「国境どうやって越えるか考えてなかった」
ふと歩きながらガスパディーンがそんなことを言った
「…えぇ?じゃあ僕達国から出られないじゃん」
「一応不法出国という手があるが…おすすめはできんな。バレたら国中で手配される。それに加えて俺達は魔族だ。絶対ろくなことにならん」
デルタとカインはそう言ってガスパディーンを見る
「冒険者ってことで行けないかなぁ?」
ガスパディーンが俺を見てそんなことを言ってくる
俺は首を横に振って無理だとアピールする
「流石に無理だろ。冒険者も自分が冒険者だと証明する証明書みたいなのを国から貰うんだと。それを見せれば国境も簡単に越えられるらしいが…まぁ魔族だけの冒険者パーティーなんぞ門前払いだろうな。そもそも証明書すら貰えんだろ」
「あーやっぱり?ならどうするか…」
俺の説明を聞いてガスパディーンは頭を悩ませる
そもそもの話、何処の国でもそうなのだが国境警備はとんでもなくお金を掛けている。
というのも昨今なかなか物騒で、国内での反乱がソコソコ起きている。しかも最近はとある帝国が周辺国家に戦争をふっかけ領土を拡張してるという話もある。なので国境をガチガチに固めるのも当たり前なのだ。
今は出るだけだがエンジェリオンに向かうためにはいくつもの国境を突破しなければならないだろう。なので冒険中は常に付きまとう問題なのだ。まぁ通過する国のトップとか権力を持った人物と関係を結べれば話は別だが。
そんな関係もない俺達は冒険開始僅か数時間でリタイア寸前まで来ていた。
「はい!じゃあ何か良い案ある人!挙手!」
ガスパディーンが何も思い付かなかったのか半ばやけくそ気味に俺達に聞いてくる
「はい!」
「はい早かった!カイン!」
「国境警備の皆さんを骨抜きにする!」
「お前しかできない!却下!はい次!」
「なら!」
「はいデルタ!」
「警備を全員殺す」
「物騒!絶対手配される!ダメ!次!」
「…!」
「はい!えーと…Mark.6!」
「……!」
「…アヘン、通訳」
「えーと『飛んでいけば良いよ!』だってさ」
「いやそれ誰もできない!却下!」
大喜利かな?いや大喜利にすらなってないわ。てかこれ全員真面目に言ってるのが怖いわ
「アヘンはなんかないのか?」
「あ?あー…」
あーそういえば国から外に流れる川があったな…
「…川下り?」
「……それ採用」
●●●●●●●●●
国には一本だけ巨大な川が流れている。
その大河から人工水路を引いたりして農業などを行っているのが俺達の国だ。
ではその大河は何処から流れているのか?
勿論国外からである。
つまりこの大河を下っていけば自然と国外へ出られるのだ
取り敢えず川まできた一行はそこでまた頭を悩ませていた。
「いや確かに川下りは良い案だと思ったよ?でもさ…どうやって下んの?」
ガスパディーンがそう言い大河を見る
大河の流れは油断すればすぐに流されてしまうほどの激流だった。
「流石にこんなに早いとは思ってなかった」
「うわー…これ流されたら終わりだね…」
「流石に俺は泳げないからな…船でもあれば良いんだが」
「…(ガクガク)」
それぞれがそれぞれの大河を見た感想を言う
いやMark.6は怯えていたが。
「でも近くに船なんてないぞ?」
ガスパディーンが辺りを見渡してそう言う
ガスパディーンの言うとおり、ここ周辺は特に何もない森のなかだし船が止まりそうな気配なんて全くといっていいほどしなかった
「…ないなら作るしかないね」
カインがそう言うとデルタも「そうだな」と賛同する
「いや作るったってお前ら船作れんの?」
アヘンがそう言うとガスパディーンはチッチッチと人差し指を振る
「アヘン…僕達は学園で何を習った?」
「あ?あぁー…魔法?」
「そう!魔法!ほら先生も言ってたでしょ?『困ったらとにかく魔法使え』って。つまり魔法は全てを解決する!」
「ぜってぇそんなうまく行かないって…」
「できたよ!」
「はぇぇなおい」
カインが一隻の木でできた船を持ってくる
まぁ見た感じは普通の船だが…
「じゃあね取り敢えず浮かべてみるか」
ガスパディーンが船を持って大河に置いてみる
勿論流されないように船には近くの大木に巻き付けているロープを着けて。
大河に置くと船は浮かび問題は無さそうだった
「おぉー」
「これなら行けるでしょ!」
「確かにこれなら…」
そう言ってガスパディーンが船に乗ると「バッキィ!」と船が音を立てて真っ二つに割れた
「あっぶな!?折れたよ!?船折れたよ!?いやこれ割れた!?」
「あーやっぱりガスパディーン太ってるから」
「重量オーバーだな」
「いやオークとしては痩せてる方よ!?これでダメならもうダメだろ!」
「フッフッフッ…甘いなカイン!」
そんなこ所に現れたのはデュラハンのデルタ
「俺の船を見よ!」
デルタが持ってきた船は…石だった。
「いやもう浮かべなくても結果見えてるって。やるだけ無駄だって。」
「なんで?なんで石で行けるとおもった?」
「やってみなきゃわからんだろ!?」
そう言ってデルタは石で出来た船を大河に浮かべようとするが案の定沈んだ。当たり前である。
「うぉぉぉ!何故だぁぁぁ!」
「頭がないから知能も低下してんのか?」
「クソっ!ならば次はこの『アイアンタイタニック』で…!」
「鉄じゃねぇか。もっとダメだろ」
「氷山に当たりそう」
「いやそもそも俺も鎧着てるから木じゃダメなのよね。重さに耐えられないのよ。」
「じゃあ脱げや」
「いやん」
「気持ち悪」
「ひでぇや」
「…!…!(バシバシ)」
そんなやり取りをしているとMark.6がアヘンの肩を羽で叩く
「ん?どうしたMark.6…って何その立派な船!?」
そこには普通の漁船のような船があった
「おぉー!これなら俺でも行けそうだ!」
デルタが船を見てそう言うとそれに賛同するようにガスパディーンもうんうんと首を縦に振る
「これなら快適に行けそうだね!…え?」
船に乗って中を見ていたカインの動きが止まった
「どうした…あ?」
「なになに?…あー」
「どれ?…なるほど?」
三人がカインの見ている部屋を見るとそこには骨が散乱していた。
「まぁ遭難してってことだろ。でも使えるなら使うしかないな!ヨシ!」
アヘンがそう言うとデルタとガスパディーンが頷いた。
寒いのか暖かいのかはっきりしてほしい…