東方転雷録   作:龍覇

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11話

「…んぅ?」

目を開けると、少し空気の冷たい朝だった。

隣には、布都がニヤニヤとこちらを見つめている。

「布都?」

「おう、随分とゆっくり寝ておったな」

グゥ〜

屠自古の腹から元気な腹の虫が鳴る。

そして、サーっと顔が青ざめていく。

「私ったら…!寝ちゃったのね…!!」

「おう、あれからずっとな」

「ちょっと、なんで起こしてくれなかったのよ!」

「揺すっても起きんかったぞ」

「ええっ」

どれだけ疲れていたのだろうか。

どれだけ体力がないだろうかこの体。

「せっかく父上に謝ったのにぃ…!!」

「まあそんなべそをかくでない。そら、身なりを整えて行くぞ」

「うう…」

屠自古はムスッとしたまま、布都に当たり前のように手を繋いで歩こうとしていた。

「ちょっ…私はもうそこまで子どもじゃないわよ!」

「ははっ、照れるな照れるな」

布都の前だと調子が崩される。

昨日の布都の前で大泣きしたからだろうか。

布都が楽しそうに屠自古の手を引く。

グイグイ引っ張るはずなのに、小さい屠自古の歩幅を合わせてくれている。

(…あなたは、一体…)

これから壺を生焼きの物へ変える布都なのだろうか。

信じればいいのだろうか。

いや、まだ自分が尸解仙になると決めた訳では無い。

「ねえ、布都」

「ん?なんじゃ屠自古」

「どうして布都の髪は白いの?」

「………ふむ」

明るく笑っていた布都はしばらく黙ってしまった。

もしかしたら聞いてはいけなかったのだろうか。

「…ごめん、布都。もしかして嫌だった?」

「いや、そうではないが…。なぜ、我の髪を?」

「綺麗だから」

「綺麗…我の髪を、綺麗と申すか」

「私、白とか、銀とか好きよ。特に、太陽の光に髪が透けた時とか。綺麗な糸みたいよね」

「………」

布都はまた、目を見開いて黙り込んでしまった。

布都の髪は生来のものである。

後のアルビノとかがあるが決してそれではなく。

物部の神通力を極限まで…神性の血が最も濃く継いでいる。

宗教戦争前までは物部守屋が物部を引っ張っていたが、今や布都だけである。

物部の一族たちはみな布都を崇めたが、ほかはそういう訳にはいかない。

ある者は鬼と。

ある者は病気と。

布都を褒める者はいない、はずだった。

目の前の娘はなんてことなしに、すらりと、話した。

「………と」

「と?」

「屠自古ォォォ!!!お主やっぱりいい子であるな!!!!」

「うわちょっと!?なんて場所で抱きつくのよ!?」

布都は嬉しかった。

誰に見られようが知らない。

この人間離れした容姿を褒めてくれる人がいる。

それだけで、布都の心は救われるのだ。

結局なんでだと屠自古がムスッとした顔で聞けば布都は、喜んで答えた。

それを聞いた屠自古が怒ったのもそれもまた別の話である。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
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