東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第104話

霊夢と魔理沙は階段を登る。白玉楼の階段と比べてさほど長くは無いが、それでも193段はある。しかし、二人にとっては登る事自体は容易い事だ。

 

「白玉楼程じゃないが結構長いな。霊夢の神社と同じ位か?」

 

「そうよね、まあ私達は登り慣れてるから平気だけど」

 

「そうだな。ん?」

 

すると、二人の目の前に一人の少女が現れた。それは、霊夢に「神社を明け渡せ」と脅してきた早苗であった。

 

「アンタが相手ね!悪いけど、私も此処で止まる訳には行かないのよ!」

 

「それで神奈子様と諏訪子様に挑みに来たと?二柱の神様は強いと言った筈よ?それに、博麗さん。特に貴女だけは通すわけには行かないわ。貴女だけは何としても・・・」

 

早苗がお祓い棒を持つ。その手は強く握り締められている。

 

そんな早苗の放つ雰囲気から、強い覚悟が感じられた。その覚悟を感じた霊夢は、早苗が何かを隠してる事に気付いた。

 

「何でよ?」

 

「・・・諏訪子様よ。諏訪子様は元々温厚でお気楽ながらも、惚けている事が多く何を考えてるか分からない腹黒い性格でした。ですが、神様としては誠に素晴らしいお方です。イリスを宿すまでは」

 

「何ですって!?」

 

「イリスって、霊夢が言ってたイリスか?でも霊夢、お前のガメラは前に、イリスと共闘してたよな?」

 

「・・・そうよ。でもそれは、クリス達シンフォギアの力を受けたギャオスが進化したイリスよ。あの時はイリスが絶唱?を使ったお陰で、ガメラさんはレギオンを倒せた。でも私の言ってるイリスは、その前に戦ったイリスよ。出来れば共闘したイリスを宿したと思いたいわ」

 

しかし、霊夢の願望は砕け散る。

 

「いいえ。諏訪子様はガメラを求めてたわ。そして諏訪子様はイリスを宿した事で、貴女を強く求めるようになったのよ」

 

最悪だ。

 

下手したら進化していく分、マザーレギオンより厄介かもしれない。

 

すると、自分達の周りに影が出来る。この影は何処から?

 

三人は真上を見ると、其処にはカメラで写真を撮るはたてと、はたてが撮り続ける巨大なガラクタの竜が姿を現した。翼の円盤が光っており、それが浮遊の動力である事が理解出来る。

 

「何よあれ!?首が三つもあるんだけど!?」

 

そして、巨大なガラクタの竜が神社の前に降り立ち、その背中から数名の男女が降りてきた。

 

「いよぉ、さっきぶりだな」

 

「カールさん!」

 

「俺達がこの巫女を食い止めるからよ。お前はこいつと一緒に神社へ行け。其処に結芽とサチが居るが、恐らく長くは持たねぇ。早く行け」

 

「助かるわ!」

 

霊夢は空を飛んで神社に向かって飛び、魔理沙も後を追って箒に乗って飛び始める。

 

「待って──」

 

『リグルちゃん!霊夢ちゃん達と早く!』

 

『うん!睦美も無茶はしないでね!』

 

アトラル・ヒドラに乗った睦美が、ヒドラの口から電撃光線を放つ。早苗にヒドラの電撃光線が直撃した。更に、ハイゼンベルクはヒドラの体から溢れ落ちた鉄骨を磁力で操って早苗にぶつける。

 

ポンズもタコ状の触手を早苗に叩き付ける。そして、アトラル・ヒドラも車で構成された足で早苗を踏み潰した。神社に続く階段がボロボロに崩れる程に衝撃が響く。

 

更に両姫が早苗を両足で押し潰した。

 

リグルは隙を見てヒドラの操縦席から抜け出して飛び立つと、背中にバラボラ状に付いた無数の干渉波クローが着いた円を生やし、両肩に長い突起物を生やし、腹部に赤い凹みが出来たマザーレギオンの怪獣娘形態になった。更に、右手には巨大な角のような形をした、マザーレギオンの頭部を模した槍を持っている。背中の羽を羽ばたかせ、リグルは霊夢達を追う。

 

「・・・全く何で先に行くのよ!諏訪子様に捕まったら、博麗さんが何をされるか分からないのに!」

 

ハイゼンベルクの鉄骨を吹き飛ばし、ポンズの触手を引きちぎり、ヒドラの足を殴り飛ばし、両姫を蹴り飛ばした。足を殴り飛ばされただけで、ヒドラは背中から地面に仰向けに倒れた。

 

早苗の姿は変化していた。それは、にとりが量産したロボット少女の一体であるキングジョーに似ているが、胸元の甲冑は青く染まっており、右手は一メートルの巨大なキャノン砲が搭載されている。所々に黒い装甲も取り付けられている。

 

「丁度良いです!私に宿ったこの『キングジョーストレイジカスタム』の力を振るいましょう!」

 

「マジでヤベェ雰囲気だな。睦美のアトラル・ヒドラを押し返しちまうなんて、なんつーパワーだよ」

 

アトラル・ヒドラは約150メートルの巨体だ。体重は8万トンもあるだろう。ハイゼンベルクのメガ・カイジュウと同じ位の大きさを誇るアトラル・ヒドラを、等身大のままで押し返したのだから凄まじい力を持ってるのは確実だ。

 

『うぅ・・・まだ、行けます!』

 

操縦席に座る睦美は、頭を抱えながら操縦桿を握って強く押した後、糸で形成したレバーのトリガーを引いた後にレバーを前に押し倒す。

 

「この先で神奈子様は戦っています。ですが、神奈子様には勝てませんよ。貴方達が束になろうと」

 

早苗がこの場に居る全員に告げた。

 

ヒドラが起き上がって四つ足に戻り、早苗に向かって走り出す。ハイゼンベルクもメガ・カイジュウを纏い、怪獣装甲形態となる。数本の尻尾に鋭い背鰭、白い頭部のヘルメットには牙が彫られている。

 

両姫とポンズは並ぶように立ち、ポンズは全身から黒い霧状の闇を放出した。

 

そして、守矢神社に到達した霊夢達が見たのは、炎に包まれた守矢神社の姿だった。

 

──────────────────────

 

「何よこれ・・・」

 

「境内が炎に包まれてる・・・」

 

其処は地獄だった。神社や境内は炎に包み込まれ、先程戦いがあったかのように境内や神社には無数の斬った後があった。

 

「お、おいあれ!」

 

魔理沙がある場所を指差した。

 

其処には御柱を背中に生やし、炎を纏う巨大な髑髏の王冠を被る少女の首を掴む、注連縄を背中に生やす女性の姿があった。胸元には丸い鏡がある。少女の方は怪獣娘形態に変身したようだが、女性は変身してない。

 

「な、何で・・・私だって剣に自信があるのに・・・スルトだって強いのに・・・」

 

「先程言った言葉を忘れたか?“スルトは無敵かもしれないがお前はそうではあるまい”とな」

 

怪獣を宿せば無敵。その考えは確かに軽率だ。確かに怪獣を宿せば人ならざる力を発揮出来る上に、不死性さえも会得出来る。通常の姿でも、人を超えた身体能力を発揮出来る。しかし、宿した者が経験不足では意味がないのだ。結芽と神奈子の場合はどうだろうか?結芽は確かに剣の達人で神童と呼ばれる実力者であり、鍛練を積めばいずれ何者をも超える実力者となるだろう。しかし、神奈子は軍神だ。力も身体能力もそうだが、何より経験が物を言ってしまう。神奈子は武芸に長けており、結芽と比べて多くの戦いを経験している。スルトは神をも殺す存在だが、結芽の実力が神奈子に届かなければ意味がない。況してや、神奈子は()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()()()

 

「霊夢!」

 

「分かってるわよ!」

 

二人が攻撃に入ろうとした、その時だった。

 

「ガメラガメラガメラガメラガメラガメラガメラガメラガメラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️」

 

突然霊夢の体を、境内を突き破って現れた無数の触手が包み込む。

 

「な、何よ此れ!?」

 

「霊夢っ!?がぁっ!?」

 

突然魔理沙の背中に触手が打ち込まれた。魔理沙は触手を引きちぎろうとするが、何故か力が入らない。力が吸い取られて行くのを感じた魔理沙。

 

そして、触手の中から元凶が姿を現した。

 

「ケロケロケロ~♥️会いたかったよガメラァ♥️いや今は博麗ちゃんに宿ってるんだよねぇ♥️」

 

「貴女が洩矢諏訪子・・・やっぱり敵対した方のイリスを宿したのね・・・うぅ・・・」

 

霊夢も、力が抜ける感覚を感じた。

 

「博麗ちゃん・・・いや霊夢ぅ♥️んちゅう♥️」

 

「っっ!?/////」

 

霊夢は諏訪子に突然キスをされた。口を塞がれた瞬間、更に霊夢の体から力が抜けていく。諏訪子の長い舌が霊夢の口内を埋め尽くし、霊夢は口内から快感を感じてしまう。

 

更に触手が胸に絡み、太股とお腹に絡まって強く締め付けてくる。

 

(いや・・・この触手は嫌!ルーミアの触手が気持ちよくて好きだったわ・・・)

 

霊夢は、諏訪子に力を吸い取られながらも、ルーミアの触手の方が好きな事を自覚する。快感があれど、求めぬ快感の為に不快感が募る。

 

諏訪子が口を離し、霊夢に正面から抱き着いて耳元で囁く。

 

「っはぁ♥️気持ちいいよね♥️霊夢と一つになるのが解るよ♥️ねぇ♥️私の物になってよ♥️此れからはずっと一緒だよ♥️私が一杯愛してあげるから♥️私と一つになろうよ♥️誰にも邪魔されない、永遠の楽園を教えてあげるから♥️」

 

(・・・ああっ、輝夜・・・今になって輝夜の事が好きだって気付くなんて・・・輝夜に口説き落とされたのって、洗脳されたんじゃなくて・・・私が輝夜が好きになったからなのね・・・輝夜に口説かれたい・・・輝夜と苛め合いたいなぁ・・・)

 

輝夜への恋心を改めて自覚した霊夢。

 

(アリス・・・こあ・・・二人に会いたい♥️アリスの作るお菓子が食べたい♥️こあとデートしてなかったなぁ・・・こあとデートしたい♥️)

 

そして、諏訪子が改めて霊夢にキスをした。その瞬間、霊夢の光を失った目に炎・・・否、光が差し込んだ。その光の中には、麟の姿が映る。瞳の中に映る麟が手を伸ばす。

 

(麟・・・ありがとう!私達は二人で一人・・・今なら行ける気がする!)

 

霊夢は精神世界で、自分に向かって手を差し伸べて来た麟に向かって手を伸ばす。触手に拘束された霊夢だが、その力に抗い、麟の手を握った。

 

(霊夢!僕と君、今度は一人に戻るんだ!そうすればきっと、あの二柱の神様に負けない!根拠無いけど解るよ!そして可愛い僕が君と一つになれば、もっと可愛くなるかも!)

 

(アンタってこんな時にも自分が可愛いって・・・でも安心したわ!こんな時にも自分を可愛いって言える麟の力、貸して頂戴!!)

 

(勿論!!)

 

そして、力を失った筈の霊夢の左腕が動き、懐に仕舞い込んだ二つの勾玉を握り締め、諏訪子を殴った。彼女の全身を絡める無数の触手が灰となり、諏訪子は突然の事に対処出来ずに吹き飛ばされた。

 

「な、何で?」

 

「『私が貴女!』」

 

『「僕が君!」』

 

「『私/僕達は二人で一人!今こそ一人に戻る!』」

 

その姿は霊夢が基準であったが、髪は金髪に染まっていた。背中にはガメラの甲羅、そして四肢は二代目ジラの物となっていた。フードはガメラの牙を生やし、顔付きはジラの物となっている。そして、ジラの長い尻尾を腰から生やしている。そして両手の甲にはそれぞれ、ガメラの勾玉とイリスの勾玉が填め込まれていた。

 

「霊夢と麟・・・なのか?おっ?」

 

魔理沙の背中を貫く触手が、突然無数のソルジャーレギオンに群がられて、そのまま溶け落ちた。

 

「魔理沙!」

 

「リグル!」

 

「間に合って良かった!私と霊夢が、あの土着神を抑えるから、魔理沙は炎の女の子を!」

 

「おう!」

 

魔理沙は神奈子と結芽の元へ向かって走る。

 

「『リグル!?』」

 

「うん?霊夢なのかな?でも今は私にも闘わせて。私の力なら、あの洩矢諏訪子に対抗出来る!」

 

「『・・・分かったわ。でも無理しないでね』」

 

「声の感じ・・・もしかして麟さん?でも、ありがたいかも!私達レギオンと、霊夢と麟さんが合体した君なら!」

 

それを見ていた諏訪子は、自らの姿を変化させる。

 

「・・・嘗めるな小娘共が。今此処でお前達を倒し、博麗霊夢を今度こそ手に入れよう」

 

「『モンスターバトル、最後の闘い!』」

 

「うん!」

 

そして、その様子を上空から見ていたはたて。審判も兼ねて、霊夢とリグル対諏訪子の闘いを見守る事にした。

 

「凄い!凄いわ!たまには外に出てみる物ね!」

 

そして、守矢神社を舞台に、最後の闘いが始まった。




霊夢と麟の融合。此は融合というより、元々一人だった存在に戻るだけです。一人の『博麗霊夢』という存在に。
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