その頃、魔理沙、狂三、ユウキの三人はユウコの案内である屋敷の前まで来ていた。門は開いており、其処から見える光景は、大勢の人間や妖怪が何かに注目して集まっている様子だった。
『此処です。霊夢様のバイタルサインは、誰かが治療してくれたお陰か、私達が此処へ到着した時点で既に安定されております』
「そうか・・・でも霊夢、無茶とかしてないよな?」
『バイタルサインは安定されております。人が就寝中の際の平均的なバイタルとなっております。大人しく寝ております』
「良かったぁ・・・霊夢が死んじまったら、麟も消えるかもしれないし、霊夢を愛する奴等が悲しんでしまうからな」
魔理沙は安心した。霊夢が無事であるなら何よりだ。
「あら、他にも客人が居たのかしら?」
其処へエルフ耳の少女が現れた。パルスィだ。
「悪いけど、今は立て込んでるわ。麟が大将と此れからモンスターバトルを行うそうよ」
「そうなんだ。でも、麟は何処に居るの?」
「彼方かもしれませんわ」
狂三が指を差した方向には、多くの人だかりが出来た建物。和風な屋敷にはあまりにも似合わない、古代ローマの闘技場のような建物だ。
「麟は気になるが、私は先に霊夢の所に行ってるぜ」
『私がが付いて行きます。ユウキ様と狂三様は麟様を見に行ってください』
「分かったよ、任せて」
「お任せくださいまし」
こうして、魔理沙とユウコはパルスィに案内されて病室へ向かった。ユウキと狂三は多くの人だかりが出来てる場所へ向かう。あまりにも多い為に、空から様子が見れないかを探る為、ユウキは再び怪獣娘形態に変身した。
二人は空を飛んで、人だかりが多い建物の屋根に登る。幸いにも人だかりが出来ていた場所は中庭であった為、中庭で起きている出来事を見る事が出来た。
「あれは、麟かな?誰かと闘ってる?」
「あれは、もしやぬらりひょんでしょうか?」
二人は建物の屋根に乗って、その様子を見ていた。
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「それでは此れより、冴月麟様対ぬらりひょん大将のモンスターバトルを行います。審判役は、この私『百々目鬼』が担当致します」
審判を行う者は、四肢や着物に無数の目玉を生やす女性であった。彼女は百々目鬼。その名の通り、百の目を持つ女の妖怪だ。
「麟、お主が勝てば、お主の異変解決に協力してやる」
「ホント!?お爺ちゃんの力があれば百人力だよ!」
「じゃがワシが勝てば、ワシの言う事を聞いて貰うぞ?」
「うっ・・・変な命令出さないでよ?」
そして、麟は怪獣娘形態に変身した。それを見たぬらりひょんは、孫の新たな姿に感心を覚える。
「それがお前の新たな力か。最近、幻想郷に住む奴等が“怪獣”の力を纏うようになったと聞くのう」
「僕達はずっと戦ってきた。お爺ちゃんも手加減してたら死ぬかもよ?」
麟は戦いの構えに入り、ぬらりひょんを睨む。ぬらりひょんは杖を片手で持ったまま、構えの体勢を一切取らない。
「それでは両者、始めてください!!」
『ウオオオオオォォォォオオオッ!!』
百々目鬼が片腕を振り下ろし、モンスターバトルが開始された。ギャラリーの歓声と共に、麟がぬらりひょんに向かって走り出した。
麟は地面にパワーブレスを放って、大爆発を起こしてぬらりひょんの目を眩ます。その隙に、麟は『ジラライザー』を取り出してトリガーを押した。そして、『インナースペース』へ入り込み、三つのメダルを取り出してジラライザーにセットする。
「ペガサス!グリフォン!天狗!」
そして、スライドさせてメダルを読み込ませていく。
『ペガサス!グリフォン!天狗!』
そして、麟の背後にジラが姿を現し、咆哮を上げた後に麟がジラライザーを掲げた。
『グオオオオオオオッ!!』
「風の力よ!今ここに!ジラァ!」
そして、トリガーを押そうとした瞬間だった。
「何じゃ?面白いモン持っとるのう」
なんとぬらりひょんが、麟しか入れない筈のインナースペースに入り込んでいた。
「うわぁ!?お爺ちゃん何で入って来てるの!?」
『グオォッ!?』
麟は驚愕した。まさか入り込んで来るとは思わなかったのだ。
「それで何をするんじゃ?」
「・・・はぁ調子狂うなぁ!」
しかし、トリガーを既に押した麟。こんな出来事は始めてであったので、驚きはした。しかし、外では一秒しか経過してないなら、大丈夫だろう。
『ジラ・スカイウィンド!』
そして、麟はインナースペースから飛び出して、別の形態へ変身した。その場に降り立ち、暴風を発生させる。
同じタイミングでインナースペースから出てきたぬらりひょんも、孫の新たな姿に更なる感心を覚えた。
「こりゃあ凄いわい!また姿を変えよったか!」
麟の新たな姿は、鳥のような翼を頭に生やし、両足には馬の蹄のような下駄を履いていた。更に背中には、自分の体を覆う程の翼を生やし、風を纏っている。
「もう!勝たせて貰うからね!」
すると、麟は一瞬にしてぬらりひょんの背後に移動した。ぬらりひょんはお辞儀のような体勢となり、麟のキックを避ける。
更に麟は自分とぬらりひょんを囲むように回る事で風を発生させて、鎌鼬を発生させてぬらりひょんを攻撃する。ぬらりひょんは鎌鼬を全く避けず、周囲に息を吹き掛けた事で鎌鼬を相殺した。更に麟を巻き込む形で風を吹き飛ばした。麟はぬらりひょんの息で吹き飛ばされるが、空中で制止して頭と背中の翼をはためかせてぬらりひょんに向かい合うようにした。
「『ストームブレス』!」
麟はお返しと言わんばかりに口から竜巻状の嵐を吐き出し、ぬらりひょんに向けて攻撃する。
「ぬん!」
ぬらりひょんは拳を握り締めて、嵐を殴った。その瞬間、嵐が砕け散るように霧散した。
「まだやれるかのう?」
「まだまだぁ!!」
麟は風を纏って空中に浮きながら、ぬらりひょんに向かって蹴りを放つ。
「ワンパターンじゃなぉっ!?」
ぬらりひょんの背後から暴風が吹き、麟に向かっていく。
「『ウィンドキックラッシュ』!!」
そして、麟はぬらりひょんの身体全体を蹴りまくる。
「老人はいたわらんかい!」
「お爺ちゃん強いから大丈夫だよ!」
麟はぬらりひょんの腹を蹴って、彼を地面に叩き付ける。地面が陥没し、大量の土煙が立ち込めた。しかし、土煙はぬらりひょんに吹き飛ばされて、無傷のぬらりひょんが衣服の砂を払いながら余裕の態度を麟に見せる。
「ふん!どうやらわしも焼きが回ったようじゃな。今の攻撃は見事じゃったわい」
「むぅ。やっぱ効いてないかぁ」
改めてぬらりひょんの実力を知る麟。昔も手合わせをした事はあるが、全く歯が立たなかった。
「まだ続けられるよ!」
「その意気や良し!さあ来い!」
麟は冷や汗を流しながら、ジラライザーを握り締めて再びぬらりひょんに向かって走り出した。
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「・・・何やらぬらりひょん様の屋敷で騒ぎが起きてるみたいね」
地底の旧都を歩く、一人の少女。黄色い線が身体と繋がった赤い目玉を持つ少女だ。
「・・・今は私の力やお燐やお空の協力で、何とか異次元空間に押さえ込めてるけど、何時まで保てるか分からないわ。もしぬらりひょん様の協力があれば・・・」
少女は走る。ぬらりひょんの屋敷に向かって。
「・・・待っててこいし。お姉ちゃんが必ず、正気に戻してあげるから!」
オリジナル怪獣図鑑
名前:ぬらりひょん・第一形態
別名:妖怪総大将
体高:158㎝
体重:56㎏
妖怪達の総大将にして、元妖怪の賢者。幻想郷の創造に関わった妖怪の一人である為に妖怪の賢者の一人とされていたが、今は引退して地底に屋敷を築き、隠居している。とはいえ、地底でもさとりや勇儀に並ぶ権威を持っており、地底の住人からは『大将』と呼ばれている。
能力
『気付かれない程度の能力』
ぬらりひょん特有の能力。例を上げるなら、ぬらりひょんが家に侵入しても家の者ですら疑問を抱かず、徳の高い僧を含めて、あの初代博麗の巫女ですら侵入に気付けない程だ。更にこの能力は単純に思えてとても複雑であり、ぬらりひょんがもし人通りの多い場所を歩いたり、人の物を盗んだり、人間に触ったとしても、やられた相手はぬらりひょんにやられたとは認識出来ずに近くの誰かにやられたとしか思えない。また、この能力を応用すれば、例え結界で覆われた部屋だろうが何十もの鍵を掛けられた密室だろうが、どんな所にも侵入出来てしまう。無機物や結界だろうと、完全な守りではなく受け入れている所は存在しており、ぬらりひょんは其処に付け入って侵入する事が可能。もっと言えば、生き物の体内にも侵入可能だ。霊夢を治す時も、この能力を使用して独自で編み出した呪術で解毒を行ったのである。更に自分に襲い掛かる毒や病、悪いウイルスにすら自分を気付かないようにさせれば、実質ほぼ無敵にもなれる。他にも様々な応用方法はあるが、作者的にはこれ以上考えたら頭がパンクしてしまう・・・。後は何処まで出来るかの解釈は、読者のご想像にお任せします。
『???程度の能力』
オリジナル怪獣枠にした理由である能力。ヒント1:第一形態という単語。ヒント2:最強のぬらりひょんと言えば?