東方転雷録   作:龍覇

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25話

「屠自古ッ…」

布都は項垂れていた。屠自古は今、不知の病になってしまった。

神子もまた、玉座で先の出来事に心を痛めていた。

本当は尸解の術を布都に掛けてから、神子、屠自古は確認した後に眠りにつく予定である。

だが、屠自古がいつ死ぬか分からない状況になり、場合によっては屠自古を先にかけてもらうしかなくなったのだ。

ふと、神子は布都の欲を聞いた。

死ぬ予定を早めるか、という声に、聞き覚えのない欲。

無数の、怨念の声だった。

「ぐっ…!?」

「太子様っ!?」

こんなにも聞きがたいのは、なぜだろうか。

「布都、君は…?」

「なんでしょうか、太子様…?!」

「君は何に蝕まれている…(・・・・・・・・・)?」

「!?」

布都は驚いて目を見開いた。

なぜ、それをと。だがすぐに平静を取り戻し、微笑んだ。

「それは教えられません。」

「なぜ…?」

「これは我が背負うべき、業でございます」

布都の瞼に蘇るは、神の言葉と嘯いた、自分と。

神子と布都の作戦で、次々と殺していった同胞たち。中には、布都の兄、物部守屋がいた。

守屋の、物部家の怨嗟の声は今でもまた、忘れられない。

【痛いっ、痛い痛い痛い痛い痛い…!!】

【許さぬ…許さぬぞ…!】

【物部の怨念は…ここで終わると思うなっ…!!!】

【蘇我ァァァァァァァァッ!!!豊聡耳ィィィィィィィィィィィッ!!!!貴様らの血が途絶えるまでッ!!!未来永劫呪い続けてやるッ!!!決して忘れるなァァァッ!!!】

その声は段々と大きくなり、布都の心を蝕んでいった。

「しかし、布都…これは」

神子は感じていた。

いつか、布都には重大な過ちを犯してしまい、この先後悔を引きずっていきそうな。

「大丈夫です、太子様。我はこれと一生、尸解仙になっても向き合っていく所存でございます。」

ざわり、ざわり

神子の胸騒ぎが大きくなる。

「では、太子様。我は引き下がらせて貰いますぞ」

「っ、待っ…!!」

神子の言葉も聞かず、ふらりふらりと布都は去る。

布都の様子が、途端に変わった。変わってしまった。

止めねば、と神子の勘が訴える。

神子が立ち上がるも、聞きがたい無数の怨嗟の声に、神子の体も不調を起こし、崩れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、はははは…」

布都の乾いた笑みが、廊下に響く。

やめろ、やめてくれと訴える声と、蘇我を殺す、殺してやるという声が響く。

相反する思いに、布都は疲れ切っていた。

ここの所、眠れていない。

なにか、入れてはいけないスイッチを押したような。

扉を歩くと、皿と壺、剣が置いてある。

布都は、その壺を手に取った。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
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