ヤンデレちゃんとメンヘラちゃん   作:昼間ネル

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森に住む悪魔を倒す依頼を受けた冒険者のあなた。さっそく森に向かうと道に迷った村娘に出会うが…

※魔法が解けないじゃない…


人食いの女悪魔

「ああっ!お願いです、助けて下さい!」

 

「ありがとうございます…何故こんな森の中に私の様な、か弱い女が一人で…?」

 

「…あなたは、この森に住む悪魔を倒しに来たのですか?じ、実は私の婚約者も、この森に住む魔女を倒そうとして…ですが、帰って来ないので心配になって…」

 

「お恥ずかしい話ですが、この霧ですっかり迷子になってしまって…あの、良ければ村まで送って頂けませんか?私一人では怖くて…」

 

「この森の悪魔を倒す様に依頼を受けた…?そんな事、どうでもいいじゃありませんか。聞けば、あなたの様な冒険者が何人もその魔女を倒そうとして、帰って来ないと言うではありませんか。私の婚約者もきっと…」

 

「そんな恐ろしい魔女の事なんて忘れて帰りましょう!ねぇ、そうしましょ?」

 

「一人で帰る…?お、お待ち下さい、私も連れて…きゃあっ!」

 

「何を為さるのです!何故私を斬ろうと…悪魔を連れて帰れない…?な、何を言ってるのですか?私はただの村娘です、何故私が悪魔だと…」

 

「…こんな森の中に一人でいるのが怪しい?それは、さっきも申し上げた通り、婚約者がこの森の魔女を倒そうと…」

 

「…何故悪魔が魔女だと分かる…?自分は一度もその悪魔が女だとは言っていない…?」

 

「…」

 

「ウフフ、あたしとした事が…」

 

「ええ、そうよ。あたしがあんたが倒そうしてる悪魔よ。たまに来る村人を食べてたんだけど…そう、村の連中に依頼されたのね…若い男は大好物だから…少し食べ過ぎちゃったかしら」

 

「それにしても、今までの奴は道に迷った振りをすれば、コロッと騙されたのに…あんた大したものね」

 

「なぁに?その剣であたしを倒すつもり?面白いわね、やってみれば?できたらの話だけどね」

 

「どういう意味か?そうねぇ、どうして私が今まであなたの様な奴を返り討ちにできたか解る?」

 

「それはね…こういう事よ!」

 

「アハハッ♪私の額の目を見たわね?この目を見た者は、私に魅了されて言い成りに…な、何だ…体が動か…お、オマエ!一体何をした!」

 

「ま、まさか、その剣があたしの魔法を跳ね返し…そ、そんな…!有り得ない!このあたしが…ッッ!!」

 

「……」

 

「ああっ、あたしは何て事をしてしまったの…善良な村人を何人も殺してしまって…!お願い、どうかあたしを殺してちょうだい!」

 

「許す…?何故?そんな悪い奴には見えない?た、確かにそうかもしれないけど、犯した罪は消えないわ。あなたも私を討伐する為に来たんでしょ?」

 

「本当に私を許してくれるの…?優しいのね…」

 

「でも、あなたはどうするの?このままじゃ私を討伐する依頼は果たせない、私もどうすればいいか分からない…」

 

「その…私に考えがあるの…これからも私が悪さをしない様に、一緒に居て私を見張ってくれないかしら」

 

「ええ、おかしな話よね。でも放っておけば、私はまた人を食べるかもしれない。でも一緒に居ればいつでも私を殺せるじゃない」

 

「それに、私、人に優しくされたの初めてで…あなたと一緒に居たいの…私の事は召使いとでも思ってくれればいいわ。ダメ…かしら?」

 

「本当?ありがとう!私、今までの罪を償ってみせる…一生懸命あなたに尽くすわ!」

 

〈…〉

 

〈くっ…迂闊だった。こいつがあんな剣を持ってるなんて…お陰で自分の魔法を自分に喰らってしまった…!〉

 

〈本当は今すぐにでも、こいつを殺してやりたいが、魔法の所為でそれも出来ない…クソッ!〉

 

〈だが、こいつの側に居ればいずれ魔法の効果も消える。その時が来ればこいつなんて…クククッ♪〉

 

〈それにしても、こいつも馬鹿な奴ね。私を見張っていてほしいなんて苦し紛れに言った言葉を真に受けるなんて…〉

 

〈だが厄介な事になった…私の魔法は解けるまで少なくとも10年…いや下手したらそれ以上掛かる…くっ、10年もこんな奴と一緒に過ごさなくてはいけないのか…!〉

 

〈…〉

 

〈何故、私はこいつと一緒に居ようと思ったの…?〉

 

〈思わず口から出たけど…まさか魅了の魔法の効果で…いや、そんな筈はない。私の魔法は完璧、もし魔法が掛かっているなら、こんな事すら考えられない〉

 

〈そうだ…そうに決まってる…!〉

 

〈まぁいい…10年は従順な振りをして油断させてやる。こいつが私に気を許した時…フフフッ〉

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、早くしないと学校に遅れるわよ…ハイハイ、いってらっしゃい」

 

「あら、あなた。おはよう。朝ご飯できてるわよ。あの子なら今学校に行ったわよ。お寝坊さんなのはあなた譲りね」

 

「10年…そうね、あなたと暮らし始めてもうそんなになるのね。まさかあなたと夫婦になって子供までできるなんて夢にも思わなかったわ…」

 

「人間と夫婦になるなんて嫌じゃなかったか…?馬鹿ね、もしそうならとっくに逃げてるわよ。それに…もう忘れちゃったの?」

 

「例え魔族でも関係ない…お前を愛してるって言ってくれた事」

 

「それも魅了の魔法なのか…?馬鹿ね、あれから何年経ったと思ってるの?流石に魔法の効力も切れてるわよ」

 

「だから、今ここに居るのは私の意思。私を許してくれたあなたに報いる為…あなたを愛してるから…」

 

「って馬鹿!んもう、何言わせんのよ、恥ずかしい///」

 

「じゃあ、私、買い物に言ってくるわね」

 

〈…〉

 

〈まさか…私が人間なんかと夫婦になるとは…あまつさえ子供まで作るなんて…〉

 

〈だけど…あいつと一緒に居るのも悪い気はしない。むしろ心地良い…〉

 

〈…はっ!な、何を言ってるの私は!私はあいつを殺す為に一緒にいるのよ!そうよ、これは私の復讐なのよ!〉

 

〈あいつも私が改心したと思っている…子供まで作って油断しきった今なら、あいつを簡単に殺せる…!〉

 

〈フフ…私が裏切ったら、あいつ、どんな顔をするかしら!今から楽しみだわ♪〉

 

〈…〉

 

〈いや…もう少し待とうかしら…今は子供もいるし、あいつはどうなっても構わないけど子供が少し可哀想ね…〉

 

〈そうね…あと10年だけ待ってみようかしら。10年後、あいつを…!〉

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。ちょっと、起きて大丈夫なの?魔物退治で受けた傷、まだ治ってないんでしょ?もう、年も考えないで無茶して…」

 

「そうよ、あなたもう40過ぎなんだから。ふふっ、白髪も目立ってきたわよ」

 

「…私の事が村で噂になってる?村に来て20年近く経つのに若いままだから…あなたの娘だと思われてる?」

 

「私達魔族は長命だし、外見はほとんど変わらないから…まあ人間からしたら気味悪いかもしれないわね」

 

「でも、あなたはどうなの?こんな若い妻は嫌い…?ふふっ、ありがとう」

 

「ああ、そうそう。王国の兵士になるって出て行ったあの子から手紙が届いてるわ。何でも好きな女の子ができたから、今度連れて来るって」

 

「あの子の年?やあね、忘れちゃったの?もう二十歳よ、子供がいてもおかしくないわ」

 

「もし孫が生まれたら、私達お爺さんお婆さんになっちゃうのかしら。何か複雑だわ…」

 

「あら、どこへ行くの?今日は猪鍋?まだ怪我は治ってないんだから無茶しないでね。いってらっしゃい」

 

〈…〉

 

〈くっ…まさか20年もあいつと一緒に居る事になるとは…〉

 

〈まだ魔法が解けていないのか…?いや、そんな筈ない。もう魔法は解けている…!〉

 

〈20年越しの恨み、今こそ晴らしてやる!〉

 

〈でも…あいつを殺してしまったら…もうあいつと暮らす事はできないのよね…〉

 

〈…何を言ってるの私は!私が20年もあいつと一緒に居たのは、あいつを油断させる為!決してあいつを愛してるからじゃない!〉

 

〈まさか魔法がまだ解けていないのかしら…そんな筈は…〉

 

〈それに…もう少し油断させるのも悪くないわね…孫が生まれるまで待って幸せを感じている時に一気に…フフ、そうよ、それがいいわ!〉

 

〈いや、孫が大きくなるまで待とうかしら…そうね、その方があいつも驚くに違いない!〉

 

〈あと10年、あいつと一緒に暮らそう。そうしたら今度こそ…〉

 

〈今度こそ…あいつを殺してやるんだから…〉

 

 

 




魔法は多分解けてるんじゃないかと思います。


今日のお友達

魅了の悪魔 自分の目を見た者を魅了して操る悪魔。森で人間を食べて暮らしている。平凡な村娘の姿で油断させ魔法を掛ける。若い娘の服を好むので、村の主婦層からは浮いている。お婆ちゃんと呼ぶのをどうやって止めさせるか画策中。キャライメージはフリーレンのアウラ。

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