「…んぅ?」
目を開けると、少し空気の冷たい朝だった。
隣には、布都がニヤニヤとこちらを見つめている。
「布都?」
「おう、随分とゆっくり寝ておったな」
グゥ〜
屠自古の腹から元気な腹の虫が鳴る。
そして、サーっと顔が青ざめていく。
「私ったら…!寝ちゃったのね…!!」
「おう、あれからずっとな」
「ちょっと、なんで起こしてくれなかったのよ!」
「揺すっても起きんかったぞ」
「ええっ」
どれだけ疲れていたのだろうか。
どれだけ体力がないだろうかこの体。
「せっかく父上に謝ったのにぃ…!!」
「まあそんなべそをかくでない。そら、身なりを整えて行くぞ」
「うう…」
屠自古はムスッとしたまま、布都に当たり前のように手を繋いで歩こうとしていた。
「ちょっ…私はもうそこまで子どもじゃないわよ!」
「ははっ、照れるな照れるな」
布都の前だと調子が崩される。
昨日の布都の前で大泣きしたからだろうか。
布都が楽しそうに屠自古の手を引く。
グイグイ引っ張るはずなのに、小さい屠自古の歩幅を合わせてくれている。
(…あなたは、一体…)
これから壺を生焼きの物へ変える布都なのだろうか。
信じればいいのだろうか。
いや、まだ自分が尸解仙になると決めた訳では無い。
「ねえ、布都」
「ん?なんじゃ屠自古」
「どうして布都の髪は白いの?」
「………ふむ」
明るく笑っていた布都はしばらく黙ってしまった。
もしかしたら聞いてはいけなかったのだろうか。
「…ごめん、布都。もしかして嫌だった?」
「いや、そうではないが…。なぜ、我の髪を?」
「綺麗だから」
「綺麗…我の髪を、綺麗と申すか」
「私、白とか、銀とか好きよ。特に、太陽の光に髪が透けた時とか。綺麗な糸みたいよね」
「………」
布都はまた、目を見開いて黙り込んでしまった。
布都の髪は生来のものである。
後のアルビノとかがあるが決してそれではなく。
物部の神通力を極限まで…神性の血が最も濃く継いでいる。
宗教戦争前までは物部守屋が物部を引っ張っていたが、今や布都だけである。
物部の一族たちはみな布都を崇めたが、ほかはそういう訳にはいかない。
ある者は鬼と。
ある者は病気と。
布都を褒める者はいない、はずだった。
目の前の娘はなんてことなしに、すらりと、話した。
「………と」
「と?」
「屠自古ォォォ!!!お主やっぱりいい子であるな!!!!」
「うわちょっと!?なんて場所で抱きつくのよ!?」
布都は嬉しかった。
誰に見られようが知らない。
この人間離れした容姿を褒めてくれる人がいる。
それだけで、布都の心は救われるのだ。
結局なんでだと屠自古がムスッとした顔で聞けば布都は、喜んで答えた。
それを聞いた屠自古が怒ったのもそれもまた別の話である。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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その他(感想の方に必ず記載)