トミーロッド戦を終えたリグル。トミーロッドと激しい戦いの末に、リグルはトミーに辛勝した。リグルはトミーロッドのやり方を変えさせるつもりは無い。トミーに命じたのは、自分の産んだ昆虫達を労い、彼等が死んだらきちんと弔う事だった。
トミーは命令内容に驚いたが、モンスターバトルで負けた事と、リグルを自分が従うべき蟲の王として認識した事で、彼女の命令に従う事にした。
そして、リグルはトミーロッドに手を差し伸べる。
「此からは一緒に頑張ろう。友として宜しくね。トミーロッド」
それを言われた時、冷徹なトミーロッドの顔が動揺に染まる。そして彼女からは、自分が寄り添うに相応しいと見なせる王としての資質を感じた。
こうして、トミーロッドはリグルに忠誠を誓う。彼は感じたのだ。自らが従うべき、王の存在を。
続いて睦美に案内された所に居たのは、尻尾の先端が注射の針のようになった異形の人型存在であった。
???「・・・待っていたぞ。お主がオリベムツミの言っていた蟲の王か?」
リグル「・・・そうだよ」
リグルが先ず感じたのは、王としての圧倒的カリスマ性。まるで産まれた時から王として自覚し、そして王として生きるべくして産まれた存在と言うべきか。
リグル「私はリグルだよ。君は?」
???「余はメルエム。キメラアントの王だ」
リグル「キメラアント?」
メルエム「簡単に言えば、女王蟻が食べ続ける事によって交配を行う蟻だ。そしてその果てに、女王は王を産む。それが余だ」
リグル「そうなんだね」
メルエム「お主は王になろうとしている。お主の目指す王の在り方はなんだ?余に示せ」
リグル「私がなりたい王?そんなの決まってるよ。民と共にあれる王だよ。王は民の為に、民は王の為に、でしょ?」
メルエム「・・・ふっ、それがお主の、王としての在り方か。良いぞ、新たなる蟲の王よ。オリベムツミが認め、トミーロッドが敗北した理由を理解した。ならばお主は、この後に会う三人の王と会え。一人は万物の王たる英雄王。もう一人は高潔なる騎士王。もう一人は暴君故に慕われし征服王。いずれも多様な人間の王として君臨した王だ。その者達と向き合い、自らの王の有り様を示せ。生半可な覚悟では、彼等に押されるがままである」
リグル「うん。あっ、そうだメルエム。私と友達にならない?」
メルエム「何っ?」
リグル「こうして出会えたのも何かの縁だよ。それに、私はメルエムみたいなキメラアントの事ももっと知りたい!キメラアント、きっと凄い蟲なんだと思うよ!」
メルエム「・・・ふっ。良かろう。余を配下ではなく、友として見るとはな。やはりお主は王の器よ」
リグル「ありがとう・・・」
リグルは、メルエムと握手を交わした。
メルエム「・・・ではな。良い結果を期待している」
リグル「うん。また後でね」
こうしてメルエムと少しの会話をしたリグルは、漸く三人の王が待つ場所へ到着した。
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リグル「・・・此処かな?」
リグルは部屋の扉を開けた。扉の前で止まった睦美は、リグルに告げる。
睦美「大丈夫。リグルちゃんなら、きっと」
そして、睦美は部屋の扉を閉じた。
そして、リグルは真っ暗になった部屋を見回した。数秒間暗闇で見えなかったが、ライトが灯されて部屋の全てが明らかになる。
部屋は一つの円卓に四つの椅子があり、その内の三つには三人の男女が座っていた。
???「ほう。あやつが話に聞いた蟲の王か?騎士王よりも小娘ではないか」
???「だが、肝の据わった目をしておるわ」
???「ええっ。まるで、シロウの様です」
一人は唯我独尊の雰囲気が似合う、金色の鎧を纏う青年。もう一人は筋肉質で荒々しくも、生まれついての王としての雰囲気を纏う大男。最後の一人は騎士としての高潔さと、女性らしい美しさを兼ね備えた女性騎士。
リグル(うわあ・・・凄い雰囲気。つまり、こんな人達に認められなきゃいけないんだね)
リグルは三人から王の雰囲気を感じて緊張するが、気持ちを切り替えて最後の椅子に座る。
リグル「・・・初めまして、だね。リグル・ナイトバグだよ」
アルトリア「アルトリア・ペンドラゴンです。宜しくお願いします」
イスカンダル「余は征服王イスカンダル!地獄の女神に召喚され参上した!」
リグル「アルトリアに、イスカンダルだね。君は?」
ギルガメッシュ「戯けが。雑種に名乗る名は無い」
リグル「じゃあ名無しさん?」
アルトリア&イスカンダル「「・・・プフッ」」
ギルガメッシュ「・・・フハハハハッ!面白い返しよのう!我を笑わせた礼に名乗ろう!我はギルガメッシュ。世の全てを統べる王であるぞ」
リグル(本当の王様ってこんな感じかな)
イスカンダル「・・・さて、先ずは話の前に一杯やろうか」
イスカンダルは、リグルに一つ杯を渡す。金色の杯には、赤い酒が既に注がれている。
リグル「えっ?此ってお酒?なんか、嗅いだ事の無い匂いがするんだけど?」
アルトリア「飲んでみてください。其処の金ぴかの出すお酒は本当に美味しいですよ」
リグルはアルトリアの言葉を受けて、杯を手にして口にする。酒を口にした瞬間、今まで味わった事の無い美味しさと体の火照りがリグルを襲う。
リグル「・・・美味しい!ギルガメッシュって本当に凄いんだね!こんなに美味しいお酒を持ってるなんて!」
ギルガメッシュ「無論よ。酒だけでなく我の宝物に収まっている物は全て至高の一品のみよ」
リグル「良いなぁそれ!贅沢してて!私にも分けてよ!」
ギルガメッシュ「戯けが。雑種の王にやる物は無い」
リグル「あっそう」
そして、本題に入る。
イスカンダル「さて、お主は蟲の王を名乗っておったな?何故貴様は蟲の王を名乗ると決意した?」
リグル「・・・私は自分に自信が無かったんだ。蟲なんか弱い。蟲なんて人間にすぐやられてしまう。そんな私だって前から弱かったし、怪獣レギオンを宿しても強くなった気がしなかった。そんなとき、睦美が現れたんだ」
アルトリア「ムツミに、ですか」
リグル「睦美から、蟲が弱いと考えるのは違うって教えてもらったんだ。寧ろ蟲が居なかったら、世界中の生き物は死に絶えてしまう、世界を護ってるって。だからさ。今飲んでるお酒や料理も、蟲が居なくなってしまったら殆ど消えてしまうんだって」
イスカンダル「ぬぅっ!?そ、それは困るのぅ・・・」
アルトリア「まさか蟲にその様な真実があったとは」
リグル「そして睦美は言ってくれたんだ。『蟲の力は偉大です』『貴女は蟲の王になれます』って。そして幻想郷にやって来た神様から、『蟲の王』と呼ばれて自信が付いたんだ!私は決意したよ!あらゆる世界、あらゆる時空に存在する全ての蟲の王になる!それに私、知りたいし会いたいんだ!あらゆる世界の蟲に!蟲の王として向き合いたい!もし三人が否定しても、此が私の王としての在り方なんだ!それに、王は民と共に。民は王と共に。でしょ?」
それを聞いた三人は、リグルの答えに満足した意味が込められた、それぞれ違った回答を出した。
イスカンダル「がはははは!!それが貴様の王としての有り様か!気に入ったぞ!!」
アルトリア「素晴らしい考えだと思います。貴女の事を、少し羨ましく感じました」
ギルガメッシュ「ふむ。それもまた王としての有り様か。まあ我の方が上であるぞ」
リグル「むぅ!最後の方は褒めてるの?」
イスカンダル「ハハハッ。実に楽しい問答であった。ならば蟲の王よ。お主は、お主の目指す王を目指すが良い」
アルトリア「ええっ。私達は応援する事しか出来ませんが、貴女が立派な王となれる事を祈っております」
ギルガメッシュ「・・・蟲の王よ。お主の道を歩むが良い」
こうして、三人の王に認められたリグル。睦美達の寮に戻ってきたリグルは、睦美の膝の上に頭を乗せて膝枕をしてもらった。
リグル「ハァ・・・疲れた・・・」
睦美「お疲れ様です。今は、ゆっくり休んでください」
そして近い将来、リグルが覚醒する事になるのだが、それは今ではない。
こんな感じで良いのかな?