「ふぁぁ……眠い……」
眠るのが遅かった対価がきている。
こうして黙って着られているが、正直立って何もしないだけで眠ってしまいそうだった。
普段は自分で着られるが、今日は客人が来るのでいつもよりも豪華な装いになるので、着る時間がかかるなどで今は使用人に任せている。
「屠自古様。まだ時間に余裕がありますが、馬子様の所へ行く前に、太媛様の所へ行きますか?」
「行く…」
少しフラフラとした足で太媛の所へ行く。
太媛は少し前に重い病を患ってしまい、今は病床に就いている。
馬子も時間を見つけては会いに行っているようだが、それでも命の灯火は刻一刻と小さくなっていくばかりであった。
「母上、大丈夫…?」
「…屠自古。大丈夫よ…ゴホッ…」
太媛は体を起こすが、体を動かす度に咳が出てしまう。
まだギリギリの状態で上体を起こせるか起こせないかのところまで来ている。
「母上、無理しないで」
小さい体で、なんとか横たわるよう促すと太媛はごめんね、と謝って、横になる。
最近の屠自古の日課は、習い事やなにか大事な用事などをやる前に、毎日太媛の所へ行っている。
そして太媛もまた、外に行けない自分の代わりに屠自古の色々な話を聞いている。
太媛にとっても、屠自古にとっても、楽しみの時間である。
「今日は父上がね、偉い方と対談があるんですって。それでね、私と同い年の男の子も来るんだよ」
「あらそうなの…仲良くなれるといいわね」
「…うん…」
(仲良くなろうにもあの人、能力で色々筒抜けになるからちょっと不安なんだよな………)
転生したこととか、見抜かれそうで怖い。
人間というのは欲があるのが当たり前。欲がないのは本当にひと握りだろう。
太媛は黙り込んだ屠自古の頭をゆっくりとした動作で撫でた。
「大丈夫。屠自古はとても優しい子だもの。その子とも仲良くなれるわ」
「どうしてわかるの?」
「…親の勘、ね。屠自古もいつかきっと分かるわ」
「そっか」
「屠自古、そろそろ時間なんじゃないかしら」
「あ、そうだね。じゃあいってきます、母上」
足早と馬子の元へと行く。
「…あの子は、どんな子に育っていくのかしら…」
太媛の声は、誰にも届くことは無かった。
「父上、お待たせしました!」
「ちょうどいいところに来たな、屠自古。もうすぐで着くと知らせが届いた。一緒に待つとしよう。」
「はい」
「…今日は母上とどんな話をしたんだ?」
「えっと…今日は励ましてくれました。…私が緊張していたのを見抜いていたみたいで。」
「そうか…。行けない私の代わりに行ってくれてありがとう、屠自古」
「いいえー」
きゅっと父の手を握る。
「馬子様」
「わかった」
客人が来たようだった。
大人たちが話をしていると、つんつんと肩をつつかれる。
「こんにちは」
「あ、こんにちは…」
目の前にいる和やかな少年。
ミミズクヘアーはこの頃から健在らしい。
「私の名は豊聡耳神子といいます。あなたの名前は?」
「蘇我屠自古です。…よろしく、お願いします…」
カチコチと体が固まる。
…憧れの二次元のキャラが目の前にいる。
人見知りも相まって、上手く口が開けない。
そんな様子を見て神子は笑う。
「そんなに緊張しても別に取って食ったりはしませんよ。おかしいですね…あの方から聞いた限りだとお転婆さんだって聞いたのですが」
「…なんて、話せばいいか分からないだけです…」
「ふふっ、そうですか。なら一旦外に出てゆっくり話でもしましょうか?」
「はい…太子様」
太子様という呼び名に自然と口にできた。
神子も少し満足気に笑うと、屠自古の手を取った。
主人公を尸解仙にする?
-
プロローグ詐欺になるし亡霊で
-
尸解仙にする
-
その他(感想の方に必ず記載)