東方転雷録   作:龍覇

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27話

あれから一年経とうとした時。

屠自古の命が尽きようとしている。

尸解の術は既に施された。まだ余裕があったため、布都は既に眠りについた。

術は成功しているらしく、死体は腐っていない。

次には屠自古、神子、であるが、神子もいつ死ぬか分からないため、術はもうかかっている。

「…みこ、さま」

夜。

みんな、寝静まっている。

「…屠自古…」

神子はずっと屠自古の手を握っている。

手の温もりは弱々しい。

昔と比べ、手だけではなく体全体がやせ細ってしまっている。

屠自古の目からつぅ、と涙が流れる。

「ねえ、神子様。…もし私が尸解仙になれなくて亡霊になっても。愛してくれますか?」

もう、喋る体力は無いはずなのに、病気になる前の元気だった時みたいに話すことが出来た。

神子の目は細くなる。

「ええ。…私がどんな姿になっても、愛してくれるでしょう?」

「当たり前です。…では、神子様。さようなら(おやすみなさい)。」

「はい、さようなら、愛する貴女(おやすみなさい、屠自古)

ゆっくりと、目が閉じる。

屠自古の冷たくなっていく体温を感じながら、神子は横に倒れた。

(…ああ、これが。死…)

遠くなる意識の中、目の前の屠自古を焼き付けようとする。

死んでもなお、美しい。目元は濡れている。だが横顔から見る寝顔は、とても穏やかである。

神子の頭の中に走るように思い出が鮮明に蘇る。

色あせていた、つまらなかったはずのあの日々が、屠自古によってカラフルに彩られたあの日々を。

(…尸解仙になっても、この日々が色褪せませんように)

神子の意識も、これを機になくなった。

 

 

朝。

山背は屠自古の部屋に訪れていた。

「失礼します…」

目の前の両親が倒れている様に驚いた。

だが、悟った。

「一緒に逝ったのですね、父上、母上…。…しばらく、おやすみください…」

山背は壊れてしまいそうな心に律した。

泣いてはいけないのだ。

二人が安心して、逝けないのだから。

「すみません!!誰か、来てください!!!」

「山背様…!?…太子様と屠自古様!?」

どんどんと話が変わっていく。

その中で、ぼーっとしながら山背は考える。

(僕は…いや、()は)

山背もまた、決意をした。

この家を、この国を背負うことを。

(見ててください。私は、やってみせます。)

そんな、山背もまた運命に振り回されることを知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

法師たちは、神子たちの死に、訝しむ。

この死は仕組まれたものではないか。

「…どうする。もしかしたら、外法に染まっているかもしれんぞ」

「もし、死から復活するのであれば…」

「封印しかあるまいよ」

「しかし、あの豊聡耳の一族は…」

「何も知らぬ様子だ。だが、後ろ盾がない。」

「まあ、知らないのであればいい」

「しかしとりあえずだ。封印しよう」

「そうだな」

三人が目覚めるまで、あと1400年。




アンケート、もう少ししたら打ち切ろうと思います。
差があまりなくて戸惑ってる…

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
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