東方転雷録   作:龍覇

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第19話

神子が元気になった。

過労が原因で倒れたことを反省してか、神子の労働状況だけではなく、みんなの労働状況も見直された。

神子もまた、それを噛み締めたのか、平民の労働状況を見て、改善を努めた。

そんな中、休暇で神子は屠自古の元へ行った。

「屠自古、お話とは?」

「…う…あの…」

神子はもう、分かっていた。分かっていて、あえて聞こうとする。

屠自古の口から、それを聞きたいのだ。

神子はもう嬉しい気持ちでいっぱいだが、それでも顔に出さないよう、努めている。

屠自古は耳まで顔を赤くし、若干目が潤んでいる。

(ああ、可愛いな…)

本日何度目かの感想を抱く。

屠自古は深呼吸をしたあと、覚悟を決めた顔で神子を見る。

「太子様、返事が遅れてしまい、申し訳ありません。…私は、太子様をお慕い申しています。」

「……っ、嬉しいよ、屠自古」

神子の長く続く恋が、ようやく成就した。

神子は懸命に屠自古を口説き落とすのに精一杯だった。

頼れるところを少しでも見せようとしたり、詩を送ったり、時には詩集を贈ったりした。

娯楽が少ない飛鳥では、屠自古の趣味が読書となった。

といっても、屠自古が落ちたのは神子がしてきた努力ではなく。

根底の重いと7歳の告白と長い年月によるものである。

それに結婚もあと一年も残していない。

随分と自分たちは恵まれている。

その事に噛み締めつつ、神子は屠自古の顎を上げる。

ここの所、背が少しずつ伸び始めている。

屠自古よりも小さかった背は、いつの間にか追い越している。

久しぶりに会った屠自古が、意識をすれば何故だか小さく感じた。

「…屠自古、いいかい」

「はい、太子さ…」

神子は屠自古の唇に人差し指を置いた。

「二人きりの時だけでいい。私のことを、神子、と呼んでくれませんか?」

「…神子、様」

「ありがとう…。あともう少ししたら、私達は、夫婦となるんですね…」

「ええ、た…神子様」

「ふふ、屠自古は私の呼び方に慣れないとですね」

「そ、それは…!7年も呼び方が一緒だから…!」

「………」

神子は、すぅ、と目が細くなる。

それを見た屠自古は口を噤んだ。

「屠自古、改めまして。接物、しませんか」

「………はい」

きゅ、と屠自古は目を閉じる。

神子もまた、屠自古の腰を自分側に寄せる。

神子がずっと求めていたものである。

お互いの匂いがより近く感じ、影も重なり合う。

目を開ければ、お互いの目が至近距離で見える。

そしてその後、抱きしめたのだった。

(ああ…幸せだ…)

お互い、同じことを思って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら」

青娥はたまたま近くを通っていた。

場所はあまり人の通らないところ。

隣にいた布都もまた、固まり、その後泣いた。

「…物部様?」

「やっど、くっつぎま"しだぁ"…!!」

ひぐひぐと、泣く布都。

あまりの様子に、青娥はあらあらと苦笑いしてハンカチを渡した。

(…なんか、あの子から面白そうな予感がするわね)

青娥は、遠くで満足そうに笑う屠自古に、興味を示していた。




ようやく、くっつきましたね(作中の中で)。
そろそろアンケートとるかもしれません。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
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