東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第130話

その頃、麟は萃香や一人の女性と共に洞窟内を進んでいた。ザ・ボスである。洞窟内は彼女のくれた暗視装置のお陰で暗闇の中でも見渡す事が出来る。更に萃香は暗闇の中であっても洞窟の構造を把握しており、ザ・ボスは経験と知識による直感で洞窟内を難なく歩いて進んでいる。

 

そして、三人はとある橋の上にやって来た。其処には耳の尖った一人の少女が立っており、麟達を睨み付けて居る。

 

「何か用かしら?此処は地底の町よ?地上の人間達はお呼びじゃないわ。すぐに去りなさい」

 

「・・・この地底を統括してるのは誰?僕はぬらお爺ちゃんに会いたいんだけど?」

 

麟が少女にそう聞いた。

 

「何を・・・って、萃香様!?」

 

少女は萃香を見て驚愕した。何故地上に出て行った鬼の萃香が、此処へ戻ってきてるのか?パルスィは大慌てであった。

 

「ようパルスィ。悪いが麟とザ・ボスを此処を通してくれよ。私達が来たのは、地底に眠るヤバい何かを止める為なんだ。このままじゃ、幻想郷の存在が危うくなる可能性がある」

 

「いえ、萃香様は別に良いのよ。ただ、其処の人間二人はただで通す訳には行かないわ」

 

パルスィはその姿を変化させる。それは、矢が突き刺さった落武者と呼ぶべき侍の鎧を身につけており、金髪は黒くボサボサしたロングヘアーとなっていた。

 

「この感じ、早良怨鬼に似てるね」

 

「それが何か知らないけど、私が宿した怪獣は嘗て戦国時代で愛し合った王子と姫が怨霊になった姿よ。名前は『戀鬼』。今の貴女達で勝てるかしら?」

 

パルスィが構え始める。麟が怪獣娘形態となって身構えるも、ザ・ボスが麟の隣に立って戦う構えに入る。

 

「私もやらせてもらおう。かなりの手練れと見たからな」

 

「ありがとうございます」

 

それを見たパルスィは、刀を抜いて剣先を二人に向けた。

 

「地上では、モンスターバトルが流行って居るのよね?勇儀が地底で広めて、さとりや大将が闘技場を建設してモンスターバトルルールを利用したトーナメント戦も開催してるわ。けど今回、アンタ達は侵入者よ。アンタ達が勝てば、私が一人ずつ何でも言う事を聞いてあげるわ」

 

「そうか。私は通してくれればそれで良い」

 

「僕は・・・ぬらお爺ちゃんの居る場所へ案内してほしいな」

 

そして、萃香がその場で座って三人を見つめた。

 

「よし、んじゃあ私が審判を務めてやる。闘いの始まりは、私がこの伊吹瓢から垂らした酒が地面に落ちた時だ。ほれ」

 

萃香は伊吹瓢から酒を一滴垂らす。滴が地面に到達するまでの間に、麟はパルスィに話し掛けた。

 

「パルスィさん、でしたっけ?」

 

「水橋パルスィよ」

 

「じゃあ水橋「パルスィで良いわ」さん。じゃあパルスィさん、ぬらお爺ちゃ・・・ぬらりひょんさんは元気にしてる?」

 

「ぬら?ぬら・・・ってアンタ、何で大将に用があるのよ?」

 

「昔、僕と姉さんに陰陽術とか妖怪の知識を教えてくれたんだ。それに対処する術や陰陽術の使い方からそれなりに闘う方法まで、沢山教えてくれたよ。たまに口悪くなって喧嘩もしちゃったけど、今になって良い思い出だと思ってるよ。この二胡も、ぬらお爺ちゃんから貰った物なんだ」

 

麟は背中に抱えていた六角二胡をパルスィに見せると、パルスィは驚いた顔になって二胡に触れた。

 

「アンタ、これ大将の使ってた二胡じゃない!此れを手放すなんて・・・大将はそれほどにアンタの事を?」

 

すると、パルスィが戦闘形態を解いた。麟とザ・ボスはパルスィが怪獣娘形態では無くなった事に驚いたが、彼女からは戦う意志が無くなった事を感じ取り、それぞれ戦闘形態を解いた。

それは、萃香の垂らした酒の滴が地面に落ちたと同時であった。

 

「まだ始めて無いけど、私の負けで良いわ。今度、ちゃんとしたバトルを受けてあげる。三人とも、大将の所へ案内するわ。さっき、瀕死になってた博麗の巫女を抱えてきたのよ」

 

「えっ!?霊夢が!?」

 

「安心しなさい。地底でも有力な医者の妖怪達が居るのよ。ヤマメの毒に対する薬も作れる程にね」

 

「・・・ねえパルスィさん!早くお爺ちゃんの所へ!」

 

「慌てなくても案内するわ。それに安心しなさい。大将が医者の妖怪達と治療してくれてるんだから、焦らなくてもすぐに良くなるわ。ほら、此方よ」

 

パルスィに道を案内される三人。道中歩きながら、麟は自分の所有する六角二胡について尋ねた。

 

「パルスィさん。この六角二胡ですけど、お爺ちゃんからは『ワシからの粗末な贈り物じゃ』と言われて貰いましたけど、何かあるんですか?」

 

「アンタの持ってる大将の六角二胡は、数多の妖怪の一部を使って造られた陰陽道具なのよ。その二胡は相応しい者が演奏を奏でれば、種族を問わずに魅了し身体に癒しを与えて健康にしたり、自然治癒力の向上とかトラウマの克服といった他にも色々な良い肉体的効果や精神的効果をもたらす音を奏でるの。相応しくない者が使えば、種族を問わずに呪いを広めて流行り病を流行らせたり病の促進を進めたり、他にも色々な災いをもたらしてしまうの。でも、アンタは相応しい後継者ね。付喪神じゃないけど、二胡がアンタを選んだのは分かるわ。だってその二胡で演奏しても、誰も不幸にならなかったんでしょ?全く、妬ましいわね」

 

「そうだったんだ・・・ありがとね、二胡ちゃん」

 

麟は六角二胡に対してそう呼んだ。

 

「道具に感謝を述べる、か。日本人はとても信心深いな」

 

「だろ?」

 

こうして、麟達はパルスィの案内で一つの和風な屋敷に辿り着き、パルスィが門の扉を叩こうとした。

 

すると、門が開いて一人の女性が現れた。身長は八尺もある美女であり、頭には白い帽子を被っていた。スタイリッシュで巨乳な上に白のワンピースを身に付けた麗しい女性に、麟も思わず見とれてしまった。

 

「パルスィさん、ようこそ。大将は今、博麗の巫女をみとりやヤマメと一緒に治療してるよ。麟も来てるから、連れてきてだって」

 

「解ったわ八尺様。ほら、行くわよ」

 

「う、うん」

 

そして三人はコートを脱いで、ぬらりひょんの屋敷の門を潜った。其処には如何にも絵巻に登場しそうな妖怪達や人間も大量に住んでおり、それぞれ戦闘訓練や家事等を行っていた。

 

「所で、萃香様の隣に居る娘、可愛いなぁ♥️ねえ私と今夜は寝ない?」

 

八尺様が後ろを振り返り、麟に視線を向けるが、頬を赤く染めていた。その目は完全に獲物を狙う目だ。

 

「あっ・・・いや結構です!気持ちいいのは分かりますけど、僕は気持ち良くて嬉しいのは・・・萃香とヤりたいっていうか・・・//////」

 

「・・・なんだよもう!♥️ヤりたいなら言えよ!♥️」

 

「言えないよ恥ずかしくて!っていうか萃香、僕が触手に初体験迎えたと聞いてから、なんか積極的になってない?/////」

 

「当たり前だ!♥️触手にお前の初めて奪われて悔しいのもあるし、触手より嬉しい事して浄化してやりたいんだよ!!/////」

 

萃香は麟の腕に抱き着きながらそう言った。

 

「うんうん♥️萃香様、愛されてるね♥️あーあっ、今夜も下町の男の子で我慢するかぁ♥️」

 

八尺様は残念そうにしながらも、訓練所で真面目に訓練を続ける男の子達を見ながら舌舐めずりをした。

 

「全く此処は何時から援交場になったんじゃ!ええから早う来んかい!!」

 

すると、屋敷からぬらりひょんが姿を現した。そして、ぬらりひょんは麟の姿を見て一瞬嬉しそうな顔を浮かべたが、咳払いをした後に厳しい表情となる。麟はぬらりひょんに手を振って彼の元へ向かう。

 

「おじーちゃーん!!」

 

「麟!来るのが遅いわい!全くどんくさい孫じゃのう!」

 

「ああっ、酷い!久々に会ったのに何なのその言い方!こんなに幻想郷一可愛い孫が来たんだよ!」

 

「喧しいわい!お主が可愛いのは認めるが、自分で言うような娘に育てた覚えは無いわい!第一自分で自分を可愛いと認めたら元も子も無いじゃろう!」

 

「僕の事を可愛いって言ってくれた!?僕自身が鏡で自分を見ても可愛いって分かるから別に良いじゃん!」

 

「それが元も子も無いという意味じゃ!」

 

孫と言っても、ぬらりひょんと麟は血の繋がった関係ではない(もっと言えば、ぬらりひょんは霊夢にとっても祖父になる)。麟にとって自分や姉を育ててくれた者の一人であり、長く接している内に『お爺ちゃん』と呼ぶようになったのだ。『ぬらお爺ちゃん』とも呼ぶのは本人が居ない時であり、ぬらりひょんの前では『お爺ちゃん』呼びである。理由としては、『ぬらお爺ちゃん』と本人に対して呼ぶのが恥ずかしいからである。

 

「やれやれ見ない内に口煩くなりおって。そんな口を聞けるようになったのじゃから、余程強くなったんじゃろうな?」

 

「あっ!手合わせしてくれるの?なら、手加減しないからね!」

 

「殺すつもりで掛かってこいよ?麟」

 

「お爺ちゃんに勝ってみせるからね!僕とジラ、そして新しい力も見せてあげる!」

 

こうして、祖父と孫の対決が始まった。

 

──────────────────────

 

そんな二人を差し置いて、萃香とザ・ボスは霊夢の元へ来ていた。

 

霊夢は寝間着に着替えた状態のまま布団で寝ており、その間に異変解決に行きたいとただをごねている。

 

霊夢は布団から起きようとした。

 

「異変解決しないと!それに怪獣の力で暴走してる子も居るなら、何とかしなくちゃ!」

 

しかし、多くの人妖に止められている。アストルフォも同じように止めていた。

 

「駄目です!霊夢さんは今、ヤマメさんの毒で体調不良なんです!」

 

「その身体で無茶すれば、また倒れてしまいます!休んでください!」

 

「無茶は駄目だよ!それで霊夢が死んじゃったら元も子も無いし、麟も危ないかもしれないじゃん!」

 

そして、萃香が霊夢の元へ来て彼女の肩を掴む。

 

「霊夢。お前は暫く休め。お前の体調不良が治れば来て構わないが、無理をするな」

 

「医者をあまり困らせるな。休んでいろ」

 

ザ・ボスも加わって、霊夢を説得した。

 

「それに、麟や魔理沙は私達が支えるさ。お前は安心して休んでろ」

 

「・・・わ、分かったわよ」

 

霊夢は漸く折れた。

 

(・・・でも、何か嫌な予感がしてくるわ。何故かしら?胸が苦しい・・・誰かが、居なくなっちゃう!)

 

そんな疑問を抱き、胸の苦しみを抱えたまま眠りに入った。

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