あれからというもの、習い事の量が増えた気がする。
芸事はもちろんのこと、武術(弓と剣)を習わせられている。
聞けば、もしもの時のためらしい。
だが今日はどういうことか、習い事が全てない。
自己練習はしているものの、急にどういうことだろうか。
「屠自古、お前に紹介する。物部布都だ」
(…は?)
まだ、太媛が死んでから1年も経っていない。精々9ヶ月だろうか。
もう、新しい人を嫁がせたのだろうか。
しかも相手は物部布都。
「ほう…お主が屠自古か!我は物部布都だ。よろしく頼むぞ!」
「……んな…」
「…?」
フツフツと湧き上がるは、怒り。
「ふざっけんじゃねーよ!!!」
衝動のままに出ていった。
「屠自古!?」
突然の汚い言葉を馬子に向けた。
屠自古は滅多に怒らない。少なくとも、馬子の前では。
突然の事に馬子は茫然として動かなくなり、布都も目を見開かせていた。
誰も、屠自古を追うものはいなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…!!!」
なるべく人目のつかない所へ。
この顔を見せてはいけない。
この、涙でグシャグシャになった顔を見せてはいけない。否、見られたくない。
「……クソッタレッ…!!!」
怒りが爆発する。爆発する先なんてどこにも無い。
誰も屠自古の頭を撫でるものはいない。
「母上が死んでからたったの9ヶ月!?ふざっけんなよぉっ!!!」
本当は、自分の口は悪い。
たが今は豪族の娘だ。蘇我の娘だ。泣くな。
「早くても2年とかならまだ良かったのに…1年も待たないで結婚とか頭おかしいだろ!!」
誰か。
この苦しみを。
「おーい、屠自古ー!!」
布都の声がした。
振り返らない。涙を収めなくては。
それでも。怒りがおさまることを知らない。
どうせ、裏切るくせに。
そんな気さえもする。布都が知っているかどうかはいざ知らず。
「心配しおったぞ。まったく、噂通りのお転婆娘じゃ……」
布都は言葉を紡ぐのをやめた。
屠自古が、泣いて、睨んでいるから。
睨んだその目は鋭く、馬子に似ていた。
「離してください。少し、気を迷ってしまっただけなので…!!」
「少しではなかろう」
「…っ!!」
手を振りほどこうにも相手は大人、そして自分は子ども。
力関係などとうに分かりきっている。
それを悟ってすぐに諦め、顔を俯かせる。
「ねえ、…母上が死んでしまった日の父上の顔は嘘だったの…?」
「…嘘ではなかろう」
「じゃあなんだ!?それなら数年待てばよかったじゃねーか!!別に結婚はいいけど、なんでよりによって母上が死んで喪にふくし終わってない今なんだよ!?」
「それは…」
「ねえ、教えてよっ…なんで、よりによって今なの…?」
怒って、泣いて疲れた屠自古は膝を崩す。
布都は泣いている屠自古の背中をさするばかり。
布都自身も、あったばかりの屠自古になんて声をかければいいのか分からない。だがそれでも、布都は声をかける。
「屠自古。なあ屠自古よ」
「…なに…」
「母様は大好きじゃったか?」
「当たり前…でしょ…」
「父様は大好きか?」
「…うん」
「今は父様の事をどう思っておる?」
「…悲しくて悲しくて、しょうがない」
屠自古はすすり泣きながら、答える。
「でも、訳があるなら教えて欲しい。…酷いこと、言っちゃったな…」
「ならその訳を知るために、父様にごめんなさいしなくてはな。…我から言った方がいいか?」
「…いい。父上から聞く」
「そうか。我もついておる。一緒に、行くぞ」
「…うん…」
布都は屠自古の手をそっと引いた。
布都が屠自古を見つけたのは物部の秘術、ということにします。
主人公を尸解仙にする?
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プロローグ詐欺になるし亡霊で
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尸解仙にする
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