「っよし!」
霊夢は寝間着姿から、何時もの博麗の巫女の服装へ着替えた。
「霊夢!お前が倒れたって聞いて心配したぜ!」
『本当です!霊夢様がお亡くなりになられたら、私は悲しいです!アリスお母様にも顔を会わせられません!』
魔理沙とユウコは霊夢に抱き着いた。彼女の無事を祈っていた二人にとって、霊夢が復活した事は非常に嬉しい事だった。二人は大粒の涙を流しながら泣き出し、霊夢は抱き着いてきた二人への対応に困り果てていた。
(魔理沙、ユウコ・・・嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいわね・・・////)
すると、そんな三人の元へ三人の人物がやって来た。ぬらりひょんとヤマメ、そしてアストルフォの三人だ。
「おう、蘇ったか。霊夢」
「・・・はい。ぬらりひょんさんのお陰で」
「ヤマメの公害による猛毒は、本来なら息を吸うだけでもアウトなんじゃが、お主は不思議な事にあの闘いでヤマメの公害の毒に耐え、ワシの治療で上手く立ち上がれるようになったのう」
そして、ヤマメが霊夢の前に立って頭を下げる。
「ごめんね、博麗ちゃん。間違って殺しかけちゃって」
「もう良いのよ。実際、あの時の戦いは私とアストルフォの負けよ。私もアストルフォも、アンタには手も足も出なかった。でも、次はリベンジしてみせるわ。こいつもきっと、それを望んでる」
霊夢は自身の胸に手を当てる。交代した時に現れた闇霊夢の事であると、ヤマメとアストルフォは理解した。
「霊夢の言う通りだよ。でも、僕だって次は負けないからね!」
「・・・うん、分かったよ!私、今度こそヘドラの力をもっと使いこなしてみせるから!何時だってリターンマッチを受けて上げる!」
頭を上げたヤマメは、霊夢やアストルフォと握手を交わす。再戦を誓い合った彼女達は、さとりと戦う麟の元へ向かった。
尚、向かったのは霊夢も魔理沙、アストルフォに狂三、智世にザ・ボスである。ユウキはぬらりひょんやさとりを含めた地底の妖怪達と共に一度地上へ戻り、八雲紫の元へ向かった。
──────────────────────
霊夢達がぬらりひょんの屋敷から麟の元へ向かう数分前に遡る。
「・・・イタタ。流石に連戦は疲れるよ」
「・・・ぬらりひょん様と戦った後なのに、此処まで立ち回れるなんて思いませんでした」
さとりは麟の顔に絆創膏を貼っていた。麟は頬をガーゼで保護しており、片手を包帯で包んでいた。一方のさとりには、全く傷が無い。
「まさか間欠泉で吹き出す地底妖怪や怨霊を何とかしようとしてただけなのに、さとりさんの妹が暴走してたなんてね」
「ええっ・・・でも、麟さんと戦って分かりました。貴女達なら、もしかしたらこいしを止められるかもしれないと」
「成る程。それなら協力します。霊夢にも事情を説明をしますので」
「・・・ふふっ。霊夢さんも魔理沙さんも、皆良い人達ですね。特に霊夢さんは、昔のめんどくさがりな姿も可愛いです♥️」
さとりと少しだけ話した麟であるが、教師としての経験からか、さとりがとても親しみやすく優しい妖怪であると理解出来た。
そしてそれは、『心を読む程度の能力』を持つさとりにも知られている。それは麟も分かってる。
それが覚り妖怪の能力。相手の心を読む能力を持つという、反則能力を持っているのだ。
「話してみると良いですよ。妹のこいしちゃんを何とか出来たら、地上と地底の隔たりを超えた温泉宴会でもやろうかなって思ってますから」
「・・・ですが、それは」
「大丈夫ですよ。お爺ちゃんなら話せば分かってくれるし、さとりさんも本当は地上の皆と仲良くしたい筈ですよ」
「しかし、私達は・・・」
「ああっ、もう!過去に何を経験したのか知らないけど、そうやって暗くしてたら何も進めない!さとりさん!地上を一緒に歩きましょう!霊夢もきっと、さとりさんを悪く言いません!お願いします!」
麟はさとりの手を握り、さとりに心から込めた言葉を持ってお願いをした。一切の嘘の無い心からの言葉を聞き、そして心からの叫びも同時に受けたさとりは、心に深く何かが打ち込まれた。断る事が出来ない。
「・・・分かりました。もし解決出来たら、皆さんと温泉でパーティーをしましょう!」
「はい!」
そして、麟はぬらりひょんが呼んでいた事を伝えた。
「じゃあ、私はぬらりひょん様の屋敷へ向かいます。もう少ししたら、仲間の皆さんが駆け付けます。大通りを真っ直ぐ進めば、私やこいし、ペット達の住む『地霊殿』があります。其処には灼熱地獄跡地がありますので、其処でお燐やお空を名乗る二人を探してください。きっと協力してくれます」
「はい。さとりさんも、気を付けて」
「麟さんもですよ。あっ、それと屋敷の前にデュークさんという方が居ます。その方が何やら凄い物を仕入れたそうですので、是非デュークさんの大店を利用してください」
「うん?分かりました」
そして、さとりはぬらりひょんの屋敷へ飛んで向かった。
「・・・よし、そろそろ行くかな」
麟は立ち上がり、さとりの示した方向へ向かった。さほど遠い距離でない為か、五分も歩き続ければ地霊殿らしき建物が見えてきた。そして、地霊殿と中庭を囲む門の前に一台の馬車が止まって居るのを麟は見つけた。さとりの言っていたデュークという男が、馬車に乗っているのを見た麟は、一つの事を思っていた。
(デカイなぁ)
「お待ちしておりました。冴月様」
「デュークさん?霊夢と魔理沙にユウコが会った、達磨みたいな行商人だって」
「ホッホッホッ。何とも厳しい発言ですなぁ」
麟は、さとり以上に読めない相手だと感じた。
「・・・それで、さとりさんから聞きました。何やら凄い物を入荷したとか」
「此方の事ですな?」
デュークが荷台からある物を取り出した。それは、一本の剣だった。しかし、底知れぬ力を感じる。言葉で言い表せない力だ。
「此は『宇宙の穴を縫う針』ですぞ。仕入れるのに大方苦労しましたが、此ならば古明地妹様を正気に戻せるやも知れませぬぞ?」