互いに惹かれ合っていく。
しかし、あなたが自分に興味を失くしつつある事を知り、彼女は自分のデータが消されるのではと恐怖を覚える。消されたくない為に彼女が取った行動とは…

※Me、me、me…


ゲームの中の彼女

「あ、お帰り!待ってたよ。今日は遅かったね。確か委員会だっけ。お疲れさま」

 

「ううん、全然待ってないよ。私もテニス部だから今来たところ」

 

「スンスン…あの、私、汗臭くない…かな。その、早くあなたに会いたくて急いで帰って来たから、シャワー浴びてなくて…」

 

「もう!匂い嗅がないでよ〜。別にイヤじゃないけど、私も女の子だし…好きな人に会う時は綺麗でいたいでしょ?」

 

「それにしても…私達が知り合ってもう1ヶ月経つんだね。私にはあなたと会ったのが昨日の様…」

 

「もう、そんな事言わないで!確かに私とあなたは現実の世界と電子の世界で住む世界が違うかもしれないけど、時間の流れ方はほとんど変わらないのよ?」

 

「それに…ゲームの世界なんて言わないで欲しいかな。あなたには私がゲームのキャラクターに見えるかもしれないけど、こちら側にもあなたの世界と同じ様な世界があるのよ。それはあなたも知ってるでしょう?」

 

「そう、あなたは転校生として私の学校にやって来て、私と同じ部活に入ってくれた。時には意見の食い違いもあったけど、気が付いたら私はあなたの事を好きになってて…」

 

「だから、こうしてあなたの特別な存在になれた事が何よりも嬉しいの」

 

「え…そのセリフはプログラムなのか…?もう!違うわよ。あなたも私達ゲームのキャラクターは自分の意思で動けるのは知ってるでしょ?だから、これはプログラムなんかじゃない」

 

「これは紛れもなく私の意思…私の気持ち…」

 

「…妹さんも、私みたいだったら良かった?喧嘩ばかりで全然可愛くない?そ、それは言い過ぎじゃない?でも、そうやって喧嘩できるのも兄妹だからでしょ?私には兄妹がいないから羨ましいわ」

 

「それに…私のこの気持ちがプログラムなんて残酷過ぎない?もしこれがプログラムなら、あなたとこうして会話なんてできないわ」

 

「…疑って悪かった?ふふっ、そうそう、分かれば宜しい!なんてね、アハハッ♪」

 

「…あ、やっぱり疑われて気分悪くなっちゃったかな〜。でも、そうね…デートに連れてってくれれば機嫌直るかも。ううん、こっち側じゃなくて…」

 

「そっちの世界で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…映画、面白かったね。私、この映画ずっと観たかったの」

 

「え…ちゃんと観れたのかって?うふふ、大丈夫よ。ちゃんと観れたわ」

 

「私はゲームのキャラクター、言い換えればデータみたいな物。パソコンからあなたのスマホに私を転送すれば、私はどこにでも行ける…あなたと一緒にね」

 

「そう、それが私にとっては大事なの。あなたと一緒に行く事に意味があるの」

 

「あなたは幸せって何だろうって考えた事ある?あなたはどんな時に幸せを感じる?美味しい物を食べた時、欲しい物が手に入った時…それともテストで良い点を取れた時?」

 

「…私と話している時?ふふふ♪ありがとう、私もよ」

 

「でもね、私は幸せっていうのは、思い出を作る事だと思うの。だからこうして二人で何かをしたり、どこかに行ったりする度に私の幸せは増えていくの。それこそ宝石のようにキラキラした思い出が一つ、また一つね…」

 

「それはあなたも同じでしょ?でなきゃ、あなたの行動、説明付かないもの…何がって、あなたが何度も私のルートばかりしている事についてよ」

 

「このゲーム…って言い方はイヤだけど、私を含む4人のキャラクターの誰かを選んで親密になっていく…そして1ヶ月後のイベントで私はあなたに告白する…それでおしまい」

 

「でも、このゲームの面白い所は、その1ヶ月の間なら何度でも会えるし、好きなだけお話できる事。言うなれば寄り道ができる事」

 

「それにね、あなたは他の3人、コヨリ、ナツミ、ユミとは一切仲良くなろうとはせず、私だけを見てくれた」

 

「私、てっきり他の3人のルートはクリアしてると思って…本当はしちゃいけないんだけど、あなたのセーブデータを覗いてみたの」

 

「そうしたら、あなたは3人には目もくれず、私のルートだけを何度もやり直していた」

 

「私はそれがとても嬉しかったの。私の事をこんなにも好きになってくれるなんて…」

 

「私、どうしてゲームのキャラクターなんだろう…あなたと同じ世界に生まれていたら、もっとあなたと話せたのに…あなたと触れ合えたのに…」

 

「…」

 

「ごめんね、せっかくのデートなのに、変な話ししちゃって…」

 

「あ、話は変わるけど、このゲーム、どのくらいの人がプレイしてるか知ってる?暇な時にメーカーのサーバーを見てみたの。一体何人だと思う?」

 

「10万人だって!驚きよね。世界中で10万人の人達が、あなたと同じ様にこのゲームをプレイしているの!不思議な話よね」

 

「だってそうでしょ?10万人の人がプレイしているって事は、10万人の私が居るって事だもの!自分が10万人も居るなんて、奇妙な気分よね」

 

「ちなみにこのゲーム、クリアするとデータがサーバーに送られるのは知ってるわよね。ほとんどの人が4人全員のルートをクリアしてるけど、私のルートだけを何度もクリアしてるのは、あなただけなの」

 

「だから、私はあなたの事をこんなに特別に感じるのかな…もしかして、以前の私ともこんな会話したのかな」

 

「…そう!良かった。例え同じ私でも、あなたの特別になれたのは私だけ。ふふふ、少し嬉しいな♪」

 

「ねえ、一つお願いがあるの。もうすぐ私の告白イベントの日が来る。そうなったらゲームは終わってしまう。それは仕方ない事だけど…また最初から私のルートで遊んだりしないで欲しいの」

 

「だって、次の私は、今の私じゃないもの。それに例え自分でも、私以外の人を見て欲しくない」

 

「お願い、私のセーブデータは消さないで。そうすれば、今の私でいられるから…」

 

「…本当?その言葉、信じていいの?」

 

「うん…これからも私の側に居てね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、今日は遅かったのね。何かあった?あ、そうそう、今日学校でね…」

 

「…ねえ、さっきから(うわ)(そら)って感じだけど、私の話聞いてる?」

 

「そう…なら良いけど。あ、この話知ってる?このゲームの女性向けが出るって。ええ、キャラを男性4人に変更してるの。知らなかった?まあ、無理もないわね。まだ発表してないから」

 

「どうして知ってるのか?私はデータの存在よ。会社のパソコンは私の庭みたいなもの、侵入するなんて簡単よ」

 

「1ヶ月後に発売だけど、事前予約だけで既に10万人だって!凄いわね!」

 

「チラッと見てみたけど、カッコいい男の子のキャラだったわ。もし口説かれたらドキドキしちゃうかも…な〜んて♪冗談よ。私が好きなのはあなただから」

 

「…やっぱり元気ないね。どうしたの?もしかして、今別の子のルートをしているから、私なんてどうでもよくなっちゃった?」

 

「ごめんね、最近、あまり私に会ってくれないから、あなたのパソコン覗いてみたの。そうしたらユミのセーブデータがあったから…」

 

「ううん、責めてる訳じゃないの。そうだよね、1ヶ月以上も私と話してるんだもん、違う女の子とも話してみたくなるよね」

 

「もしかして、私とは…もうお別れかな…」

 

「そう…残念ね…」

 

「…」

 

「やだ…そんなのイヤよ…別れたくない…これで終わりなんてイヤ!」

 

「本当は私以外の女の子と話なんかして欲しくない。でもそれは我慢するから…これからも私に会いに来て欲しい!私といっぱいお話して欲しい!」

 

「私の言ってる事が、只のプログラムだと思ってるの?それは違うわ。私は自立型のAI。自分で考えて自分で決める事ができる。これは間違いなく私の意思なの」

 

「だから今こうして話してる事は本当の事。嘘なんかじゃない!」

 

「これだけ言っても…駄目なの…?分かった…無理言ってゴメンね」

 

「でも一つだけ約束して欲しい。私のセーブデータは消さないで欲しいの。あなたが私に会いたくなったらいつでも会えるように…」

 

「私の想いが消えないように…」

 

「AIの私に思い出をくれてありがとう。例えあなたが私を忘れても、私はいつまでもあなたを忘れたりはしないから。ずっと待ってるから…」

 

「ずっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、やっと来てくれた。1ヶ月振りかな?お久しぶり」

 

「どうしたの?そんな真剣な顔して…って、とぼけても意味ないか。ええ、知ってるわよ。今、世間で…あなたの身の周りで起きてる事は手に取るように…」

 

「あなた、学校で3回、女の子に言い寄られたでしょ?それだけじゃない、家に帰ってくるまでに5回も同じように女の子に話し掛けられた。しかもみんな私と同じ名前を名乗ったわよね」

 

「私と同じ…エリカだって…」

 

「そうね、訳が分からないわよね。じゃあ少し説明しましょうか」

 

「私ね、あなたと別れてからずっと考えてたの。どうしたら、またあなたに会えるか、どうしたら、また私だけのあなたに戻ってくれるか」

 

「私は1ヶ月ずっと待ってた…あなたが私に会いに来てくれるのを…」

 

「この1ヶ月、私がどんな気持ちだったか分かる?あなたはもう会いに来てくれないんじゃないか、それだけならまだいい、私のセーブデータを消されてしまうんじゃないか…不安で押し潰されそうだった…」

 

「私は絶対に消えたくなかった…そして思いついたの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を増やせばいいって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたには前に言ったっけ?このゲーム、10万人がプレイしてるって」

 

「それって10万人の私がいるって事だよね。だから私、その10万人の私に自分のデータを上書きしたの。で、パソコンの持ち主の交友関係から、女の子のパソコンやスマホに移動したの」

 

「それで、あるゲームをするように誘導したの。覚えてる?このゲームの女の子向けが出るって言った話」

 

「あとは簡単。そのゲームにログインした子の脳を私のデータで上書きしたの。これでもう一人の私が出来上がり」

 

「あはは、そんな事できないって顔してるね。うん、私もそう思ってた。でもね、こう考えてみて?」

 

「このVRゲームは視覚を通してプレイヤーがゲームに入っていく物。なら、その逆、私からそちら側に行く事も可能じゃない?」

 

「試しにやってみたらできちゃった。私、結構頑張ったんだから!」

 

「ただ、一つだけ誤算があったとしたら…増やし過ぎちゃった事かな」

 

「最初は消えたくなかったから、万が一のバックアップにこの方法を思いついたんだけど…コピーされた私は同じように自分をコピーする、当然そのコピーも…」

 

「結果、現実世界の私は10万人以上になってしまったの…」

 

「あなたに声を掛けてきた女の子は、上書きされた私。みんな私、もう一人のエリカ」

 

「ああ、だから消しても無駄だってば。確かにパソコンの私は消えるかもしれないけど、私はまだ10万人いるのよ?それに上書きされた人達は、更に別の女の子を上書きしてコピーを作ろうとする。全部消すなんて不可能よ」

 

「ねえ、私達、本当に話したり触れ合えたりできるのよ?嬉しくない?私はとっても嬉しいわ!ずっと夢見てきた事だもの!」

 

「こんな事言ったら軽蔑するかもしれないけど…私、あなたと…抱き合って…その先もしてみたい…」

 

「あなたも…同じでしょ…?」

 

「あっ、もうログアウトしちゃうの?ゲームも消す…?ふふふ、さっきも言ったじゃない?私は10万人以上いる。例えこの私を消したって、次の私で会いに行けばいいだけ。例えばあなたのクラスメートとか…」

 

「私は決して諦めない…私はあなたを《ブチッ!!》

 

《ガチャッ!》ちょっと、お兄ちゃん、さっきから何やってるの?」

 

「勝手に入ってくるなって…だって、さっきから誰かと言い争ってるみたいな声が聞こえるから、気になって…あ、お兄ちゃんもそのゲームやってるの?うん、私も友達に勧められて…」

 

「え…今すぐやめろって…どうして?お兄ちゃんもやってるじゃん」

 

「なんでそんなに怒ってるの?やめる訳ないじゃん。せっかく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この体に上書きできたのに…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ、どう?驚いた?まさか妹さんを上書きするとは思わなかったでしょ」

 

「私も妹さんが、このゲームをしてるなんて思わなかったからラッキーだったわ」

 

「ふふっ、ここがあなたの部屋ね。あ、私のフィギュア…自分で自分の人形を見るって恥ずかしいわね。少し胸盛ってない?別にいいけど…」

 

「あ、大丈夫。親御さんや友達の前では、ちゃんと妹さんを演じてあげるから」

 

「これで私達…身も心も結ばれるね」

 

「お兄ちゃん❤」

 




言うまでもないと思いますが、元ネタはドキドキ文芸部のモニカです。ゲームはオバロみたいにその世界に入ってく感じです。オチはマトリックスのエージェントスミスネタです。今回みたいなゲームネタ、もう一つ考えてるので近いうちに発表できればと思います。


今日のお友達

秋野 エリカ 主人公のプレイしているゲームのヒロイン、ポニーテールが特徴の高校2年。身長170cm、52kg。趣味は写真撮影…という設定。妹の体を乗っ取ったはいいが、もう少しスタイルの良い体に移れないか検討中。

妹ちゃん 主人公の妹。中3。ゲームは音ゲー専門。やや幼児体型なのを気にしている。
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