東方転雷録   作:龍覇

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20話

お互い、13歳を迎えた。元服である。

いつもよりも整えられた衣装と化粧。

そして布都の咽び泣く声である。

「ちょっと布都うるさい」

「だっで…っ!!あんなに小さくてお転婆だった屠自古が〜っ!!!」

今は準備をしてくれた使用人はいなくなり、いまや残るのは布都と屠自古と馬子のみ。

馬子もまた、無言で目頭を抑えて俯いている。

あんなに花のように笑っていた小さい屠自古が、かつて亡くなった太媛が着ていた衣装に身を包んでいた。

「父上?」

「…っく…」

「父上!?」

馬子はとうとう泣き出した。

元々神子に娘を嫁がせる計画でいたが、この希薄な親子関係の中で唯一と言っていいほど、屠自古は心から馬子のことを父として愛していた。

(太媛よ…見ているか)

天国にいる太媛に向けて、話す。

太媛はなによりも屠自古のことを愛し、成長を楽しみにしていた。

「屠自古様、そろそろ時間でございます」

「…はい」

緊張してきた。

屠自古は片唾を飲む。馬子は屠自古の肩を置く。

大丈夫だ、とは言わんばかりに。

「…父上」

屠自古は馬子に向き合う。

「ここまで、育てていただきありがとうございました。」

馬子の前で頭を下げた。

「私はあなたの娘で幸せでございます。」

屠自古が微笑むと、馬子の目から滝のように涙が溢れる。

「母様」

「お、おう」

布都も鼻をすすりながら返事をする。

「母様もありがとう。…私の背中を、押してくれて。あなたがいなかったら、私はこの思いに気づくことは無かった。…だから、ありがとう」

「屠自古ォッ…!!」

布都は屠自古を抱きしめた。

「…ちょっと、服にシワ着いちゃう。…それにもう時間よ、行きましょう」

「ああ」

馬子は涙を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

婚儀の直前、神子は屠自古に会うことが出来た。

「──っ…」

目の前の屠自古を見て、息を飲んだ。

まだ、あどけなさは残るものの、化粧によって大人の色香が出されていた。

屠自古の表情には凛々しさがある。

衣装も相まってか、とても綺麗だった。

だから神子は屠自古に声をかける。

「綺麗ですよ、屠自古」

「…ありがとうございます。神子様も、とても素敵です…」

屠自古は少し照れながら神子のことを褒めた。

(ああ、ついにこの時がやってきた)

神子も屠自古も両想いになり、恋人になってあまり時間がかかってないが、今日から夫婦となる。

自分の役目も、尸解仙になるための目標も。

屠自古がいるなら、もう、大丈夫だと確信している。

厳かな雰囲気の中、神子はそう思っている。

あちこち聞こえる欲の声に耳が痛いが、耐えられる。

「愛しています、屠自古」

「…私も、愛しています」

その二人の声に、会場は大きく盛りあがり、拍手が起きる。

今、この二人に降りかかるはまさに、祝福だった。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
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