こういうのは守護輝士の仕事だと思う   作:シャケ@シャム猫亭

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深淵を覗き込むときには注意が必要である

「ザンバッ!」

「おう、ミズーリ。遅かったな」

「アンタが速すぎんのよ!」

 

 ザンバに遅れること十数秒、ミズーリも戦いの場に到着した。

 そしてすぐに要救護者が居ることに気づき、躊躇なくスターアトマイザーを空へと放る。

 頭上三メートルほどの高さで砕けたそれは、光の粒子となってミズーリたちに降り注ぎ、身体に負った傷を癒す。だが、ザンバに庇われている要救助者の傷は深いらしく、未だ血が止まらず重篤な状態だ。

 ちゃんとした治療をしなければ、命が危うい。

 

「けど、そう簡単にはやらせてくれないわよね」

 

 空からこちらを見下ろしている剣士は、こちらにガンガン殺気を飛ばして来ている。

 隙あらば斬りかかってくること間違いなしだ。

 

「貴様■、そいつ■仲間■?」

「ん? いいや、違うぜ」

「……訛り■キツ■■聞き取■■」

「オレもだ」

「いや、なんで会話成立してんのよ」

 

 まだ本当に、単語でやり取りするぐらいしかできないはずの翻訳機で、何で会話が成立しているのか。

 

「何となく」

「フィーリングか」

「オレは空気読める男だからな」

「つまり私に迷惑かけるときは読んでない(・・・・・)と?」

「いいや、必要がないと言ってくれ」

 

 何が違うんだと、ミズーリは呆れる。

 

「で、二対一だけど──やるか?」

「そうだな。味見■■■■する■■か」

 

 そのまま上空に居れば有利を得られるのに、剣士はわざわざ地上へと下り、二人と向き合った。

 ああ、こういう手合いには何度か遭遇している。己の腕に自身がある奴だ。

 二人は油断なく構える。

 同時、ミズーリは剣士の状態(・・)に確信を持った。

 

「間違いない。ダーカーに侵食されてる」

「ってことは、あの教会の破壊はこいつが?」

「可能性は高いわ」

 

 ダーカーに侵食されたモノは、ダーカー以外のモノに対する強い破壊衝動を持つようになる。

 それまで一緒に暮らしていた同種のモノでさえ、攻撃対象となるのだ。

 

「■■、■■■」

「来るぞッ!」

 

 ダンッと一歩の踏み込みで最高速に達した剣士は、最短距離でザンバとの距離を詰めると、右の一刀を上段から振り下ろした。

 ザンバは肩に担いでいた大剣、ノヴェルソードを振り下ろして迎え撃つ。

 

「ほう、ケーニッヒを■■■■■砕けぬ■■、良い■■■■だな」

「だろ?」

 

 続いて突き出された左の二刀を半身になることでよけると、ザンバはお返しとばかりに剣士の腹に蹴りを入れる。

 ただの蹴りのため大したダメージは入らないが、体格差によって向こうを間合いの外に弾き飛ばせた。

 

「ソニックアロウッ!」

 

 ノヴェルソードを振るい、フォトンの斬撃を飛ばして追い打ちをかける。

 剣士は迫る斬撃に対し斬撃が迫る手前で黒刃を振った。

 何かをしたのだろう。しかし、斬撃は飛び続ける。

 驚いた剣士は慌てて横に跳んで回避するが、右足が遅れた。膝から下が落ち、剣士は痛みに顔を顰めながらも、それでも右の一刀を杖がわりにして立っていた。

 

「貴様、■■■ではない■ッ」

「アークスだ。それより、オレばっか見てていいのかよ?」

 

 その言葉に合わせるように、剣士の死角からミズーリが迫る。

 直前で気付いた剣士は避けられないと判断し、二刀を交差させて銃剣による下段からの切り上げをガードする。

 

「ッ!」

 

 だが、ミズーリの見た目に反してその一撃は重い。その上、片足が無いために踏ん張りが効かない。

 剣士の身体は空へと打ち上げられ、ミズーリは追撃に銃身からフォトン(バレット)を放つ。

 これも先ほどザンバが飛ばした斬撃と同様と見たのか、剣士は回避を選択する。即座の判断によって長い髪の一部が掠り消えるに留まった。

 そのまま剣士は飛んで距離を取る。

 

「■■が追いつかない──いや、■■■■? それに、その■■……」

「……ごめん、私は何言ってるかさっぱりだわ」

 

 ミズーリの銃剣、ノヴェルスラッシュについて何か言ってるのはわかるが、それだけだ。

 つまり、こちらの言葉もどうせ通じない。

 

「──ッ!」

「ワーオ、足が()えたわ」

 

 ダーカーにはよくあることだ。グジュグジュと泡立つように肉が盛り上がって再生したり、大気中のダーカー因子を集めて腕にしたり。

 剣士はそれとは違いズボッっと再生する分、目に優しい。

 

「でも、何度もできるわけじゃなさそうね」

 

 再生直後、明らかに疲労の色が見えた。恐らく体内のエネルギーを消費して再生しているのだろう。

 

「とりあえず、貴女には聞きたいことがいっぱいあるわ」

 

 なぜダーカーに侵食されているのか。なぜそれでも意思を保っているのか。

 データに無いダーカー因子の正体は何なのか。そもそもこの惑星は何処なのか。

 

「大人しく、投降してくれない?」

「■■■■■■■」

「嫌だってよ」

「それじゃ、ふん(じば)りましょ」

 

 ミズーリはノベルスラッシュを剣士に向け、銃身にフォトンを圧縮(チャージ)する。

 一段、二段とチャージが溜まるにつれ、銃身が明らかに光りだす。

 強力な一撃が来ることを剣士も察したのか、ミズーリを睨み、回避の構えを取る。

 そして、今まさに放とうとしたところで横槍が入る。

 

「っと、させるかよ!」

 

 森の奥から激しいマズルフラッシュと轟音が鳴り、ミズーリに向かって数多の弾丸が迫る。真っ先に気付いたザンバが、己が大剣を盾にしてミズーリを庇う。

 雨のように弾丸がザンバのノヴェルソードを叩くが、その程度ではビクともしない。

 と、雨が止むのと同時、シュポンと気が抜けた音がした。

 

「伏せて!」

 

 ザンバがさっと身を屈め、ミズーリは音の正体を撃ち抜く。

 が、向こうが一枚上手だった。

 撃ち抜いた擲弾(てきだん)はボンッと周囲に煙を撒き散らし、一瞬にして視界がゼロになる。

 

()く■サイ姉!」

「アルか!」

「坊主■■捕まえた。それに■の奴らが■■■!」

「っち、ここまでか」

 

 煙に包まれる前、一瞬見えたのは赤髪の女。先の攻撃は彼女によるものか。

 ザンバが大剣を振るい周囲の煙を吹き飛ばしたときには、向こうは逃げの一手を打っていた。

 二人の気配が離れていく。

 

「どうする?」

「人命優先。引いてくれるに越したことないわ」

 

 惜しいことは惜しいが、それで優先順位を間違えてはいけない。

 ミズーリは腰に銃剣を収めると、倒れている人に駆け寄った。到着したときにスターアトマイザーを使ったが、未だ出血をしている。

 すぐさま傷を癒す光のテクニック、レスタを放つ。だが傷は塞がらず、出血も止まない。

 

「ッ、負傷(インジュリー)ね!」

 

 傷口にダーカー因子がまとわりつき、フォトンを弾いて回復を阻害していた。

 ならばとミズーリは浄化のテクニック、アンティを放つ。傷口のダーカー因子が取り払われ、これでようやく止血ができるようになった。

 

「レスタッ!」

 

 フォトンにより新陳代謝を促進して傷を癒すのだが、ここまで傷が深いとそう簡単には治らない。

 動脈などを重点的に治すため、手のひらにフォトンを集めて傷口に当て、集中的にレスタをかけていく。

 

「…………ふう、これでよし」

 

 急いで、けれど慎重に大きな血管を繋ぎ、ミズーリは汗を拭った。

 失血が多いためまだまだ危険な状態ではあるが、何とか落命までのカウントダウンは止まった。

 後はゆっくり、丁寧に治せばいいだろう。どうやら女性であるみたいだし、傷が残らないようにしなければ。

 

「ザンバ、タオル」

「ほい」

 

 渡されたタオルに水をかけて濡らし、血に塗れた女性の顔を拭いて顔色を確かめる。

 

「青白いけど、まだ生気はある…………へ?」

 

 間抜けな声を上げて、ミズーリが固まった。

 目を何度も瞬きさせ、さらには目をゴシゴシと擦っては何度も女性の顔を見る。

 そして震えた声で、その名を口にした。

 

「れ、烈火の将シグナム……?」

「ん? 知り合いか?」

「いやいやいや、そんなわけ無いじゃない」

 

 知り合いというのは、お互いに相手のことを知ってるから知り合いなのだ。ミズーリが一方的に知っているだけでは知り合いとは言えないし、そもそも知り合うことなど不可能。

 だって、そう、なぜなら────

 

「ミズーリッ!!」

 

 声を上げ、ザンバがそれ(・・)に割り込んだ。

 ミズーリの目の前で金色の大剣とノヴェルソードが鍔迫り合い、だが相手の勢いに負けてザンバの足は地を滑り、地面には二本の線が出来る。

 ザンバは強引に大剣を振って襲撃者を弾き飛ばしたが、相手は空中で姿勢を戻すと稲妻のような速さで飛んでザンバとの距離を詰めた。

 

「ッ!」

 

 ザンバを援護しようと銃剣を腰から抜いたのと同時、ミズーリは自身に迫る弾丸を察知する。

 森の奥から飛んできたのをフォトン弾で撃ち落とし、お返しに予備の弾倉を弾が飛んできた方へと投げつけた。続いて飛んできた弾丸を後ろに転がり避けると、ミズーリは暗がりに消えた弾倉を正確に撃ち抜いた。

 弾倉内部に貯めていたフォトンが爆発を起こし、近くにあった木が根元からへし折れる。

 ザンバはその爆発音に相手が一瞬気を取られた隙を見逃さず、剣の腹で相手を殴打し、今度こそ弾き飛ばした。

 そこへ追撃を入れようとミズーリが銃口を向けるのだが、

 

「下がれ!」

 

 ザンバの声に、咄嗟にバックステップを踏む。

 目の前で戦鎚が地面へと突き刺さり、その衝撃波でミズーリはザンバの方へと吹き飛ばされる。

 

「おっと」

「ナイスキャッチ」

 

 飛ばされてきたミズーリを、ザンバは抱くように受け止める。

 礼を言うとミズーリはすぐさまその腕から下り、襲撃者たちへと顔を向けた。

 

「……まさかとは思ったけど」

「なんだ、こいつらも知り合い?」

「違うわよ。けど──」

 

 ──知っている。

 私は彼女たちを、知っている。

 

「武器を■■■、投降■■■■■■」

「……どうする?」

「ああうん、今回は何となく意味わかるわ」

 

 してもいいが、その前に確認することがある。

 それさえ確認できれば、恐らく悪いようにはなるまい。

 ミズーリはザンバに斬りかかった襲撃者を指差し、その名を告げる。

 

「フェイト・テスタロッサ?」

 

 美しい金髪を持つ女性は、こちら警戒しながらも肯定の頷きを返した。

 続いて、森から姿を現した狙撃者に指を差し、名前を告げる。

 

「ティアナ・ランスター?」

 

 こちらも警戒しながら肯定の意を返す。

 ならばと、こちらに敵意を丸出しにし、今にも襲いかかってきそうな赤毛の少女を指差し、その名を告げる。

 

「ヴィータ?」

「■■■■■■■ッ!」

 

 噛み付かんばかりの返答。

 その小さな背で、烈火の将シグナムを庇うようにして立っている。

 そして最後にミズーリは上空を見上げ、そこからこちらを狙う女性を指差し、言った。

 

「──タカマチ・ナノハ?」

 

 返答は無い。

 だが、彼女らの反応を見る限り、間違いないようだ。

 

「……無いと思って潰した可能性が、まさか正解とはね」

 

 ハハッと乾いた笑いが、ミズーリの口から漏れる。

 そして手に持っていたノヴェルスラッシュを腰に収めると、ゆっくりと両手を上げた。

 

「いいのか?」

「いいのよ。向こうは主人公だもの」

「なんだそりゃ?」

 

 そう言いつつも、ザンバも大剣を収めて手を上げる。

 向こうはこちらの素直な様子に戸惑っていたようだが、すぐに気を取り直すと二人の確保へと移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──次のニュースです。ルヴェラ自然保護区にて指名手配中の凶悪犯によるものと思われる殺人・傷害事件が発生しました。この事件により聖王教会のシスター三名が死亡、犯人と交戦した武装隊の航空魔導師二名が意識不明の重体となっています。

 応援に駆けつけた武装隊によって犯人グループの一部と思われる男女二名の身柄を拘束しましたが、他二名が現場から立ち去る様子も目撃されており、地元警邏隊が行方を追っています。

 また、事件の凶悪性から、時空管理局本部は本事件について本局次元航行部・脅威対策室が事件の捜査を担当することを発表。特別編成の特務課が捜査と状況対応を行い、全力を持って事件の解決と犯人の確保を行うとのことです────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、二人とも次元航行船内の拘置室と」

 

 拘束された二人は、そのまま近くに停泊していた次元航行船へと連れて行かれると、割と問答無用で四畳半ほどの狭い部屋に押し込められてしまった。ザンバも多分、同じような所だろう。身体検査の際に分かれてしまったので、何処行ったかわからない。

 部屋にはベッドが一畳使用してるので、空きスペースは三畳ちょっとしかない。机もなく、本当に寝るためだけの部屋、いや拘束するためだけの部屋だ。

 因みにトイレは別、すりガラスの扉の先にある。

 

「ザンバと連絡取りたいけど、端末取られちゃったしなぁ」

 

 アイテムパックの外に出していた物は全て、服すらも押収され、今は白い貫頭衣(かんとうい)一枚しかない。まあこの世界、髪留めが武装一式になったりするし、身包み剥がされるのは当たり前といえば当たり前か。

 

「──ほいっと。私はこうして予備があるけど、ザンバは持ってないし」

 

 フォトンによる亜空間収納──アイテムパックからイヤリングを取り出し、耳につける。

 ミズーリの端末はアイテムパックの中に本体がある。没収されたのは、モニターやコンソールの役割をする物で、それならこうして予備がある。

 前からザンバには予備を買っておくように言ってあったのだが……まあ買ってないだろう。

 早速空中にモニターを映し、言語解析の進捗を確認する。

 

「ん、100%。これでようやく言葉が通じるわね」

 

 解析結果を翻訳機能に反映させ、ついでにザンバの端末へも送っておく。

 そうしてベッドに座りカタカタと作業していると、唐突に通路側の扉が開いた。

 入ってきたのは女性下士官と──ティアナ・ランスターだ。

 

「そのデバイス、渡して下さい」

 

 監視カメラでこちらを見ていたのだろう。ティアナは入ってくるなりそう言ってイヤリングを指差した

 

「申し訳ないですけど、これ翻訳機なので勘弁してくれません?」

「……ではその代わり、取り調べに応じて頂けますか?」

「もちろん」

 

 これまで二人は、捜査官たちの前で無言を貫いていた──というよりかは、端末を押収されたせいで言葉がわからず、無言にならざるを得なかった。

 翻訳機が完成した今なら、誤解なくこちらの事情を話せると踏んでいる。

 

「ああでも、私も色々聞きたいのですけど」

「…………答えられる範囲であれば」

「結構です」

 

 少し考えてから出たティアナの答えに、ミズーリは満足そうに頷く。

 

「では──貴方達はフッケバイン一家(ファミリー)ですか?」

「違うし聞いたこともないですね。私達はアークスです」

「アークス……また別の一家ですか」

「いやいや、そもそも私達犯罪者じゃないですから」

 

 ……多分。

 知らずに法を犯してない限りは。

 

「それより、今日は何年の何月何日ですか?」

「? 新暦82年1月23日です」

「とするとStrikerSから……6年後かぁ」

 

 通りですっかり大人の女性になっているわけだ。

 この分だと、エリオ君はどうなっていることやら。

 

「というか、そもそも何で私達捕まってるんです?」

「嫌疑は教会でのシスター殺人に、武装隊への傷害及び危険物の所持の現行犯。フッケバイン一家としての余罪ですが……」

 

 殺人とフッケバイン一家の件は、間違いなくミズーリ達じゃない。

 危険物の所持は……もしかしたらそうかもしれない。地球の東京エリアは銃刀法なるものがあり、武器をそのまま持ち歩くと逮捕だった。そのため、武器にぬいぐるみの迷彩などを被せて誤魔化してた。

 もし同じような法があるならば、確かに現行犯だ。

 それと、一番気になるのが、

 

「武装隊って烈火の将シグナムですか? それとも、シグナムと戦っていた女剣士?」

「シグナム一等空尉が戦っていた? …………シグナムに傷を負わせたのは貴方たちではないのですか?」

「むしろ治療したんですが……私達が戦いに割り込んだときには、相当危なかったですよ」

「……その相手のこと、詳しく教えて下さい」

 

 問われミズーリは、あの剣士の身体的特徴、武器と再生のこと、それから首元にあった痣について語る。

 それを聞くとティアナは何処かと連絡を取るため、一時席を外した。大方、上司に報告してるのだろう。

 その間に一緒にいた下士官が簡単な質問──年齢や住所等──を聞いてきたので、正直に答える。もっとも、言ったところでこの世界には無いのだが。

 しばらくして、ティアナが人を連れて部屋に戻ってきた。

 

「お邪魔するで」

 

 そう言って新たに部屋に入ってきたのは、メインヒロイン最後のひとり。

 

「私は八神はやて。この船の艦長で特務隊司令や」

「オラクル船団 アークス戦技開発部 零式戦技開発課のミズーリです。家名はありません」

 

 姿はそう変わっていないけれど、やはり知ってる頃より雰囲気が大人になっている。

 この6年で、酸いも甘いも経験したのだろうか。

 

「シグナムのこと守ってくれたそうで、感謝します。その上で聞きたいんやけど──貴方達、何者です?」

 

 身分証明書は無く、管理世界の戸籍もなし。

 管理外世界からの次元漂流者なのだとしても、調書で出た固有名詞に該当するものは何もなかった。

 

「アークスって何度も……いや、ここじゃ二回目か」

「そのアークスってのは──」

「ああうん、一から説明します」

 

 ミズーリははやてとティアナに、これまでの経緯を順を追って話す。

 小一時間後、途中で脇道に逸れながらも説明を終えると、ミズーリの目の前で二人は頭を抱えていた。

 

「次元漂流者なのは分かったけど、フォトン、エーテル、ダーカー……あかん、説明されてもさっぱりや」

「本局のデータベースにもありませんし……」

「その辺は魔法の一種だと思ってくれれば。私も専門家ではありませんし、細かい原理までは説明できませんから」

 

 ザンバなんかフォトンのことを「すっごいパワー」としか理解してない。エーテルも「フォトンにそっくりなパワー」くらいだろう。それでもアークストップクラスの戦闘力を有しているんだから、まったく天才というやつは。

 

「それで、ミズーリさんの目的はなんや?」

「元の世界に戻ること……手段はまだ検討も付いてませんが」

 

 ここはアークスシップのある宇宙とは別宇宙にある惑星地球の、さらに平行世界の地球とリンクした別次元の惑星であることは分かった。

 ……ややこしい。もっとシンプルに行こう。

 ここは、『リリカルなのは』の世界であることは分かった。だがそれが分かったところで、帰る手段にはなりえない。

 というか、そもそもどうやってこの世界に飛ばされたのだろうか。地球だからエーテルが関係してるとは思うが…………そういえば、前に碇シンジという地球の娯楽文化、二次元の存在がエーテル体となってアークスシップに来ていた。あのときは第六使徒とかいう青い巨大メセタンの対応で有耶無耶になったが、もしかしてその逆パターンだったり?

 だとすると、こちらにも思いを具現化する何かが──

 

「ミズーリさん?」

「っと、少し考え事してました。それで、私達としては元の世界に帰る助力をお願いしたいのですが」

「そうですね、次元漂流者の方が帰還するための支援というのは問題ありません。そういう制度もありますから」

「せやけどその前に、聞かなきゃあかんことがあるんよ」

 

 そう。

 それは、

 

「どうして、私達の名前、知ってたん?」

 

 はやては笑顔であるが、目は笑っていない。

 はやての言葉に、ミズーリは詰まる。顔が怖いというよりかは、単純に答えに困る。

 言うしかないのだけれど、言っていいのだろうか。

 いや、大丈夫か。アークスも地球ではPSO2とかいうゲームだったし、そのときも別段ショックではなかった。ただそれ(・・)を窓口にこちらの世界を覗いているというだけだ。

 

「あ~……はやてさんはアニメって知ってます?」

「アニメ? 無論知っとるけど、それと何の関係が?」

「平行世界の地球ではですね、貴方達の活躍は創作物で、アニメになってるんですよ」

「…………へ?」

 

 ミズーリは宙にモニターを出すといくつかの画像を映し、説明を始める。

 予想外の答えに唖然としていた二人はどんどんと顔色を変え、そして別の意味で頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




Tips

アークス戦技開発部:フォトンアーツを開発している部署。A.I.Sを開発する部署があるんだから、PAも多分ある。

ネタ切れ:シャケのストックはあと1話分しかない。
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