東方転雷録   作:龍覇

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24話

自分は死ぬ。

死ぬ時が近い。

(……子どもたちを置いて)

目が覚めた屠自古の心の中は、後悔が、悲しみが。

(そして目覚めた時には、子どもたちは確実に、死んでいる)

ビリビリと、痛みが大きくなる。

まだ、幼い子どもたちを置いていく。

それは辛くて、悲しくて、成長を見守れなくて。

子どもたちに決して消えぬ傷を残して。

「母上も、こんな気持ちなのかな…っ…」

太媛と同じ病気。

皮肉なことに同じ余命らしい。

「…屠自古」

神子が入ってきた。

すっ、と神子の手が屠自古の手に触れる。

「…私も、布都も。限界が近いようです」

神子の度重なる心労と。

布都の自傷まがいとも言える修行の研鑽と。

屠自古の突然の病と。

もう、限界である。

「それと、青娥が来ました。尸解仙になる為の薬の準備は済んだと。あとは、身辺整理と依代の準備だそうです」

「神子様っ…!」

屠自古の目にはボロボロと涙が溢れ出す。

「やはり、子どもたちも連れていけませんか…?」

「…無理、でしょう。気持ちはわかりますが…あの子たちは、知るには幼すぎる…」

「…っ、ふっ、くっ…」

「それに、薬は三個だけ。どっちみち、無理なんです…」

神子は屠自古を包み込む。

神子の思いもまた、屠自古と同じである。

「…仕方ないとはいえ…!子どもたちの成長も見れないで、死ぬのは…嫌、嫌です…!」

「………」

神子も黙って頷く。

そんな中、物音がした。

「…山背?」

「…母上……」

山背は泣いていた。

恐らく、屠自古が心配で来たのだろう。

「山背、母上は…」

「わかっています…。あなたたちが、僕たちのことを愛してくれているのは…」

途中から、子どものすすり泣く声が増えてきた。

「ははうえ…!!」

財が俯いて、目をゴシゴシと擦る。

「財…目を擦らないの…!」

屠自古は上体を起こし、財の手を取る。

「う"わぁぁぁぁぁん!!!」

日置はわけが分かっていないところだろう。

訳が分からず、悲しくて悲しくて、顔を真っ赤にして泣いている。

片岡はいなかった。恐らく、寝かせたのだろう。

「母上、…死んでしまう時まで、ここに来てもいいですか…?」

屠自古は小さい頃の自分と重なった。

「…いいわよ。だけど、習い事は忘れないように」

「はい…!」

「……っ!!!」

屠自古は子どもたちを抱きしめた。

「屠自古、私も明日からここに住みます。…少しでも、みんなと一緒にいたい」

神子の声も少し、震えている。

山背は気づいた。

(…父上も、死んでしまうのか…)

それを思うだけで涙が出そうだった。

(いや、僕は長男だ…泣いちゃ、ダメだ)

目を閉じ、開ける。何故か、涙が出なかった。

屠自古の肩が震えている。

下の二人は気づかなかったが、神子と山背が気づいていた。

 

 




生前編、駆け足ながら後編の方に差し掛かりました。
突然ではありますが、アンケートをとります。
どちらのパターンも考えてしまい、どうしようもなかったためです。
需要あればアンケートの少ない方をIFとして書かさせていただきます。
何卒、よろしくお願いいたします。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
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