あれからまた季節が巡り、屠自古は12歳になった。
背は大きくなり、顔付きもまた変わった。
大きな丸い目はちょっとだけつり上がり、眉もつり気味になった。
布都が言うにはその勝気な表情は馬子そっくりだと言われた。
気が強そうだということで、近寄り難いらしい。
体つきもかなり女性っぽくなり、背も普通の人よりも高いことからからかわれることもある。その度に睨んでいるが。
あれからというものの、神子は間を見つけて、会いに来る。
神子もまた、背が大きくなり、身長はまだあまり屠自古と変わらない。
顔付きも優しく美しい顔立ちに磨きがかかり、女子に好意を寄せられることが多くなった。
屠自古にとってはそれが心中は穏やかではない。
「屠自古ー!」
「…太子様」
黒駒に乗り、こちらにくる神子はすごく様になる。
黒駒は随分と人懐っこく、よく擦り寄ってくる。尻尾をすごく揺らしながら。
そして、神子は会うまでの期間、何をしていたか言う。
そして今回は。
「霍青娥に会いました。なるほど、確かにあなたの言う通りですね」
「…!会ったのですか」
「ええ、やっと。遊楽の途中で会いまして。今は仙術を布都と共に習っています。また1歩、理想に近づきました」
「…よかったです」
屠自古の心の中がザワつく。
「今のところは健康です。不安にならなくても大丈夫ですから」
「………尸解仙に、なるんですよね」
「はい、もちろん。今はやり残していることが山積みなので、体を今は弱らせる訳にはいきませんが。」
「布都は、知っているんですか」
「ええ。初めはすごく驚いていましたが、二つ返事で承諾しました。」
「………」
屠自古は尸解仙になる勇気がない。
死ぬのが怖い。
今は布都に良くしてもらっているとはいえ、いつ裏切られるか分からない。
自分はどこへ行くのか。
亡霊になるのか、尸解仙になるのか。
死ねばどうなるのだろう。何も感じなくなるだろうか。
それとも、前世では実は死んでおらず、死ねば前世…元の世界に戻るのだろうか。
だが屠自古自身はもう、前世の記憶など薄れている。
知識自体は予め書いて置いてある。誰にも見られぬように、現代の字を敢えて汚く書いて。
もう家族も、親しかったはずの友人の声も、名前も、顔も思い出せない。
だから、戻ってきたところで宙ぶらりんの状態になりかねなかった。
「屠自古は尸解仙にならないのですか?」
「……わからないのです。何も、私は。それに、どんなに長く生きていくのにも自信がありません。それに、もし亡霊にでもなってしまえば…私は間違いなく発狂します。…それが怖くて怖くて…」
つまるところはそれだ。
蓬莱人はどうやって生きてきたのか知りたいぐらいだ。
「一緒に生きていけばきっとそんなことはない…ですが、亡霊になる可能性か…私たちは眠っているだけで君に何もしてあげられない。……誰か、会いに来てくれればまだ…」
「……ごめんなさい、太子様。」
「いいんですよ。….普通、人間は一人では生きていけない。屠自古の言いたいことも分かっています」
それを一体、どうすればいいのかわからない。
確実であれば依代を自分で用意し、触れられないように術を施すしか術はないだろう。
「屠自古、それならば細工をされないように仕掛けを仕掛ける方法も考えます。…気持ちの方も私達も支援します。仕掛けは考えている間に色々と考え直してもらっても?」
「……わかり、ました」
屠自古は憂いた表情のまま、頷いた。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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その他(感想の方に必ず記載)