二人が熟睡している中、他はバタバタとしていた。
「おい布都。太子様を知らないか」
「太子様じゃと?部屋におらんのか?」
「いや、いない。どこに行ってしまわれたか…」
「しかしこんな夜更けに太子様に用とは何事じゃ?」
「なに、改めてまた挨拶をだな…」
「それはあとでよいじゃろう。蘇我の家にわざわざ太子様がおいでなさったのだ、疲れておるだろうに」
「む…それもそうだな…」
「なに、後で我が太子様に言っておくゆえ、お前はもう休め」
「……では失礼する」
「おう…。……やれやれ」
馬子が去った後、布都はため息をついた
馬子は子煩悩である。
屠自古の他にも兄弟はいるものの、兄は気難しく、人一倍蘇我の血に誇りを持っている。
それ故か、太媛のことをよく思っていないし、自分の中に流れる物部の血を人一倍恨んでいるし、太媛に似た屠自古を嫌っているせいかあまり会わない。
姉は崇峻天皇に嫁ぎ、妹はまだ小さい。
布都は屠自古と妹以外、面識がない。
挨拶にも来ないから余程嫌いなのだろう。姉は仕方ないとはいえ、屠自古は恐らくこの兄弟の中で一番素直だろう。
「さて、太子様の居場所は…」
物部の秘術を使って、屋敷中を探し回る。
本当に探してもどこにもいない。
(ああ、もしかしたら…)
まだ探していない、屠自古の部屋の中を見る。
部屋の中を見ると、神子と屠自古が一緒に寝ている。
(寝て…いる!?)
布都は驚いて飛び上がった。
さらに注視する。手を、繋ぎあっている。
二人の寝顔は子どものそれ。とても可愛らしい。
そしていずれは夫婦となるものだから感慨が深い。
「……すぅーっ………」
普段は人間味を見せない神子。
その神子が人間味を屠自古に全面的に見せている、というところか。
屠自古は人見知りはなくなってきたがそれでも、だ。
あまり心を開かない屠自古は神子に気を許している。
布都の心にはどうしようもない何かが満たされた。
屠自古に髪が綺麗と言われた以来の、何かが。
この、宗教戦争で荒みきった心が潤うような。
「……早く大きくなれよ……」
布都の顔は少しの寂しさを滲ませながら呟いた。
「……ん」
神子は、ふと目を開ける。
誰かに見られたような気がするが、特に害は無いものらしい。
こんなにも休ませてくれるのは久しぶりのことだ。
「……ふふ」
隣にいる屠自古の寝顔は実年齢よりも更に幼く見える。
更に、丸まって寝ている様はまるで猫のよう。
このまま眺めるのもいいが、ただでさえ眠れない日が多い。
このまま寝てしまおう、そんな時。
「たい、し…さま……」
「!!」
夢の中に神子がいる。
その事実が嬉しい。
「ああ、本当に君は…」
神子の心が満たされる。
くくっ、と静かに笑いをこらえたあと、満足気にまた眠りに落ちるのだった。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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