その日、サキュバスは“人間”を知った 作:とある組織の生体兵器
「そんなことがあったわね…。」
「…C…そうだな…。そんなやつだったな…。」
Rが目を閉じながら話し、Dが目線を床に伏せていた。
「…そろそろ11時だ。さっさと行くぞ。」
「…早いわね。」
RとDとサキュバスたちが店を出る。
…………
「……。」
そして、DはRの住んでいるマンションについた。
「…今日はありがと。」
「構わん。」
「3日後にまた、挨拶しに来てね。」
「……。」
Dは何も言わず、踵を返して歩く。しかし、一応手はふらふらと振っていた。
「…本当にありがと…。」
ピクリ
その言葉を聞き逃す狼女ではなかった。
「さてと…。残り時間…。」
「10分。」
「了解した。ここから移動距離、自動車なら20分だが、疾走するぞ。」
「サキュバスちゃんは、私の背中に捕まっててね。」
「え?」
狼女が手も地面につき、4足で走るような体勢になる。Dはクラウチングスタートの姿勢だ。サキュバスが狼女の背中にうつ伏せになった途端…。
「ドン!」
シュパッ!
ダッ!
二人が走る。
(速い速い速い速い!風がすごい!隣に…少しリードしているDが…!こっちより速い!)
車のスピードを超えた二人。あっという間に家に着いた。
「ただいま…。」
「1…0時。ふふふ。」
家に入った途端、鬼が待ち構えていた。
「ギリギリセーフ。2秒前ね。ふふふ…。」
鬼が時計を見せる。
「まぁ…。よかった…。」
「うん…。」
D、狼女、サキュバスが洗面所でいつもの作業をする。
「…俺の飯は…。」
Dが周りを見る。が、食べていたはずの夕食はない。
「皆んな勿体無いからって、食べちゃったわ。ふふふ。」
「……。」
Dは無表情を突き通したままだが、後ろのちょっとした空気で、ガッカリしているのがわかる。
「…そんな残念そうにしないで…。ふふふ…。」
「…食品を無駄にしないことは良いことだ…。良い子たちに育ってくれて嬉しいぞ…。…まぁ、この前もらった戦闘糧食があるから…。Rにもらったから信用は出来ないが…。」
「はいはい。作ってあげるから、元気出して?」
狼女が割烹着を着て、支度をする。
「…簡単なので良い?」
「いや、戦闘糧食…。」
「お肉焼くから。」
狼女は有無を言わさずに作った。
「はい。…て!何してるの!?」
「いや、勿体無いからこれも一緒に…。」
「えいっ!」
バシィ!
狼女がその糧食を手で弾き、鬼が見事にキャッチする。
「はい!あーん!」
「いや、自分で食える…。」
「……。」
つい勢いでやってしまい、断られて恥ずかしがる狼女。サキュバスはもう隠す気ゼロだなと思った。
「匂いは果実の匂いだけど…意外と不味いわね…これ…。ふふふ…。」
鬼はその戦闘糧食を食べて、そんな感想を述べる。そして、食べ終わり次第すぐに口直しに酒を飲んだ。
「…美味いぞ…。よくやった…。」
「えへへ。」
狼女は撫でられて、幸せそうな顔をする。鬼はその様子をテーブルの椅子に座りながら、酒の肴にして見ている。
「…ところで、ハーピーは…いた。」
サキュバスは、鬼の布団に死んだように横たわっているハーピーを見つける。傷は修復しかけているが、まだ深い。眠っていた。
「Dがいるのに…。」
「その傷じゃ、今まで起きていたことこそ不思議よ…。それにしても、サキュバスちゃんはもうこの生活に慣れ始めているわね。一昨日よ?来たのは。ふふふ…。」
「…今まで住所を転々と移動して、催眠をかけていたから…。元々その家に住んでいたって思わせる催眠…。だから、ボロを出さないようにこっちも装うようにしているの。多分体がそう対応して、今もそうなっているんだと思う。」
「ふふふ。」
サキュバスが言い、鬼が興味深そうに笑う。
「でも、『サキュバス』って色々と…経験豊富なイメージだけど、サキュバスちゃんはどうなの?」
「へ…?いや、経験数ゼロだけど…。」
「え?なんで?」
狼女が聞くと…。
「そうだな…。例えば、狼人間は夜になると変身するイメージがあるが狼女はどうなんだ…?」
「知ってるよね?昼でも少し半妖怪化していたし…。」
「それと同じだ…。他にも、銀の弾丸で撃たれれば死ぬとか…。」
「何で銀の弾丸…。そんなもの食らっても死なないから…。最近何故か、銀で死ぬと勘違いしたイメージがあって…。…それと同じ?」
「同じだ…。」
Dか言い、狼女が納得した。
「少なくとも、私はしていない。…まぁ、種族的にはそう言うことをしないと生きられないから、していたと思うけど…。…4世紀ほど前までね。」
「え?それ以降は?」
「今は、それより栄養価の高い食べ物が普及してきたから基本誰もしない。よく同人にタグがあったりするけど、あれは二次創作。ドラゴンが村の娘を誘拐するイメージと同じだと思う。」
「儂は娘などいらんぞ…。どちらかと言うと食物の方が嬉しい…。」
「あっ、本人が来た。」
龍が眠そうに部屋から枕を持って出てきた。
「どうした…?」
「父上…怖い夢を見たのじゃ…。一緒に寝て欲しいのじゃ…。」
「一緒に寝てほしい?」
「怖い夢か…。…分かった。狼女、残りの食べ物はラップで包んでくれ。」
「はいはい。…龍お姉さんも、寝起きだと本来の性格になって甘えるんだから…。人間で言う高校生なのに…。」
狼女が少し困った感じで言う。しかし、龍は三女であり、下の姉妹たちから頼られているためそう言う甘えた姿を見せることはできないのだ。
「…あんな甘えた声だすんだね…。龍姉さん。」
「うん。サキュバスちゃんと私以外の、四から末女は知らないと思う。みんな寝ている時に甘えるから…。私はDさんが帰って来るまで起きているからバレているの知ってるし、サキュバスちゃんは極最近来たから起きているとわからなかったんだと思う。」
「そうなんだ…。まぁ、少し大人っぽいイメージだったからね。」
サキュバスはDが変なことをしないかどうかドアに耳を当てている。
『また怖い夢を見たのじゃ…。同じ夢じゃ…。』
『そうか…。』
『また、皆んなに置いてかれてしまう夢じゃ…。一人ぼっちで…何もなくて…誰もいなくて…怖い夢じゃ…。』
『大丈夫だ…。俺たちは置いていかないし、見捨てないから…。』
『本当か…?』
『寝るまで一緒にいてあげるのがその証拠…ではダメか…?』
『ありがとう…。ありがとう…。』
『別に良いさ…。家族だし…。さ、早く寝て楽しい夢を見るんだ…。』
『うん…。父上大好きじゃ…。』
『良い父親だと思うか…?』
『儂は良い父上が好きじゃ…。』
『そうか…。』
「うわ…。想像以上…。」
サキュバスは龍の甘えた声を全て聞いていた。しばらくして…。
ガチャ
「サキュバス、今の龍の気持ちは『父親として』だ…。勘違いするな…。龍にそのこと聞いたら怒るぞ…?一応、狼女の想いも知っているからな…。」
「わっ。いきなりどうしたの?」
サキュバスたちは机の上でトランプをしていた。
「ドアの前で聞き耳を立てていたのは知っている…。」
「だろうね。てか、知ってるよ。龍姉さんは『父親として』好きだと言ったの。」
「…龍にもトラウマがあるんだ。それがたまに夢に出るから、こうして添い寝してあげたりするんだ。」
「…置いていかれたの?」
「そうだ…。龍一族からな…。」
Dはそれ以上言わない。
「へぇ…そうだったかしら…?ふふ…。」
「…鬼、飲み過ぎてるな…。もうやめて、寝ろ…。」
「…また怖い夢を見るかもしれないわ…。ふふふ…。」
「…その時は龍と同じようにするさ…。皆、たまに俺に甘えて来るからな…。…それぞれ仕方のない理由だから、拒まない…。」
Dが言い、少し安心した顔をする鬼。そして、自分の部屋へ入っていった。
「サキュバス、狼女、お前たちもだ…。特にサキュバス、お前はこの家に来てまだ3日も経っていない…。疲れているはずだ…。」
「いや、平気。」
「…警戒しているのか…。」
「うん。そういう日は眠れないから。」
「…そうか…。」
Dはそう言ってテーブルの、サキュバスの隣に座る。
「なら、俺も起きていよう…。狼…。」
「私はここに座るから。」
狼女はDの膝の上に座る。
「…おも…いや、軽い。軽いからどいてくれ…。」
「…多分そのCさんの言ってた言葉の意味を理解してない…。」
狼女が自身の耳でDの顔をペチペチしている姿を見て、サキュバスがつぶやいた。
「…ねえ。」
「「?」」
しばらくして、ハーピーを見た後、サキュバスがDに何かを聞く。
「私たちのことを狩るって言っていたけど、それぞれ危険度とかランクとかあるの?」
サキュバスの質問。
「ある…。」
「あるんだ。なら、代表的なものとか教えて。」
「何故だ?」
「学校の時、近づかないようにするため。」
「…分かった。」
Dがメモ用紙を取り、図を書く。
「トップランクで危険なのは絶滅種の生き残り、もしくは個体だ。」
「絶滅種…?個体…?」
「絶滅種は、過去に確かに存在していたが突然消えた者たちだ。それゆえに情報も少なく、独自の進化を遂げてデータ以上の危険度に跳ね上がる可能性があるからだ。」
「絶滅種…。」
「…ちなみにだが、近くにいるぞ。」
「…まさか…鬼姉さん…?」
「そうだ。それと龍だ。…個体は更に危険だ。個体とはそもそもデータがない。単体のみで現れる。時にはすごく弱いが、時には異常なほど強いものもある。」
「…機人姉さんと砂姉さん…。」
「そうだ…。意外と、うちはそういう組織から注目されているのが多い。…次に危険なのは人型だ。人型にも種類があるが、それぞれ強さが違う。強さは大体気配でわかる。厄介だ。…いちいち説明するのが面倒だ。最弱が蟲類。その次に強いのが獣人。アルラウネと妖精は対象外だ。あの2人の強さは別にある。巨人は見ての通り。ただ怒らせるととても恐ろしいぞ。…まぁ、そんなところか。」
Dが説明し終わり、メモをシュレッダーのように切り刻んだ。いや、きざもうとしたが…。
「……。…狼女、いるな?」
「え?うん…。」
狼女の存在に気づき、くしゃくしゃにしたメモを再度広げる。
「…ここだけの話だ。俺が戦った者の中に、これらより次元の違う強さを持つ化け物がいた。組織全員総がかりで倒した相手だ。海外からの支援要請を受けてな…。」
「…それは…?」
「…伝説上の生き物だと思っていた『リヴァイアサン』だ…。まさか、本当にいるなんて誰が思う…?」
「…嘘でしょ。」
「いや、本当だ。…さもなくば、あんなに多くの犠牲は出ない…。」
Dが重く言う。
「フィリピン海の寄りのマリアナ海溝…。その時大規模な災害と嘘をついて周りの島民を避難させた。…そのリヴァイアサンの忌々しいビーム…?水流ビームか…?良く分からんが、それが日本の近くに攻撃が当たってしまった。それに伴った災害が東日本大震災だ。結果的に多くの被害が出た。まぁ、政府はリヴァイアサンの存在を隠すためにプレートがどうこうとか言ってたらしいがな。まぁ、それが正しいのかもしれん。そんな凶悪な魔物が存在すると知れてみろ。世界中大混乱だ。漁業なんてやってられず貿易もままなら無くなる。他にも、歴史を振り返れば『ポセイドン』、『八岐大蛇』、『クラーケン』…などなどだ。伝説的な化け物、もしくは神の大半はそうだ。」
「で、でも、そんな記録…。」
「そんな記録があってみろ…。それに退治されてない、逃げたものもある。それを世界中の人々に知らせるのか?それこそ、人間の平和が脅かされる。だから、俺たち組織がなんとか隠蔽を図っているんだ。最初は何人も見られてたりするからそう言う伝説が残ってしまっている。妖怪もモンスターもそうだ。存在するからには、必ずどこからか情報が漏れる。だから、伝説となり迷信となるのだ。…この組織は古代より存在していて、存在も隠蔽され続けている。しっかりと記録があるものは江戸時代前後…。その時の記録にも、「古代から」と書いてある。想像以上に昔の話だ。」
Dがすらすらと言う。
「…でも、一つ疑問がある…。」
「なんだ?」
「どこからそう言うのが発生しているの…?そんな化け物が…。」
「いい質問だサキュバス。それと、これについては狼女にも関係する。」
「「?」」
「…発生源ははっきりしている…。それは、『人間』と人ならざるもの…つまり、『妖怪』との交配の結果だ。」
「「え!?」」
「もちろん必ずそうなる訳ではないし、ほぼそんな化け物は生まれない。…だが、確率的には0.0000001%以下で出る…。その限りなく0に近いパーセンテージを引いてみろ…。取り返しがつかなくなるし、あくまでも子供だ。そう易々と「退治してください」なんて言えるわけがない。だから、妖怪と分かっていての交配は危ないんだ。もちろん、世間では片方は妖怪でもう片方は人間の夫婦はごまんといる。まぁ、人間との子供ならその人間の方が血が濃くなるから特殊能力のようなものは微量しか使えなくなるが…。だから、俺は妖怪と結ばれる気はない。…それに、狼女は俺の大切な娘だ。…嫁に出したくないほどいい子に育ってくれたしな…。…いや、元々いい子なのか…?育てたと言うほど育ってないわけだし…。」
Dが最後の方をぶつぶつ呟く。
「…まぁいい…。俺からは以上だ。」
Dが長々と説明した。
「それより、私って中学何年生の設定なの?」
「それより…。…まぁいい…。吸血鬼が1年の設定だからな…。2年生だ。」
「二年生…。」
「知識はもう大人ほどあるかもしれないが、一応義務教育だ。まぁ、将来を見通すと最低でも高校までは行ってもらう。金はあるんや…。」
Dが淡々と説明する。
「ちなみに、学校での争いはご法度。それは肝に銘じておけ。」
「うん…。」
サキュバスは、Dの本気の目に素直に頷いた。
「Dさん、この際だから色々質問していい?」
「こんどは狼女か…。答えられる範囲なら、答えよう。」
「Dさんの他にも沢山の組織の人間がいるでしょ?」
「まぁな…。」
「なら、喧嘩とか思想が違ってたりするの?衝突とかしないの?」
「…いや、する。Yを思い出せ。あいつと俺はよく衝突する。」
「やっぱり…。」
「…まぁ、主に穏健派と過激派だがな。でもたまにイレギュラーな事態に直面する場合もある。例えば、今も所属しているAとSとIとN…。あいつらは政府や民間の闇の御用達だ。」
「闇の御用達?」
「暗殺者だ。政府にとって邪魔者がいるだろう。危険思想の持ち主とか…。それが大きなテロなどにならないように事前に調査して、闇に葬っているからテロは全く起きない。あと、民間もたまにある。大抵は復讐だ。例えば、相手は権力を持っていて金もあって頭は到底上がらない。そんなやつから大切なものを奪われるなどな。人として正当な理由かつ、払える金があればやる。全責任は依頼者持ちだがな。俺も一時期参加したことがあるが、仕事内容が多すぎてな…。だが、実行は簡単だ。強い人と言われている奴も実践経験は俺たちにとってはほぼ皆無。普段、人間より何倍も強い妖怪を倒している俺たちに、聞き齧った程度、数十回やった程度、道具程度なら障害にすりゃならない。箒の藁が一本追加された程度だ。死体は処理して、あとは国が行方不明者と言えば終わるしな。」
「でも、怪しむんじゃ…。」
「全国に一体何人の行方不明者が居ると思う?10人や20人増えようがさほど変わらない。それに、国直属だから足もつかない。…まぁ俺にとっては、いけすかない連中さ。AとSとIとNはな…。」
「そうなんだ…。Dさんの嫌いな人って沢山いる?」
「…まぁな。偽善野郎に組織の規律に従わない者、必要以上に殺しすぎる者、悪いことを自覚しない者などな…。」
Dがベランダへと通じる窓を開ける。
「…あと、お前たちに危害を加える者…か。」
そう言い残した後、Dはベランダへ行き、窓を閉めた。
「……。」
……なんなんだろう…。この人間…。分からない…。感情がない…?ううん…。嫌いな人がいるってことは感情がないわけじゃない…。なのに、楽しむ感情がない…。…Dには妹がいるって言ってたけど、もしかしたら“いた”なのかもしれない…。それとCとの関係…。
サキュバスが考えていると…。
「大丈夫?」
「?」
狼女が聞いてきた。
「私も驚いちゃってさ…。Dさんがあんなに、組織の内情を話したのは初めてだし…。」
「初めて?」
「うん。それに組織の人間に会うのだって、Rが2人目。」
「…これまで、家族にすら話してこなかった内情を何故…?」
「サキュバス…。」
Dは電柱の上に立っている。
「…やはり、2年前会っているな…。面影があるから、なんとなく助けたが…。」
Dが写真を手にしている。
「…俺はつくづく、取り返しのつかないことをしているな…。一体、どれだけ自分を苦しめれば気が済むのか…。」
Dがそんなことを呟いた。
『…ここにいたか。』
月が雲に隠れた途端、禍々しい、身体の芯まで凍りそうな声が聞こえた。
「…Y…。なんのようだ…?」
『グババ…。いや、なに…。あのまま見捨てておけば、こんな複雑で苦しい思いをしなくて済んだのだと思ってな…。』
「黙れ…。なんと言おうが、俺はもう二度とお前とは組まない。」
『寂しいねぇ…。2年以上前はよく組んでいたじゃないか。最強コンビと謳われた俺たちはよ…。』
「2年以上前の話だ。今はもう時代が違う。」
『おいおい…。時代が違う…?それは虫が良過ぎないか…?様々なところで妖怪を殺し、闇に葬った俺たちじゃないか…。いつまで嘘をつき続けるつもりだ…?』
「黙れ…!俺は…。…俺は…。…いや、そうだ。そんなだった俺だからこそだ…。この命を絶やしてでも…何をしても地獄行きでも…魂すら無くしても、あいつらを守る…。それが俺だ…。」
『そんな都合の良い話を信じるか…?答えは否だ。必ず復讐をするだろう…。そしたら、お前は必ず後悔するぞ…?一時の、痩せた良心であいつらを拾った自分を。』
「後悔しているのは過去のことだ。俺は復讐される。俺が年老いたら、嬲り殺されるのが俺の最終任務だ。」
『…殺されるんだぞ?』
「ああ。百も承知だ。俺の血縁はいない。俺が全て背負って殺される。それが過ちを犯した者の末路であり、責任だ。」
『…そうか…。やはり、お前は変人だな…。』
「お前に言われたくない。」
『ゲババ…。やはり、“生まれが同じ”だからな。所詮はお前も同類だ。』
「分かってるよ。」
『…だが、そうなると俺と組むやつが消えるな…。』
「まだ言うか。しつこいぞ。」
『…その時は共に責任を取る。…それが組んだ者の末路だろう?』
「……。」
Dは振り向いたが、Yは既にいなかった。
「…一体、いつになったらDさんはこのこと話してくれるんだろう…。」
「…彼は色々考えているのよ。ふふふ…。」
その様子を、窓から気づかれないように終始見ていた狼女と鬼。二人はDのことを知っていたのだ。
まだまだぁ