東方転雷録   作:龍覇

5 / 46
5話

屠自古の話は、思った通り衝撃的だった。

令和という時代から過去である飛鳥に生まれ変わったと。

神子は後の聖徳太子となり、この国の基盤を作り上げると。

(…それならいいけど…未来はえらい大変なことになっているみたいだ…)

未知のウイルスが他国から入り込むという、失態をやらかしているあたりは恐らく上は察するあまりだろうか。それとも、余程金がないのか。

(…後のお金対策もきっちりしないといけないか)

神子の頭の中に描いている政治のビジョンに少し書き換える。

(さすがに1400もたつと変わるか…うーん……)

今の自分に出来ることはそれぐらいだろうか。もっと出来るはずだ。

神子の為政者スイッチが完全にオンになる。

だが、隣で屠自古の体が崩れ落ちた。

「…あっ、すいません、大丈夫でしたか?!」

「…大丈夫です」

緊張の糸がきれたのだろう。

欲の方も眠たいと聞こえている。寝不足だったのだろうか。

「それに太子様。この事は…」

「ええ、秘密にします。これは公になったらまずいですし。正直信じ難い話ではありますが、あなたからとても嘘言っているようには聞こえませんから。」

「…ありがとうございます」

ふわ、と屠自古が笑う。

(笑っ、た…?)

今まで見てきた顔が緊張で固まった顔と不安そうな顔だった。

笑えば可愛いだろうな、ちょっともったいないとは思っていた。

(……これは???)

聡くも、それでも幼い神子の中にある感情を理解できない。

「…やっぱり、笑えば可愛いじゃないですか」

うっかりと口にする。

神子もやらかしたな、とは思ったがそれを顔に出さない。

「…ありがとう、ございます…?」

「ふふ、どうして疑問形なんですか?」

「…それは…なんででしょうね?ふふ、なんだがバカバカしくなりました」

「これはこれは…。屠自古、そろそろ人目に出るところに出ましょう。流石に誰も見てないって言われたら心配するでしょう」

「それもそうですね。じゃあ行きましょう、太子様」

今度は手を繋いで歩く。

思ったよりも、屠自古と一緒にいるのが退屈では無さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神子は受け入れてくれた。

やはり元の聖人としての基盤が出来ている。

そのおかげで、これ以上何も詰め寄らずに納得してくれた。

今の神子は疑問を解決できたのかスッキリとしている。

対して屠自古はスッキリしつつも、どこか心地良い気分になっていた。もう、今ならいつでも寝られる気がする。

「屠自古」

ふと、隣に歩いていた神子が声をかけた。

「また今度会えたら、私と共に語りませんか?…それか、お互い忙しい身ですし、会えない間は文を送りあいたいですね」

「…喜んで」

へにゃ、と屠自古は気の抜けた笑みを浮かべると、神子は満足気に笑ってくれた。

流石に相手は子供なのでトキメキも何も無いが、神子はもしかしたら将来、タラシになるだろうなと思った。

 

主人公を尸解仙にする?

  • プロローグ詐欺になるし亡霊で
  • 尸解仙にする
  • その他(感想の方に必ず記載)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。