東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第137話

その頃地上の紅魔館では、レミリアがフランを含めた紅魔館の住人全員を集めていた。

 

「今、八雲紫から緊急事態宣言を通告されたわ。私と咲夜、フランの三名で地底に赴いて古明地こいしを止めに行く。パチェは美鈴、こあや妖精メイド、ホフゴブリンと共に紅魔館の守備を固めなさい」

 

「レミィ、心配しないで。紅魔館全域に魔法と科学を合わせた二重の結界を張るわ。物理的、非物理的な方法でも侵入は不可能よ」

 

「頼むわ。でも万が一の事があれば、紅魔館を放棄して避難場所である人里へ全員で避難しなさい。こあ、ダークゾーンを介して人里へ避難させるのよ」

 

「はい!」

 

小悪魔の宿した宇宙人『ペガッサ星人』の使用するダーク・ゾーンならば、確かに全員を避難させる事が可能だ。

 

そして、フランは不安な表情のままレミリアや咲夜と共に紅魔館を飛び去った。

 

空を飛ぶ間に、フランはレミリアに不安を打ち明ける。

 

「お姉様!こいしちゃんをどうするつもりなの!?」

 

「・・・もし元に戻せなければ、最悪殺すしか無いわ」

 

「そんな!こいしちゃんは悪い子じゃない!なのに殺さなきゃいけないなんて、そんなの酷いよ!!」

 

フランの言葉を聞いたレミリアは、唇を噛み締めた。噛んだ唇から血が溢れ出ていた。

 

「・・・此は幻想郷だけの問題じゃない!貴女自身の問題でもあるのよ!放置してしまえば、幻想郷だけじゃなくて貴女だって死ぬのよ!?」

 

「それは解って・・・あっ・・・」

 

フランはレミリアが自分の方を向いて、全てを悟った。レミリアの唇からは血が溢れ出ていた。つまり、レミリアも本音を言えばフランの友達を殺すなんてしたくない。しかし、妹や家族を守る為にも、彼女は苦渋の決断を下したのだ。

 

「・・・妹様。お嬢様の気持ち、どうか解ってください」

 

咲夜も同じだ。咲夜の表情も苦しいものになっている。

 

「・・・でも、やっぱりこいしちゃんを殺すなんて出来ないよ!!」

 

「・・・話は終わってないわ。信じなさい。貴女の大好きな先生と、霊夢や魔理沙を」

 

「・・・麟先生を?」

 

フランはレミリアの言葉の真意が分からないまま、レミリアや咲夜と共に地底への穴へ向かって飛び続けた。

 

──────────────────────

 

その頃、地霊殿では死闘、いやこいしによる一方的な攻撃が続いていた。崩壊した地霊殿を背景に、霊夢達は戦い続けていた。

 

霊夢は回し蹴りを放ち、こいしの頭を狙う。しかしこいしは不規則な動きと共に避けた後、霊夢へ平手の甲を鞭のように振り下ろし、霊夢の腹を攻撃。霊夢は吹き飛ばされた後、麟は背後からこいしに向かってドロップキックを放ってきた。しかし、こいしは何故かドロップキックを一瞬にして避けて、麟を平手で地面に叩き付けた。

 

『霊夢様!麟様!』

 

ユウコは左手の甲を翳した瞬間、彼女の左手から金属の光沢を持つ液状のナノメタルがユウコを包み込んだ。そしてユウコを包み込んだナノメタルが変形し、ヴァルチャーへと姿を変えた。超高速でこいしに迫り、蹴りを放つ。蹴りは避けられたが、こいしが平手打ちを放つ前に加速して低空飛行にて魔理沙と霊夢を回収した。

 

そして、ユウコは翼からエネルギー光線をミサイルのように放ち、こいしを狙い撃つ。こいしに全く当たらず、姿があやふやになったり揺らめいたりする事でエネルギー光線を避けるこいし。ユウコはヴァルチャーの内部で奇妙な数値を発見した。

 

『ありとあらゆる計測値が0!?肉眼と映像でなければ認識出来ないなんて、何ですか此は!?まるで古明地こいしが『其処に居ない』ようなものじゃないですか!?』

 

先程のこいしの攻撃を受けた事が強く引っ掛かるのだが、あれは恐らく此方側の理屈が通用しない相手だ。

 

ザ・ボスは走り出してこいしに拳を突き出すが、こいしは避けてザ・ボスの拳を叩き、ザ・ボスを蹴りで吹き飛ばした。しかしザ・ボスは右手の鉤爪を地面に刺して、刺した箇所を軸に回ってこいしへ足払いを仕掛ける。しかし、着地しそうになるこいしは完全に不意を突かれたにも関わらず、またしても不規則な避け方をした。言葉では説明出来ない避け方だ。

 

「馬鹿な!?」

 

「退いて!『触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)』!」

 

アストルフォは柄に巨大な蝶の羽が生えた槍を展開し、大振りでこいしの横腹へ向けて振り回す。しかし、こいしには当たらず、風のように避けてしまう。そして、アストルフォ目掛けて頭部らしき被り物から渦巻き状の光線『グリーザボルテックス』を放って攻撃し、アストルフォに直撃させ、地底の天井へ吹き飛ばした。

 

「『ハハハハハハハハハハハハ───』」

 

こいしはまだ笑い続けている。そして、こいしは真上に向かって飛び始めた。その身体を丸めて不気味な球体となり、地底の天井を破壊して崩した。地上に降り注ぐ太陽の光で地底が照らされる。天井が崩れ落ちて旧都に降り注ぎ、建物を破壊していく。更に、地霊殿にも巨大な破片が降ってきて、ギリギリ脱出が間に合ったお空とお燐、そして多数の動物達が出入口から出てきた瞬間に地霊殿が天井の破片によって押し潰された。

 

「あ、危なかった・・・でも、こいし様が居ない!」

 

「地霊殿壊れちゃったけど、こいし様を助けなきゃ!」

 

お空とお燐は、それぞれの怪獣を身に纏った怪獣娘形態に変身する。二人の纏った姿は、魔理沙の怪獣娘形態にそっくりであるが、お空はスリムだが、お燐は下腹部が太い。

 

「地上に出ちゃったなら、ぬらお爺ちゃん達と既に闘ってる筈!」

 

「なら急ぐわよ!魔理沙、まだ掛かるの!?」

 

「先へ行ってくれ!まだ時間が掛かりそうだ!」

 

麟はゴスロリドレスの砂を払った後、こいしの飛び去った穴に向かって飛び始めた。霊夢は魔理沙に問い掛けるが、魔理沙はミニトライデントに意識を向けている。

 

「なら、私が力を貸すよ!私が地底に来た神様から貰った『八咫烏』の神性を使えば、きっと上手く行くよ!」

 

「おっ!?そりゃありがたい!頼むぜ!」

 

「じゃあお燐!こいし様を追って!」

 

「頼んだよお空!」

 

そして、お燐は麟達を追って飛び去った。

 

「魔理沙!後で追い付きなさいよ!」

 

霊夢も天井の穴から地上へ飛び去った。

 

そして、魔理沙とお空がその場に残り、お空がミニトライデントと針に手を翳す。

 

「魔理沙だっけ?ポセイドンを降ろしたいなら、私の八咫烏の力を少し分けてあげる。私のゴジラの力も加えれば、きっと上手く行くよ!」

 

「悪いな・・・お空だったな?力を貸してくれ!!」

 

「「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

 

魔理沙とお空は、ミニトライデントと針に力を送り込み、更にポセイドンへ向けて祈りを込めた。もし此処に麟が居れば効率は上がったかもしれないが、そんな事は言ってられない。

 

(頼む!アンタも神なら、武器だけじゃなくてその力も貸してくれ!!私は強くなって、霊夢も麟も、大好きな香霖も、親友のアリスやパチュリーに成美も、皆も守りたいんだ!そして、暴走したこいしって奴も救いたいんだ!!フランの友達なんだ!!絶対助けたい!!だから・・・お願いします・・・力を貸してください!!)

 

その瞬間、針がミニトライデントと融合し、ミニトライデントから計り知れない程の水が吹き出て、お空は大津波に流されてしまう。

 

「成功しぶぼぼぼぉっ!?」

 

お空は津波に流されながらも、魔理沙を必死に見つめた。

 

「うわぁっ!?」

 

魔理沙は全身を、青く光輝くミニトライデントから放たれた海水に包まれた。しかし、呼吸に異常は無く、苦しくもならなかった。

 

(・・・何だ?この、大きな力は・・・底が見えそうに無い程に大きな力を感じる・・・)

 

そして、魔理沙の目の前にある男が姿を現した。

 

『・・・しかと聞き届けたぞ。人間の魔法使いよ』

 

それは、ギリシャ神話において、海と大地を司るオリュンポスの神々の中でゼウスの二番目に高い地位を持つ神、ポセイドンであった。

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