序章完結から気がつけば半年くらい間が空いてしまいました…大まかな設定や話の流れは考えているのですが、いざ執筆してみると推敲に時間が掛かってしまい今に至ってしまいました。
さて、第1章がスタートします。特撮の世界での琉生達の活躍にご期待ください。
タマシイ揺さぶる、憧れの世界
ここ数日、琉生は前のあの出来事から興奮と不安でそわそわしていて落ち着いていない状態が続いた。自身の能力も現れた当時は不安定で思った通りに出す事も出来なかったが、今では最高でも3丁まで出すことが出来るようになっていた。いつ来るか分からない世界を救う為の準備を小絵や片桐と共に進めていた。学校にモンスターが襲撃して半日で家に帰ることになった琉生はいつも通りに家に帰ると片桐が少し慌てた様子で琉生の前にやってきた。
「琉生!今からフィクションの世界に行くぞ!」
「うぇえ!?いきなり!?」
「あぁ。とりあえずお前は小絵ちゃんを呼んできてくれ。」
「お、おぅ。」
そう言って電話で小絵を読んでやってきた小絵と共に片桐の部屋に移動した。
「さて、琉生にはもう言ったし小絵ちゃんも琉生から聞いたと思うが今からフィクションの世界に行くことになった。」
「それでどこに行くの?」
「『闘魂十字軍タマシイクルセイダーズ』の世界だ。」
「えぇ!?マジで!?じゃあタマシイブレイズに会えるのか!?」
「あ…あぁ、会えるが…」
「うぉおおお!!熱くなってきた!!あのタマシイブレイズに会えるなんて…!!」
「落ち着け!遊びで行くんじゃないからな!」
「あ…あぁ分かってる!!」
「オタク君、全然落ち着いていないんだけど…」
『闘魂十字軍タマシイクルセイダーズ』とは琉生が幼少期に放送していた特撮番組である。鼓魂町(こだまちょう)に悪の組織「ダークバンデット」が襲来し、鼓魂町にのみ存在する強力な力「ソウルエレメント」を狙い暴虐の限りを尽くす中で、そんな輩に対抗するために鼓魂高校は自衛討伐委員会「タマシイクルセイダーズ」を結成した。7人の少年少女達がソウルエレメントを死守しつつ人々の平和を守るために戦うというのがその作品のあらすじである。キャッチコピーは「己の魂を奮い立たせろ!」。放送終了後も根強い人気は続き、その数年後にはタマシイクルセイダーズのメンバーが大人になって、その子供がタマシイクルセイダーズを引き継いだアフターストーリーも放送されていた。
琉生にとってはサブカルチャーが好きになったきっかけともいえる作品だった故に興奮が冷める気配は微塵もないのだ。特に「タマシイブレイズ」は彼の中のヒーローというべき存在である。
「やべぇ!!会うと分かったら急に緊張してきた!!身だしなみとかおしゃれな服とか…」
「時間が無いから服は制服のままで行くぞ。」
「そっそうか…」
「後、お前達に一つフィクションの世界に行く上で大切な要素を伝えておく。フィクションの世界には『復活祭の卵(イースターエッグ)』という要素がある。」
「イースターエッグって海外の春の祭りで卵に可愛く色を塗って隠したりするあれ?」
「まぁ、意味としては間違ってないがここではゲームやコンピュータに隠された機能とかの事を言う。」
「あぁ、そっちの方な。それが何の関係があるんだよ?」
「今から行くフィクションの世界はその作品の世界観にそっくりだし、時系列もほぼ同じだ。だがそれとは別に相違する部分もいくつかある。いわゆる没要素や原作に全く出ていないものとかそういうのが出てくるかもしれない。」
「つまりその作品にはないイレギュラーな存在があるかもってことか?」
「あぁ。だからある程度の心構えはしておいた方がいい。特に琉生は解釈違いとか割と気にするタイプだからな。」
「おう!分かったから早く行こうぜ!!」
「…本当に分かっているのか?」
ある程度準備し終えると片桐は次元の扉についてある金庫のダイヤルみたいなものを調節しながら回し始めた。片桐は慣れた手つきでダイヤルを回して十数秒後には既に回し終えていた。
「片桐さん、何をしていたの?」
「これは特定の世界へ行くために座標を合わせていた。」
「フィクションの世界にも座標とかあるんだ。」
「座標というか何というか説明が少々難しいがな。さて、この扉を開くとフィクションの世界だ!って言ったけどもう知ってるか。」
二人は2回目だけどドキドキしながらフィクションの世界へ入っていった。三人の世界を救う初めての旅はこれから始まるのだった。
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入ってみると『ファンタジージャーニー』の時に来た部屋とは違う部屋に着いた。そこは次元の扉がある事以外は至って普通の1LDKのアパートの個室だった。
「おぉ~すご~い!」
「本当にタマシイクルセイダーズの世界に来たのか!うひょーー!!」
「しばらくはここで過ごすことになる。別世界とは言え食べ物は普通に売っているし施設も問題なく使える。後、この世界の時間は現実とリンクしているから夕方になったら帰…ってまだ琉生は落ち着いていられないのか…」
片桐が話している最中、琉生は興奮しながら鼓魂町の街並みをベランダから舐めまわすように見ていた。片桐は興奮して話をろくに聞いていなかった琉生の頭をぶん殴った。
ドガッ
「話くらい聞け!この馬鹿が!」
「だってベランダから鼓魂高校が見えるし中華料理店の『幸幸軒』も見える!『幸』の上の横棒が消えて『辛』になっているところまで…」
「オタク君、おちけつ!」
結局、琉生がある程度落ち着くまで1時間近く掛かってしまった。落ち着かなかった琉生は片桐にボロボロになるまでいたぶられていたが興奮は少ししか収まらなかった。
「…琉生?本当に落ち着いたんだろうな?」
「あぁ、済まなかった。だから目的を教えてくれ。」
「…まだ鼻息荒いよ、オタク君?」
鼻息が荒い程度にまで落ち着いた琉生と小絵は改めて片桐の話に耳を傾けた。
「とにかくお前達にはこれから鼓魂町を探索しながらタマシイクルセイダーズを探してきてほしいんだ。もし見つけたら俺に連絡してくれ。」
「目的は?」
「この世界の今の状況を知っておく必要がある。タマシイクルセイダーズが誰と戦っているかとか…」
「誰と戦うって言ってもダークバンデットじゃないのか?」
「…そうだ、言い忘れてた。時系列についてだが、今は言ってしまえば最終回後の時系列なんだよ。」
「そうなのか!?」
「だから今の状況を知る必要がある。それによって俺たちの行動も変わるからな。ただ、隠密に行動してくれ。出くわすなんてもっての外だからな。」
「はぁ!?何でだよ!」
「この手のミッションは当事者にはばれないように行わないと色々面倒だからだよ。特にお前みたいなオタクを暴走させないという意味も兼ねてるんだよ。」
「そんな…」
さっきまで暴走気味だった琉生はは分かりやすく落ち込み、不貞腐れてしまった。
「俺は諸々の準備をしなきゃいけないから一緒には行けないから二人で頑張ってくれ。改めて言うが夕方までに隠密に行動してくれよ。」
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「はぁ…俺のワクワクを返してほしい…」
「もぉ、しっかりしてよオタク君!あたしは余り詳しくないんだから!」
二人は鼓魂町を散策しながらタマシイクルセイダーズをひっそりと探していた。
「もう!シャキッとしてよ!そんな調子じゃ世界を救えないよ!」
「うぅ…サインとか欲しかったのに…」
そんな時、向こうから金属と金属がぶつかる音とざわざわと人がざわついている声がした。
「これは絶対タマシイクルセイダーズだ!見に行こ…」
「あたしらはこっち!!」
「うわぁ!?ちょっと!?」
二人はやじ馬が群がる場所から少し離れた建物の陰から見てみると、
「はぁぁ!アクアスプラッシュラッシュ!!」
海賊の様なスーツを纏った青い戦士「タマシイアクア」が流水の様な槍を持って必殺技で攻撃し、
ジャバジャバァ!
「ふん!こんな程度か!」
両腕が大きな剣の中級バンダーの一人「ソードバンダー」がその剣で攻撃をかき消すと、
スパスパスパ…
「俺様のブライトインパクトを喰らえッ!!」
背後からタキシードの様なスーツを纏った黄色い戦士「タマシイブライト」がザコ敵の「バンダー」の群れからマイクスタンドを振り回して攻撃したかわされてしまった。
ブゥン!
「くそっ!かわされたか!」
「俺の背後を取るとは中々だな…」
「何をしているんだ!早く次の手を打つぞ!」
「あれ?今戦ってるのってソードバンダーだよな?最終回以降ならダークバンデットは壊滅したはずだけど…?」
「ていうかタマシイクルセイダーズって何人だっけ?少なくとも二人じゃないよね?」
「そうなんだよな…」
二人が戦いの様子を見ながらそう話していると人間からかけ離れた人型の生物が後ろから話しかけてきた。その生物の手に当たる部分は堅牢な「刺の付いた盾」の様な形をしていた。
「他のガキ共は別の同志が相手しているぜ。まぁ今頃しっかり葬っているはずだがな。」
「「へぇ~。」」
「……ん?小絵ちゃんってこんな野太い声出せたの?」
屈みながら見ていた小絵に向かって琉生が聞いた。
「……え?今のオタク君の声じゃないの?」
自分の上にいた琉生に向かって小絵が聞いた。
二人は恐る恐る振り返るとその生物の存在にやっと気が付いた。その生物はダークバンデットの中級戦士の一人の「シールドバンダー」だった。
「うぉあ!?お前はシールドバンダーじゃねぇか!」
「えっ!?何!?敵!?」
「へぇ~。俺達の名前を知っているとはお前、同志だな?」
琉生はとっさに小絵の前に出て持っていた銃をとっさに出した。銃を構えるといまだにへっぴり腰になるがそれでも堕天使の時よりかは幾分頼れる感じがすると琉生は思っていた。
「小絵ちゃんは後ろに!おいシールドバンダー!お前の頭が弱点なのは知ってんだ!やられたくなければ俺達の前から失せろ!」
琉生はシールドバンダーに大声で威嚇しながら指パッチンをすると琉生の両端から持っていた銃と同じ銃がそれぞれ1丁ずつ現れた。
「おぉ~!!オタク君すごーい!」
「これが俺の力ってやつだ!発砲はしなくても何丁か出す特訓をしていてよかったぜ!」
「俺の弱点を知っているとは…やっぱりお前は同志なんだな!嬉しいぜ!新たな出会いを祝してハグしようぜ~!」
両腕を広げながら走ってきたシールドバンダーに向かって琉生は頭目掛けて何発も発砲した。
パァン!パァン!パァン!
それに合わせて両端にある銃も発砲したがシールドバンダーはとっさに頭を盾で防いでしまった。
パキュン!パキュン!パキュン!
「小絵ちゃん!俺が合図を出したら左に逃げて片桐さんを呼べ!こいつは俺が引き付ける!」
「左だね!分かった!」
シールドバンダーが再び腕を広げて琉生に近づくと、
「今だ!!…ってうわぁ!?」
ガラ…ドコドコッ!
「ちょっ!?こんな時に崩れるなんて!?」
琉生の考え通りに避けようとしたが建物から瓦礫が崩れて二人とも退路とは反対方向の右へ避けざるを得なくなってしまった。その瞬間、二人は逃げるチャンスを逃してしまった。
「おいおい?何で避けるんだよ!」
勢い付いて直進に駆けていったシールドバンダーは盾を挟むように閉じて盾を使ってハンドスプリングを行って勢いを止めた。
「もう!そんなに俺とハグするのが恥ずかしいのかい!?」
「しょうがねぇ!せめて攻撃だけでも…」
「いいんだぜぇ!俺は気にしねぇからよぉ!」
琉生は銃を構え直し、その後ろで小絵は琉生に抱き着き、それぞれ覚悟を決めようと思ったその時、
ボフゥゥ…
肌を焦がすような熱い炎が二人の横を通り過ぎ、気が付くとシールドバンダーに一本の縦筋が頭頂から走っていた。その縦筋は赤熱を放ち、触れなくても熱そうと感じる物だった。
「うがぁ…」
「え…オタク君がやったの…これ?」
「いや…銃でこんな芸当は出来んだろ…それよりも、もしかして!」
そこにいたのは炎の様な刀身をした剣に同じく炎の様な盾を持ち、騎士の様なスーツを纏った赤い戦士の姿がそこにあった。
「タマシイブレイズだぁー!!」
琉生は突然現れた憧れの存在に子供の様な屈託のない笑顔をしていた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
正直なんとか上げることが出来てよかったと安堵していますが思った以上に時間が掛かってしまいました。執筆の難しさを改めて実感しましたが、時間を掛けてでも自分なりに進めて完結していきたいと思っています。
もし誤字脱字がありましたら是非ご指摘のほどよろしくおねがいします。
感想もよろしくお願いします。
それではまた!