東方転雷録   作:龍覇

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34話

場所を変えて。

そこは、神霊廟の中と似ている。

更にあるのは棺。一つの棺が開いている。

中には足だけ朽ち果てた女性の遺体。(蘇我屠自古がいた。)

そしてその棺の縁を座るのは、茶色い髪の少女がいる。

その少女は、屠自古に似ていた。(・・・・・・・・・・・・・・・)

「ねえ、母上」

その声は誰も届くことがない。

「もう少し待っててね。今、霊体の母上を綺麗にしてから、元に戻すからね。 」

蘇我屠自古の遺体をすり替えるのは苦労した。

勿論、あのミイラもまた本物ではあるが、あれは朽ちたツボと屠自古の体の一部から生成しただけである。

本物でもあるし、偽物でもある。

そして、霊体は怨霊の性質を持つ。

戻せば元通りにはなる。かつて暴走した陰惨な姿に。

しかし、タダでは屠自古は怨霊にはならない。屠自古はどこかで覚悟を決めたはずである。

それはかつて宗教戦争で犠牲となった怨念が屠自古の憎悪を掻き回し、膨張させた。それで怨霊が出来上がるものだ。

だから綺麗にする。

「母上って、綺麗だなぁ。ねえ、どんな声で、どんな口調で話すのかしら?」

少女の目には光がない。

「ねえ、目を覚ましたら、私の事を片岡って呼んで欲しいな」

片岡。

片岡女王。

豊聡耳神子と蘇我屠自古の間に生まれた、末の女の子。

しかし、片岡が生まれてから半月程で体調を崩し、やがて二人は死ぬ。

その後、陰謀極まる政界にて一族郎党、自害した、はずだった。

片岡は、何故か生き残っていた。

勿論、縄を首に括りつけていたのは覚えている。

だがどういう訳か死ねなかった。

片岡以外の家族は皆、死んでいた。

そこから、片岡の人生は周り出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…神子様」

「………屠自古?」

神子と屠自古は一緒にいた。

もちろん、屠自古は待機のはずだったが、いてもたってもいられず、神子についてきた。

だがそれでも、屠自古はついてきた。ダメだと注意しても。

屠自古は感情を奪われただけで、意思は奪われていなかった。

「少し、休みませんか?」

「流石に、屠自古も疲れましたよね…。すみません、気が利かなくて」

「私は死んでいるので疲れは無いのですが…神子様の方が心配です」

神子は欲を聞いていた。

かなりの広範囲の欲を、だ。

生前であれば倒れるレベルである。脳が耐えきれない。

今も、尸解仙の身である神子の顔色は少し良くない。

飛びながら情報を集めている。

その間に妖精が来るが、全部屠自古の援護射撃で撃墜されていた。

そのおかけで、神子は集中して聞くことが出来ている。

「しかし、少しでも早く屠自古の感情を取り戻さないと…」

「だからといって倒れては元も子もありません。…それに、私の感情が戻ったところで…」

屠自古はぼんやりと覚えていた。

怨霊となって暴れ回っていたことを。

危害を、与えたくないのだ。それで、傷つく様を見るのは、とても辛い。

「…屠自古」

神子は振り向かなかった。

「泣きたい時に泣けない、怒りたくても怒れない…それは、辛いことだと思いますよ」

「………」

二人の間に、沈黙が続いた。

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
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