その日の夜。
屠自古は一人、悶えていた。
(あああああああああああああああ……!!!!)
顔は赤く、この時間まで上の空である。
一時期は心配されるほどに。
どうすればいいのか、この感情を。
「こんっの人ったらし…!」
こんなの、ときめいてしまう。
どうしてこんなにときめくのだろう。
「……違う。こんなの違う」
好きじゃない。
好きじゃない。
友人としては好きだとも。
だが恋愛は違う。違う。
「……でも、まだ小さいから。初恋だと、思うけど…!!」
自分でも何を言っているのか分からない。
【貴方の中身がおばさんとか、そういうのは関係ない。あなたはあなた。屠自古は屠自古です。】
【私はあなたの事をお慕い申しております。今は頼りないですが、いつの日か貴方を振り向かせてみせます。それまで、待っていてください】
フラッシュバックするは、神子が屠自古に送った言葉たち。
思い出すだけで心臓が出てきそうだ。
だが、その言葉でふと思い出す。
「…私を私として、見てくれてるのかな」
この、名前の思い出せない自分を。外面の屠自古ではない、内面の自分を。
手を掲げてみる。
細く、小さな丸い子供の手。
昔の自分の手は、まだそれよりも大きい、大人の手。
そしてその手に持つものは、東方神霊廟。
といっても出会いは二次創作から始まって、調べて、原作をプレイして。
その時の中で買ったもの。
一番好きなシリーズは他にあるものの、神霊廟はかなり好きの部類に入る。
箱推しであるので、誰が一番かは決められないが。
「………」
神子のことで頭いっぱいになったが、その言葉をきっかけにして、頭の中はすっかり前世一色。
前世のことはあまり考えないようにしていたが、それでもまだ引きずっていた。
トントン
「…誰だ」
突如、ノックの音が聞こえた。
「屠自古、私です」
「……!どうぞ」
「失礼しますね」
神子はまだ、蘇我の家にいた。
というのも、もうすっかり日が落ちてしまい、妖などがうろついて危険だからという理由である。
「…太子様、いくら私たちが7歳とはいえ、こんな夜に男女二人きりは…」
「いいではありませんか。私たち夫婦になりますし。」
神子は屠自古の隣に座る。
「ねえ、屠自古。寂しく、ないのですか?」
「…何を?」
「前世のことです。いきなりだったんでしょう」
「寂しくないと言えば、嘘になります。ある日突然目が覚めたら知らない天井、知らない人達…最初は怖かったです。名前もこうなるきっかけも何も。思い出せませんから」
「……」
神子は黙り込む。
「でも、太子様。ありがとうございます」
「?」
「私を、私として見てくれて」
「いいのですよ、屠自古。それなら私だってそうです。私を私として見てくれたのは、あなたが初めてです」
ああ、そうか。
お互いがお互いのことを、個人としてみてくれていた。
「……太子様、お願いがあるのですが」
「はい」
「一緒に、寝てくれませんか」
「……!!!」
突然の屠自古のお願いに神子は固まる。
「寂しくて、寂しくて。でも、私のことを知っている太子様となら、安心して眠れそうです」
「……………ちょっとまってて下さいね」
神子は急ぎ足で部屋から出ていくと、少し経てば寝具を持ってきていた。
「…じゃあ、一緒に寝ましょ」
「はい」
屠自古は神子の布団を広げる(神子は使用人が普段からやってくれているためできない)。神子はその光景を目に焼き付けた。
「おやすみなさい、屠自古」
「ええ、おやすみなさい。太子様」
フッ、と灯りを消すと、真っ暗になる。
今日の星空はとても輝いていた。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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その他(感想の方に必ず記載)