「あらあら…これはとても面白いことになりそうね」
青娥は三人の様子に、笑っていた。
別に、自分の力を見せるだけだったのに、こんなことになるとは思わなかった。
思わなかったし、見せただけでこんなに面白いことになるとは思わなかったのだ。
特に、蘇我屠自古は面白いのだ。
最初は興味などなかった。ただの神子の妻。それだけである。
だが、布都の心を知らずとはいえ破壊の一歩手前までさせ、神子と共に何か隠し事をしているのだ。
その隠し事を探ろうにも、なにも証拠などない。
屠自古の部屋をこっそり見ても、何も無い。
一つ、書物みたいなものがあったが、墨で塗りつぶされて読めなくなっている。
恐らくそれがカギだと思われるが、恐らく見られるのを恐れて、こんなことをしているのだ。
だから、今日は屠自古にちょっかいを掛けてみる。
「蘇我様、失礼します」
「…青娥…?」
屠自古の声は少し枯れている。咳をずっとしていたためか、声を出すのが辛い。
「お加減はいかがですか?」
「…良さそうに…見える?」
「全然、良くないですわね」
「………」
呆れてため息をついた。
だが表情には覇気がなく、目は少し腫れていた。
でも少し、安堵した気配を漂わせている。
「もしかして、寂しかったのですか?子どもたちに会えるのも時間が決まってますものね」
「………うるさい」
「あらあら…」
本当に怒る気配がない、というより怒る気力がないのだろう。
元気な時はもっとキャンキャンと吠えているはずだ。
それに子どもたちの前では笑顔を装っているが、決まって屠自古は子どもたちが去った後に寂しそうな顔をする。
「かわいそうな蘇我様」
屠自古の額を掻き上げる。
「なにを、言いたい」
「何も知らず、病気に喘ぎ苦しみながら、親や子どもたちに見送られて。そして、豊聡耳様や物部様と共に尸解仙になって。でも周りには貴女の愛する方はもう、死んでい…」
バチ
電気のはじける音が聞こえた。
「…黙れ」
バチバチバチバチ
「あら」
手に痛みが走った。
「もう帰れ。…私に構うな」
「ふふ、本当に面白いお方。では帰ります」
青娥はああ、そうだと口にした。
「多分ですけれど。貴女にはもう時間が残されていません。恐らく、火事場のなんとやら。貴女の中に半分流れる物部の血が起きているようですね。その雷が証拠ですね」
「……」
「では」
今度こそ、青娥は去る。
屠自古もまた、自覚していた。
太媛の時よりも、生きていけないことに。
「わざわざ…いうなよ…」
涙は出なかったが声は震える。
一人きりの部屋は、寂しくて寂しくて、仕方なかった。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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その他(感想の方に必ず記載)