Forth Wall   作:諸星可夢偉

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初めまして、諸星可夢偉です。初めて小説を執筆するのでドキドキしています。クソザコ初心者文才なので拙い小説かと思いますが最後まで読んでくれると嬉しいです。


序章 現実世界:フィクションへの一歩
フィクションが顕現した日


「番組の途中ですが緊急速報です。現在、大都会の大通りで行われているハロウィンで、凶器をを持った参加者が暴動を起こしている事件が発生している模様です。」

「新しい情報が入ってきました。拘束された参加者は、自らを【市民を守るヒーロー】や【鬼を退治する侍】などと自称し、警察はテロを目的とした犯行とみて捜査を続けています。」

「見てください!辺り一面爆発や正体不明の生物が暴動を起こし…うわぁ!」

 

これは数年前、大都会の大通りでハロウィンのイベントに紛れてフィクションの登場人物が現れるという耳を疑う事件だ。

 

死傷者が何百人と出たその惨事は連日ニュースになり、現場の映像はまるで映画を見ているかのような現実離れしたものだった。何らかの魔法が空を染め、歪な重火器は炎を吐き、爆発と悲鳴とパトカーのサイレンが現実かどうか分からなくなるほどの奇妙な空間でリポーターが必死に惨状を伝えているニュースは何日経っても大衆の頭から離れないものだった。

最初は現実とフィクションの区別が付かない人間の犯行や、この事件自体がフェイクニュースだと一蹴していたが、後に凶器や材質、テクノロジーが現実では実現できないものと分かった。

 

極めつけにその事象が日本に留まらず世界中に広がって、もはや呑気にデマなんて言っていられる状況では無くなった。特撮物のキャラクター達は敵味方問わず建物や自然を破壊し、時折実物の怪獣が太平洋で発生しては消えるといった行動を繰り返し、フィクションの顕現によって平穏な日常に支障をきたすレベルまで進行した。

 

フィクションの存在が危険と認知されてしまったために大体の本屋は一部の漫画や小説は取り扱われなくなり、週刊誌や専門誌だけに置き換えられた。テレビではドラマやアニメは一部放送しなくなり、その影響か、俳優や声優は身を引いたり自殺したりと数が減ってきている。

ネットではフィクションが危険だと言い張る「反フィクション派」とフィクションに罪は無いと言い張る「フィクション擁護派」が誹謗中傷を交えながら言い争いを行っていた。互いに行き過ぎた正義が関係ない人々を傷つけ、世界中で混乱は拡大して止まらなくなった。

 

この出来事は「フィクション顕現事変」と言われ、あの日からこの世界は暗黒郷(ディストピア)に成り果てた。

 

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フィクション顕現事変が起きてから時は流れ、ある町の朝の通学路。赤いランドセルを背負った少女は一匹のゴブリンに襲われそうになっている。ゴブリンはボロボロのこん棒を振って少女に詰め寄っている。

 

「ギャース!」

「ぃ…ぃゃ…」

 

RPGで見る雑魚敵でも、戦いを知らずに過ごし防衛手段も無い一般市民からしたら恐怖を感じるものである。例え人間がゴキブリの如き適応能力を持っていても戦えなければ意味が無い。少女は声も上げられず自分の運命を悟った。

 

ドスッ!

 

「大丈夫か、お嬢ちゃん!」

 

一人の男子高校生が物をたくさん詰め込んだ鞄でゴブリンの後頭部を殴打した。ゴブリンは突然の衝撃で伸びている。

 

「る、琉生お兄ちゃん!」

 

彼は皇琉生(すめらぎ るい)。正義の味方を自称して襲われている人を助ける、少々痛いが町の人からは信頼されているオタクである。

琉生は伸びたゴブリンの首根っこをつかみゴミ捨て場に放り投げた。

 

「俺が来たからにはもう大丈夫だ!なんたって俺は…」

「あ、ありがとう!じゃあね!」

「…せめて、決まり文句くらい、言わせてくれよぉ。」

 

少女はお礼を言って一目散に去って行った。今日もそよ風が一人残された琉生の頬を撫でる。すると遠くからシャッター音が聞こえてきた。

 

「よっす!オタク君!また人助け?」

 

そう言ってスマホをいじりながらやってきた彼女は坂城小絵(さかき さえ)。女子高生に人気の画像共有アプリ「ナイスプレッド」でそこそこ注目されているナイスプレッダーだ。

今日も決まり文句を言いそびれた琉生をいじりにやってきた。

 

「今日も言えなかったねぇw」

「はぁ…いつになったら言えんだよ…考えるのに結構時間かかったのになぁ…」

「その情熱をアニメやゲーム以外で発揮しなよー。」

「言われなくてもしっかり成績残してるっての。」

「そういやそうだったねぇ。ホント、オタクが過ぎなければ成績優秀の優等生なのに、もったいない。」

 

愚痴を言いあいながら二人は通っている絹ヶ原高校に向かう。例え上空でドラゴンやペガサスが飛んでいても、通学路に普通に雑魚敵が蔓延っていても、他人をよそ眼にギャルゲーみたいなラブストーリーが繰り広げていても、いつもの日常のように人々は生活している。

 

「ところでさっきのゴブリンは『ファンタジージャーニー』の雑魚ゴブリンじゃない?」

「いや、さっきの奴は『悪夢の旅路』のゴブリンっしょ。」

「でも、『悪夢の旅路』のゴブリンは後頭部にコブがあるから『ファンタジージャーニー』だよ。」

「う~わ、ほんとだぁ~やっぱオタク君はすごいなぁ~」

 

気が付くと二人はさっきのゴブリンがどこの作品のゴブリンかに話題を変えた。今どきの女子高生の小絵もまた、立派なオタクであるのだ。

 

数年前の出来事から人々は新しい過ごし方を余儀なくされた。彼らもまた偏見を持たれながらも、自分の趣味のために生きながら新しい生活に馴染んでいく…はずだった。

世界崩壊の危機と隣り合わせの日常を生きる二人が、後に世界の命運を託されるとは、この時はまだ思ってもいなかった。




最後まで読んでくださりありがとうございました。執筆するに辺り、私より文才に恵まれた友人に推敲・添削してもらい、勇気を出して投稿しました。本当に感謝しています。ちなみに更新頻度は低めとあらかじめ伝えておきます。

もし誤字脱字がありましたら是非ご指摘のほどよろしくおねがいします。
感想もよろしくお願いします。

それではまた!

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