Forth Wall   作:諸星可夢偉

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こんにちは、諸星可夢偉です。

私の友人が即興小説というものをやっていて私も初心者ながらやってみると自分自身の小説の傾向がなんとなく分かってとても為になりました。

この小説もそうなんですが煩雑で冗長な傾向があって自分自身の中では課題になると思います。

煩雑で冗長な駄文小説ですが今回も最後まで読んでいただけたら幸いです。


始まりの物語(後編)

琉生達の目の前に広がるだだっ広い草原に言葉を失った。地平線を遮るような建物はおろか木の1本さえも無く、モンスター達が狩りをしたりその場で草を食べたりと現実ではありえない光景が行われていた。というよりかはこんなだだっ広い草原自体が現実からかけ離れていたものだった。すると、二人は1匹のゴブリンを見つけ、

 

「『ファンタジージャーニー』のゴブリンだ!」

「『悪夢の旅路』のゴブリンだ!」

「「え?」」

 

またしてもどの作品のゴブリンかを言い争い始めた。少なくとも、そのモンスターに二人は見覚えがあるものだった。

 

「いやいやいや、これはさすがに悪夢の旅路のゴブリンでしょ?この後頭部のコブがまさにそうじゃん。」

「いやでも、『悪夢の旅路』のゴブリンのコブは肌の色と違う色なんだよ。このコブの色、肌の色と同じだろ!ていうかそもそもこれコブじゃないだろ!」

「違うね!これはコブだよ!それにほら、境界線っていうのかな?それがここにあるじゃん!」

 

二人が主張する作品のゴブリンはどちらも気性が荒く人を襲う習性があるのだが二人の気迫に押されたのか少し戸惑い気味になっていた。ゴブリンは二人に気づかせるために大声を出して威嚇した。

 

「ギ…ギャース!!」

「「お前は黙ってろ!!!」」

「ギャヒッ!?」

 

二人の気迫に思わず逃げ出してしまったゴブリンにかまわず喧嘩にまで発展してしまったが、琉生がふと向いた視線の先にいた倒れていた人を見つけ二人とも我に返った。

 

「おい、だれか倒れているぞ!」

「えっ?あっ!まじじゃん!?」

 

急いで倒れている人影に駆け寄ってみると倒れていたのは何と片桐だった。すぐ近くに黒い羽根に金髪のどこかで見たような人もいた。倒れていた片桐はボロボロだった。

 

「え!?片桐さんが何でここに!?」

「な!?琉生に小絵ちゃんまで…お前達こそ何でここにいるんだよ!?」

「おっとぉ~?また俺様に殺されに来た奴が増えたなぁ~?」

「ていうかお前は『魔空神殿の死闘』のクソザコ堕天使じゃん。なにがどうなっているんだよ!」

「いいからお前達…早くここから逃げ…」

「黙れよクソ眼鏡野郎がぁ!この美しい俺様を倒そうとする奴はぁ~万死に値するんだよぉ!」

「いてててっ!」

 

何故かブチギレていた堕天使は片桐の身体を執拗に踏みつけていた。すると堕天使が持っていた矢を持って矢じりを片桐の心臓に向けて突き刺そうととしたその時、

 

「おいやめろ!」

「うぉっ!?なんだお前!」

 

突き刺す寸前で琉生が矢じり近くを掴み堕天使を片桐から突き飛ばした。堕天使は飛ばされた拍子で宙を舞ったが直ぐに立て直して空を飛んでいる。持っていた矢は依然として堕天使が持っており弓を構え始めた。

 

「お前らマジで許さねぇ~!ぶっ殺してやる!」

 

何発も空中から琉生達に目掛けて矢を放った。幸いにも命中率は低かったものの逃げ場があまりない草原では依然として不利な状況だった。

 

「くそっ!どうすればいいんだよ!…ってこれは?」

 

すぐ近くにおそらく片桐の私物だと思われる革製の鞄があった。琉生はこの状況を打開できるものが無いかと必死に鞄の中を漁ってみた。

 

「なんかないのかこの中に…おっ。これ使うしかないな!」

 

琉生がカバンから取り出したのは銀色の拳銃だった。琉生はすぐさま堕天使に銃口を向けて威嚇した。

 

「確か…この撃鉄を引いて…おい、堕天使!今すぐこの人から離れろ!さもないとう、撃つぞ!」

「おいやめろ!流石に銃はダメだ!今すぐ銃を置いて逃げろ!」

「さっきからぴぃぴぃうるせぇぞ人間共!そんなに俺様に殺されたいか!」

 

琉生は震える手で引き金を引いたが、銃の扱いに慣れていない琉生は銃の反動で仰け反ってしまった。その影響で弾道はあらぬ方向へと向かってしまった。

 

「だから言っただろう!早く捨てろ!」

「オタク君!もうやめようよ!早く逃げようよ!」

「こんなのどうってこと…ってあれ?おかしいな?どうして撃てなくなってんだよ!?」

「ぎゃははは!ざまぁないな!やはり俺様は堕天使の王ルシファー様に祝福されているんだ!俺様は無敵だぁ!」

 

堕天使は大声で叫ぶと矢を持って弓をまた構え始めた。矢じりは琉生に向けて弦を思いきり引っ張ったその時、

 

「ぐぅわ!?」

「喰らいやがれクソ堕天使!」

 

小絵が自分のスマホのライトを堕天使に向けて目晦ましをした。放った矢は琉生の右手をかすり、足の近くに刺さった。すぐに堕天使は別の矢を出して今度はすぐに弦を引っ張って小絵に向けて放った。幸いにもスマホに当たって事なき事を得たが琉生達は完全に逃げるチャンスを失った。

 

「小賢しいぞお前ら!まぁそれでもお前たちを殺す準備は整ったがなぁ。さて、お前たちに冥途の土産として俺の名前を教えてやる。」

「うぅ…お父さん…お母さん…先に逝くあたしを許して…」

「お前達…余計なことをしやがって…」

(まだ死にたくない!こんな所で死んでたまるか…神様…俺たちに、反撃のチャンスをください!)

「俺は!!人呼んで!!破壊の堕天使!!ルーイン様…」

 

パァン!!

 

「だぎゃぁぁああ!?」

「え?」

 

琉生の後ろから銃声が響き、堕天使ルーインの左の翼に穴が開いていた。

 

「え?片桐さんが撃ったの?」

「俺は何もしていないぞ?」

「ていうかオタク君!銃が…」

 

小絵が指した先を見ると、なんと銃がルーインに銃口を向けながら宙を浮いていた。しかし、琉生の左手に同じ銃があった。

 

「待って?本当にどういうこと?」

 

試しに「前へ動け!」と念じてみると宙に浮いた銃は琉生の前に動き始めた。突然のことに戸惑いつつもある程度を理解した琉生は左手で銃の形を作ってルーインに向けて、

 

「バァン!!」

パァン!!

 

「ひぎゃぁああ!!」

 

銃は琉生の意思で発砲され今度は頬を掠めた。

 

「おのれ…俺様の顔に傷を付けやがって…もう許さね…」

「いいか堕天使!!今度はお前の無様な頭ぶち抜いてもいいんだぜ!?もしお前が俺達に向けて狂ったように弓を放ったらその倍の弾丸を浴びせてやるからよぉ!!」

「うひぃ!?き、今日はこの辺に、してやる…よ…」

 

琉生は銃口を上に向けて発砲した。

 

「いやぁぁああ!!おたすけぇぇ!!」

 

ルーインは怪我しているにもかかわらず目にもとまらぬ速さで逃げてしまった。すると琉生の目の前で浮いていた銃がフェードアウトするように消えた。

 

「あ…消えていく。うっ…」

「お、オタク君!?大丈夫!?」

「お…俺は大丈夫…何か…急に体が重くなって…」

「お前達、早いとこ帰るぞ。」

 

各々満身創痍になりながらもなんとか琉生達が吸い込まれた先の小屋に戻った。琉生は体に鞭を打ちながら銃が入っていた鞄を何とか運んで行った。

 

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琉生達は片桐の部屋に着くとお互いに怪我した場所を手当てしながら説教を喰らっていた。

 

「ったく、何してくれてんだよお前らは…」

「…ごめんなさい。」

「すいませんでしたー!」

 

琉生は渋々と小絵は思い切り頭を下げて二者二様の謝罪をした。それでも琉生は疑問に対する答えを聞きたい気持ちが抑えられなかった。

 

「でも、さっきの世界は何だったんだよ!?見たことも無いような一面の草原とか『魔空神殿の死闘』の堕天使とか、どういうことか位は説明してくれよ!」

 

片桐は呆れと不安の表情をしばらくした後に覚悟を決めたような表情で喋り始めた。

 

「いいか、お前達は数年前にこの世界にフィクションの登場人物が現れて世界中が混乱してしまった事件を覚えているよな?」

「あぁ、所謂『フィクション顕現事変』だよな?」

「あの時からゴブリンとかうじゃうじゃ湧くようになったし、オタク君の様な人達が白い目で見られるようになった奴だね。」

「その通りだ。単刀直入に言うと、俺はその根源を絶ちすべてを元に戻すための作業をしていた。」

「「えぇ!?」」

 

突然のカミングアウトに二人は驚きを隠せなかった。それは世界を蹂躙したフィクション顕現事変を終わらせるというものだった。

 

「でもどうやって元に戻すんだよ!?というかそれをだれの指示で動いて…」

「落ち着け。そんな多くに質問しても捌ききれんよ。まぁ聞きたいことはたくさんあるだろうが、これだけ先に言わせてくれ。『フィクション顕現事変』は人為的かつ故意に行われたものだ。」

「え?人為的かつ故意にってどういうことだよ?」

「フィクションの登場人物を現実に送り込ませた奴がいるんだよ。」

「でも片桐さん、それって簡単に出来る事なの?」

「もちろん簡単には出来ない。けどあることをすれば、その苦労に見合った最悪な結果を残すことが出来る。」

 

二人は興奮しながらも片桐の話に釘付けだった。

 

「それは、『第四の壁』を壊すことだ。」

「第四の壁?」

「確かフィクションと現実を分かつものだよな?ゲームとかだとプレイヤーに話しかけるといったメタ要素を行うと第四の壁を超えた表現だと言っていたりするんだよな?」

「なんかキャラクターが画面にぶつかるとかそういうのアニメとかでもあったよね?それが第四の壁なの?」

「今回に関しては半分正解で半分間違いだ。確かに現実とフィクションを分かつものだが今回俺が言っているのは簡潔に言うと次元同士の壁の事だ。」

「「次元?」」

「要するに二次元と三次元を隔てる次元の壁が第四の壁というわけだな。」

 

片桐は上手いことを言ったつもりだったが小絵はこんがらがっていた。琉生はなんとか話しに付いていけているものの、呆れた顔をしながら話を聞いていた。

 

「え~とぉ~?二次元と三次元を隔てる次元の…壁…?」

「片桐さん。平面立体の次元とディメンションの次元を混同させないで。」

「すまない。じゃあ言い方を変えるか。現実とフィクションを物理的に隔てている次元の壁が俺が言いたかった『第四の壁』なんだよ。」

「物理的に隔てているってどういうことだよ?」

「要はやろうと思えば異世界転生が出来るってことだよ。」

「えっ!?マジで!?ってさっき草原みたいなところへ行ったのは異世界転生じゃないの?」

「俺達がしたのはただ単に異世界に行っただけであって異世界転生じゃないからな。っておっと。話が逸れたか。」

 

片桐は咳払いをした後に逸れてしまった話を戻した。

 

「話を戻そう。つまりその第四の壁が何者かに破壊されて、この世界は現実とフィクションがごちゃごちゃに混ざってカオスな状態になっている。それを俺は単身で直そうとしているって訳だ。」

「それは本当に出来るのか?」

「それなんだが、実は本丸を倒さない限りは元に戻らない。」

「本丸っていうのは?」

「『骸の會(むくろのかい)』という正体不明の集団だ。名前以外の情報はまだ掴めていない。」

「じゃあその集団を倒せれば…」

 

するとさっきまで少し生き生きしていた片桐の顔が険しくなり語気が心なしか強くなった。

 

「琉生、お前は俺達がその集団を倒せば解決するんだろ?みたいなこと考えているかもしれないが駄目だ。」

「なんでわかっ…じゃなくてなんで駄目なんだよ!?」

「フィクションの世界っていうのは人にとってはユートピアみたいなものだ。だがな、今の状勢を見ればみだりにフィクションの世界を行き来したらどうなるかは分かるはずだ。ましてや現段階で第四の壁を壊さずにフィクションの世界に行く方法はさっきお前達が勝手に入ったこの『次元の扉』だけだ。仮にもそれが公になったら骸の會どころか一般人がフィクションの世界行きたさで乱用しかねない。気持ちは嬉しいが駄目なものは駄目だ。」

「…でも俺達にしか出来ないんだろ?それが出来るなら俺も手伝いたい!何より俺にはなんか分らん力もあるしな!」

「あたしも手伝いたいです!あたしにはオタク君みたいな力はないけど出来ることはあると思う!」

「本気で言っているのか?最悪死ぬことだってあるんだぞ!?特に小絵ちゃんは琉生と違って家族がいるんだぞ!心配させるわけには…」

「全ての責任はあたしがとるから!あたしだってフィクションが危険ていう考えが変わるんだったら何だってやるよ!」

 

二人の気持ちは揺らぐことなく、真っすぐな眼差しで片桐に向けていた。片桐も負けじと真剣な眼差しで琉生達を見ていた。

 

「もう一度言うぞ。お前達がやろうとしていることは最悪死ぬことだってある。生半可な覚悟で臨んではいけないものだが、それでも行くと思っているのか?」

「もちろんだ。フィクションの世界に行きたい訳ではない…って言ったら噓になるけどそんな不純な理由を抜きにしても行かせてもらうぜ。何より片桐さんだけそんな危険な目にあって黙っていられる訳ねぇだろ!俺にとって唯一の家族だからな。」

「俺にとっても琉生は大事な家族だ。だからこそ行かせたくないんだよ。」

「でも片桐さんは俺に隠し事するなって言ったくせに一人で背負い込んで…そんなこと知っててじっとしている訳ないだろ!」

「あたしはそんなオタク君が変に暴走しないように付いていくつもりだよ。あたしにだって出来ることがあるはずだから。」

 

琉生達が御託を並べても片桐は呆れるばかりだった。そして大きなため息をつくと真剣な眼差しで琉生達に話しかけた。

 

「そこまで言うならお前たちのその覚悟を尊重することにする。だが忘れるなよ。今からお前達が足を踏み入れようとしていることは常に死と隣り合わせだ。残機とか俺達にそんなものはないからな。だから無理はするな。そして何より未成年だってことも忘れるな。後、勉強を怠るんじゃねぇぞ!」

「おぉ…分かった分かった。だから落ち着いてくれ!」

「はぁ…本当に心配だよ俺は…」

 

こうして琉生達はフィクション顕現事変を止めるために戦うことを決意した。自分自身が宿している謎の力を使って蹂躙された数多のフィクションの世界を、そして胸を張ってアニメやゲームが好きだと言える現実世界を取り戻すために。

 

「ところで片桐さんに会う前にゴブリンを見かけたけどあの草原ってどこなんだ?」

「あぁ、さっき俺達がいたのは『ファンタジージャーニー』の『イニチオ平原』だよ。」

「じゃあ俺の言った通りじゃねーか!」

「はぁ?でもあの特徴的なコブは絶対『悪夢の旅路』の奴だって!」

「まぁ第四の壁が壊された影響で別の世界のモンスターがいたっておかしくはないけどな。さっきの堕天使みたいに。」

「じゃああたしが言った通りじゃん!」

「いや俺の目は間違ってねぇからな!」

「何だとぉー!オタク君のくせにー!」

「…やっぱり止めときゃ良かったかな?」

 

青臭い二人が世界を救うのはやはり無謀だったかと思う片桐だった。




最後までお読みいただきありがとうございました。

序章はこれにて完結になります。ここから色々なフィクションの世界がメインになります。また遅くなりそうな感じがしますが気長に待っていただけたら幸いです。また前書きでも言いましたが即興小説も書いています。ユーザーページのコメントにあるURLから飛べますのでこちらもよろしくお願いします。

もし誤字脱字がありましたら是非ご指摘のほどよろしくおねがいします。
感想もよろしくお願いします。

それではまた!
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