東方転雷録   作:龍覇

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30話

これから、燃え尽きた心のまま、あと何百年続くか分からない闇を、一人で抱えていきなければならない。

だがそれもどうでもいいのだ。

もう、疲れた。

もう、憎しみたくない。

もう、怒りたくない。

もう、悲しみたくない。

それも全て、成仏すれば楽な話だ。

だが。

今こうして眠っている神子はどうなるんだろうか。

布都と二人だけで、永遠の長い時を生きることになる。

そこには、自分が成仏していれば、想像しがたい現実を何年も続く。

そんな中であの二人は支え合っていけるのだろうか。

「…あなた、おもしろいのかつまらないのかどっちにしてくださる?」

青娥はため息ついてこちらを見つめる。

そんなこといったって。

屠自古は考えたくなる。

いたい。一緒にいたい。

布都と一緒にいられるか。自分を殺した、布都を。

(…あれ)

屠自古はふと、あんなに憎んでいたはずの布都を何も思わなくなった。

「なあ、青娥」

「あら、口調が」

「んなもんどうでもいい。…お前、私に何をした?」

「それはそうですね。あなたの中の怨念を抑えただけですわ」

「…それは憎しみとか札で完全に抑え込めるものなのか?」

「いいえ、完全ではありませんわ。抑えたとしても、『あ、この人嫌い』程度にしか抑えられませんわ」

「……じゃあこれは…?うーん…?」

「あらあら、どうしましたの?」

「私さ、さっきまであんなに憎かったのに、今は何ともないんだ。なんというか…そこら辺の石ころみたいな。もしかして、ただ怒ってただけなのか?」

「そこら辺は私には分かりませんわ。さて、蘇我様?答えは?」

「このまま、待ってみようと思う。ちょっと確かめてみたいことあるし」

「ふふ、わかりました。」

ふよりふよりと浮く、白くてつるりとした霊体。

だが立てない。どう立てばいいのだろう。

「青娥…」

「はい、蘇我様」

「立てない…どうしよう…」

「あらあら…まずは、立つ練習と貴女の能力の特訓ですわね。待つにしても、ある程度の訓練が必要ですわ。それに、実戦経験もろくに無いでしょう」

「ないな。全く。…申し訳ないが、よろしく頼む、青娥」

「ええ」

この霊体はどうなっているんだろうか。

もしかしたら、コレは足になるのではないだろうか。

「……」

「どうしました?」

「このふよふよした霊体を、普通の足にしたかったんだが。無理だった」

「想像だけでも厳しいと思いますわ」

「そうか」

イメージだけでもダメだった。

しょうがない、この体と付き合わなければならない。一生。

こうして、青娥と屠自古の奇妙な生活が始まったのだった。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
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