自分は死ぬ。
死ぬ時が近い。
(……子どもたちを置いて)
目が覚めた屠自古の心の中は、後悔が、悲しみが。
(そして目覚めた時には、子どもたちは確実に、死んでいる)
ビリビリと、痛みが大きくなる。
まだ、幼い子どもたちを置いていく。
それは辛くて、悲しくて、成長を見守れなくて。
子どもたちに決して消えぬ傷を残して。
「母上も、こんな気持ちなのかな…っ…」
太媛と同じ病気。
皮肉なことに同じ余命らしい。
「…屠自古」
神子が入ってきた。
すっ、と神子の手が屠自古の手に触れる。
「…私も、布都も。限界が近いようです」
神子の度重なる心労と。
布都の自傷まがいとも言える修行の研鑽と。
屠自古の突然の病と。
もう、限界である。
「それと、青娥が来ました。尸解仙になる為の薬の準備は済んだと。あとは、身辺整理と依代の準備だそうです」
「神子様っ…!」
屠自古の目にはボロボロと涙が溢れ出す。
「やはり、子どもたちも連れていけませんか…?」
「…無理、でしょう。気持ちはわかりますが…あの子たちは、知るには幼すぎる…」
「…っ、ふっ、くっ…」
「それに、薬は三個だけ。どっちみち、無理なんです…」
神子は屠自古を包み込む。
神子の思いもまた、屠自古と同じである。
「…仕方ないとはいえ…!子どもたちの成長も見れないで、死ぬのは…嫌、嫌です…!」
「………」
神子も黙って頷く。
そんな中、物音がした。
「…山背?」
「…母上……」
山背は泣いていた。
恐らく、屠自古が心配で来たのだろう。
「山背、母上は…」
「わかっています…。あなたたちが、僕たちのことを愛してくれているのは…」
途中から、子どものすすり泣く声が増えてきた。
「ははうえ…!!」
財が俯いて、目をゴシゴシと擦る。
「財…目を擦らないの…!」
屠自古は上体を起こし、財の手を取る。
「う"わぁぁぁぁぁん!!!」
日置はわけが分かっていないところだろう。
訳が分からず、悲しくて悲しくて、顔を真っ赤にして泣いている。
片岡はいなかった。恐らく、寝かせたのだろう。
「母上、…死んでしまう時まで、ここに来てもいいですか…?」
屠自古は小さい頃の自分と重なった。
「…いいわよ。だけど、習い事は忘れないように」
「はい…!」
「……っ!!!」
屠自古は子どもたちを抱きしめた。
「屠自古、私も明日からここに住みます。…少しでも、みんなと一緒にいたい」
神子の声も少し、震えている。
山背は気づいた。
(…父上も、死んでしまうのか…)
それを思うだけで涙が出そうだった。
(いや、僕は長男だ…泣いちゃ、ダメだ)
目を閉じ、開ける。何故か、涙が出なかった。
屠自古の肩が震えている。
下の二人は気づかなかったが、神子と山背が気づいていた。
生前編、駆け足ながら後編の方に差し掛かりました。
突然ではありますが、アンケートをとります。
どちらのパターンも考えてしまい、どうしようもなかったためです。
需要あればアンケートの少ない方をIFとして書かさせていただきます。
何卒、よろしくお願いいたします。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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その他(感想の方に必ず記載)