東方転雷録   作:龍覇

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35話

次の日。神子は今日も奔走する。

飛んでいる最中、目の前に突如ビームが放たれた。

「太子様!!」

屠自古は咄嗟に雷を放ち、ビームと相殺された。

「っ…助かったよ、屠自古」

「いえ。…何者だ貴様!この方が何者かわかっての狼藉か!!」

黒煙が晴れたと思えば、手が突然伸びる。

咄嗟のことに屠自古は反応ができなかった。

「なっ…」

攻撃されるかと思った瞬間、屠自古は抱きつかれた。

「母上っ!!」

「は…?」

突然母と呼ばれ、屠自古は困惑した。

それは後ろの神子も同じである。

少女は屠自古より少し低い。

茶色の髪はまるで神子のような色。

「……君は」

神子は能力で分かってしまった。

「片岡、かい…?」

神子は恐る恐る聞いた。

そして、元凶もまた、自分の娘だということを。

「ええ、父上。私からしたらはじめましてですが」

屠自古から離れると顔が見えた。

顔は屠自古にそっくり。目の色は神子と同じく、蜂蜜色。

だが心なしか、片岡の目に光はない。

「片岡…?」

屠自古も動揺していたが、それでも心は突き動かされない。

「大きくなったね、と言いたいところだけど…。君は、屠自古の感情を奪った、という認識でいいんだね?」

「はい」

「なぜ、そんなことを…」

「甦らせるためです。母上に会うために」

「今こうして」

「死んでるじゃないですか。それじゃダメです」

「……っ」

片岡の笑顔は一瞬で消えた。

「なので、1回感情を抜き取りました。ちょっと、儀式的に必要だったので」

神子の耳に、とても複雑な欲が聞こえた。

悲しい、寂しい、辛い、会いたい、憎しみ、怒り、喜び…相反する気持ちが、ドロドロと構成されている。

だが神子は、険しい顔で片岡を見る。

これもまた、自分のせいか。

神子は知っていた。自分の子どもたちがどんな結末を迎えたか。

その過程で、片岡は歪んでしまったのか。

「私の能力は抜き取る程度の能力です」

抜き取る程度の能力。

感情を抜き取ったりすることも出来れば、物体も抜き取ることも出来る。

そして、人の記憶も断片的に抜きとることが出来る。

しかしその能力は繊細であり、間違えれば物であれば壊すし、人であれば廃人となる。

片岡はその能力を使いこなすのに時間をかけた。

屠自古を甦らせるために。

失敗をしてはいけない、一発勝負のために。

「母上の感情はここにあります」

綺麗な、緑色の球である。キラキラと、輝いている。

「母上の感情は、完全に無くした訳ではありません。今こうして、輝きが強くなっているのは、とても強い、感情だからです。そしてこれは」

黒い、泥である。

「母上に取り憑いた怨念です。これで、我を失っていたみたいですね。これ、混ざっちゃうと危険なものです。これをとるのはかなり難儀しました。ですからこれを取り込めば、母上は元の状態に戻ります。ですが…母上の霊体は怨霊の性質があるので、私の能力できれいにします」

「……!?」

屠自古は体から力が抜ける感覚になる。

まるで、何か出ていくような。

「…いつの間に…!!」

「そして、霊体がきれいになった時。母上を蘇らせます」

屠自古の体が透け、透明な玉となった。

「父上も来ていいですよ。じゃあね」

「待て!!!」

空間が開かれ、片岡は姿を消した。

 

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
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