プロローグ
月曜日。
それは一般的に言うと憂鬱な日の始まりである。
神崎怜もその一人だ。といっても学校が嫌なのではなく、その空気が嫌なだけなのだが。
いつも通りの時間にいつも通りの無表情で教室に入る。
「おはよう、神崎くん!」
「おはよう、神崎くん いつも同じ時間よね」
「あぁ おはよう」
怜に挨拶をしてきたのはこの学校で二大女神などと言われている白崎香織と、八重樫雫だ。
白崎は元気に八重樫は少し呆れたような声音で挨拶をした。
何故怜が二人と親交があるのかと言うと、怜の友達?の南雲ハジメという人物に白崎がよく話しかけに行き、ときたま暴走し、それを八重樫が止めるという漫才みたいなことが起きる過程で、少しながら接点を持っただけだ。
ちなみに白崎は自分が気づかないほどの淡い恋心を、南雲に抱いているのだが、八重樫以外に気づいている人は居ない。
そしてその近くにいつもいるのが、天之河光輝と坂上龍太郎だ。
天之河は完璧超人で、人助けをよくしているが、他人を疑わず更には都合が悪いと無自覚でご都合解釈をする。無自覚というのが恐ろしいところだ。もちろん八重樫はその悪癖を、何度も指摘しているが笑って流し、治る気配がない。
坂上は天之河の親友にして脳筋。それ以外の説明のしようがない
「おいおい、俺たちには挨拶もなしか?」
「? お前たちは挨拶をしてないだろう?」
その言葉を聞いた天之河は顔を少し顰め言葉を募ろうとするが、その前にある大きな声が教室に響いた。
「よぉ、キモオタ!また、徹夜でエロゲか?」
その人物は檜山大輔。何かと南雲に対して敵対心を持っている。原因は、白崎が自分より劣っていると思っている南雲に構うからだ。
「おはよう南雲くん!今日もギリギリだね」
白崎が南雲に対して笑顔で話しかけた途端、教室にいる大半の人達から、敵意と侮蔑と呆れが乗った視線が向けられる。怜の近くにいた八重樫と天之河、坂上も南雲に近づき、八重樫が挨拶をする。
そんな中、天之河が南雲に、香織に迷惑をかけるな、などというので怜は・・・
「天之河、それは違うぞ。白崎はただ単に南雲と話したいだけだ」
と天之河に伝える。
「そうだよ光輝くん。神崎くんの言う通り、私が南雲くんに話したくて話してるだけだよ?それに迷惑だなんて思ってないよ?」
白崎が怜の言葉に同調して教室の空気が、さらに殺気だっていく。
もちろんこれと似たような会話を、毎朝してるのでクラスの何人かは、白崎が好意から南雲に話しかけているのは知っている。
「え? あぁ、香織はホントに優しいな」
当たり前だか天之河はそれに気づいていない。白崎自身が否定した迷惑と思っていない発言も、南雲に気を使っていると思っている。
その光景に怜は天之河に対して嫌悪感を募っていく。
それと同時に南雲は、自分の席に座り怜にカバンから出した本を出す。
「これ、昨日言ってた本の新刊」
「あんがと。この主人公結構いいと思うんだよ。」
「だよね!僕もそう思う!」
「だがそれより、お前のスタンスは知っているが、折り合いをつけてくれよ」
その言葉に南雲は・・・
「アハハ……」
愛想笑いで返した
そして授業が始まると南雲は夢の世界の住人になり、周りからまた敵意をむけられていた。
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午前の授業が終わり昼休みになると怜は弁当を食べ、南雲は目を覚ましたあとチャージゼリーで昼を済ませまた寝ようとしていた。
そんな中、白崎は南雲に近づき・・・
「珍しいね、南雲くん。良かったらお昼一緒にどう?」
それを聞いた南雲は抵抗とばかりにチャージゼリーの残骸を見せるも。
「えぇ!お昼それだけなの!?私のお弁当分けるからちゃんと食べようよ!」
白崎は止まらなかった。その時、天之河が・・・
「寝ぼけたままで香織のお弁当を食べようなんて俺が許さないよ?」
などと言い、白崎がそれに対し何故、許可がいるのか本当に分かってなさそうに答え八重樫が吹いていた。
怜はその問答をみて、南雲なら、異世界に飛ばされないかなと思っているんだろうなと思い、お弁当を片付けようとした時、天之河の足元に魔法陣らしきものが輝き、教室全体を包み込み、視界が真っ白に塗りつぶされた。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
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