霊夢が麟と融合し、リグルが駆け付けて諏訪子と戦い始めた頃、魔理沙は結芽の首を掴む神奈子の元へ向かって箒に乗りながら突っ込んだ。
神奈子は魔理沙の箒の先端を掴み、結芽と一緒に投げ飛ばした。地面に叩き付けられながらも、魔理沙は立ち上がった後に結芽の安否を確かめる。
「おい!無事か、お前?」
「おいっって言い方・・・まあ無事だけど」
結芽は魔理沙より遅れて起き上がる。マグマのような侍の鎧が音を立てて揺れる。金属音よりも、石同士がぶつかり合ったような音だ。
「援軍か?悪いがお前達を相手にする暇は無い。しかし、諏訪子の方は大分奮闘してるようだしな。折角だ。お前達の相手をしてやろう」
神奈子は右手を二人に向けた後、自分の方へ何度も曲げた。掛かってこい。そう言ってるのだ。
「来い!」
動き出したのは結芽だった。
「『ラグナフレイム』!」
結芽が炎で構成された熱線を、両手で握る炎の剣トワイライトから放つ。
神奈子は熱線を二つの御柱で熱線を防ぐ。更に神奈子は右手を下に振り、結芽を境内に叩き付けた。神奈子の攻撃の正体、それは台風を結芽の真上から叩き付けるというものだ。一点集中で叩き付けてしまえば、結芽もただでは済まない。
「げほっ!げほっ!」
結芽は咳き込みながらも起き上がり、神奈子に向かって走り出す。しかし、神奈子が結芽の周りに御柱を出現させ、結芽の動きを一時的に止めた。結芽の炎は御柱を焼いて炭に変えていくが、神奈子は天より雷を落とす。
「ソーおじさんかよ!」
結芽は雷を受けながらも、熱波を全身から放って御柱を吹き飛ばす。
「・・・霧雨と言ったか?お前は燕と私が戦う内に背後から攻撃するつもりだな?」
魔理沙は背後に回り込んでいたが、振り向いてないにも関わらず自分がやろうとした事に気付いた事で驚き、動きを一瞬止めてしまう。神奈子はこの一瞬を逃さない。
魔理沙の全身に雨が降り注ぐ。ただの雨ではない。まるでフィリウスの記憶に刻まれた、人間の一斉砲撃を思わせる水のミサイルだ。箒の体勢が維持出来ず、魔理沙は境内に叩き付けられてしまう。
更に畳み掛けるように、魔理沙の体に雹が降り注ぐ。それも掌サイズではない。一メートルもある巨大な雹だ。通常、魔理沙の体にはシールドが張られている。此により物理的攻撃は一切通らない。但し、例外が存在する。それは、質量による攻撃だ。フィリウスは嘗て岩盤を崩して落とされた無数の岩石を利用したトラップにより、動きを封じられてしまった。それを察するに、衝撃までは伝わってしまうのだ。
魔理沙の全身に雹が叩き込まれる。まるで氷のミサイルだが、その威力はチルノのミサイルを遥かに凌駕するだろう。
「うがぁ・・・攻撃する暇がねぇ・・・早く此処を離れねぇと・・・・・・」
しかし、神奈子は追撃を行う。
「世界には生き物が降り注ぐ災害もあるそうだぞ?」
その時、魔理沙の体に向かってある物が落下してきた。それは、大量のヤドクガエルであった。
魔理沙の体に触れそうになった瞬間、炎の剣トワイライトがヤドクガエルを一斉に焼き斬った。炎により、ヤドクガエルや雹、雨も蒸発した。
立ち上がった結芽だった。
「大丈夫?魔理沙おねーさん」
「あ、ああっ。流石にキツイぜ。ってか強すぎだろ?変身してねぇのに此れかよ・・・」
「うん。正直スルトの力で行けると思ってたけど、甘かったよ。スルトに変われば行けるかもしれないけどやめとくよ」
「何でだ?」
「そんなことしたら幻想郷消えちゃうよ?この世界興味があるから、そんな事したくないんだよ」
「良く分からんが、二人がかりでやれば行けるか?」
「それが良いね。基本連携とか苦手だけど、二人でやれば可能性あるかも」
結芽はトワイライトを構えた。天然理心流の構えを見た神奈子は、結芽が改めて剣の達人であると自覚する。
「見事な構えだ。だが嘗めるなよ」
神奈子の背後に横向きで御柱が三つ出現した。
そして、結芽は神奈子に向かって走り出し、魔理沙は背鰭から放った電光をミニ八卦炉に集めた。
「・・・お前達に敬意を表し、特別に私の新たな姿を見せよう」
結芽がトワイライトを振り下ろし、魔理沙がミニ八卦炉から『マスタービーム』を撃ち放つ。
しかし、神奈子が放った衝撃波が二人の少女が放った攻撃を、二人と共に吹き飛ばした。
そして、神奈子の姿は変化していた。仏像の如き服装へ変化しており、両肩には縦半分の骸骨の頭を思わせる外骨格が取り付けられている。額からは二本の角を生やしている。
まるで観音と般若を合わせたような服装となった神奈子から感じる力の波動に、強気な魔理沙や闘争が好きな結芽も冷や汗を掻く。
「モンスターX。それが私の宿す怪獣だ。この姿を見た者は大抵はショック死してしまうが、お前達は怯える者と好奇心が増した者に分かれてるな。どうする?やるか?」
以前の結芽や魔理沙なら無謀にも挑もうとしていただろうが、今は違う。格が違いすぎる。
「・・・参ったぜ」
「うん。流石に強すぎるよ」
「っだそうだ、鴉天狗よ」
神奈子が上空に居るはたてに尋ねた。はたては神奈子側の決着が着いたのを確認して、試合終了を告げる。
「この試合、八坂神奈子の勝ちとします」
相手が神でも公平に審査するはたて。彼女なりに肝が据わっていた。
「じゃーこの二人にお願いしてみる?敗者に命令出来るよ?」
「そうか。なら私からの願いはこうだ。先ず霧雨よ。私達は信仰が必要なのだ。お前には暫く守矢神社の信仰集めを手伝ってもらおう。燕、お前は私が直々にしごいてやる。覚悟しろよ?」
「マジかよ・・・」
「ほんと!?嬉しい!」
魔理沙は引いてるが、結芽は嬉しそうだ。
そして一時間後、霊夢達も決着を着けた。そして、早苗達の戦いも、決着が着こうとしていた。霊夢達の所に行けなかったユウコが鳥居前で足止めを受けてる事を霊夢達が知ったのは、神奈子と諏訪子との戦いが終わった後だった。