東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第141話

『推奨BGM:ZERO to INFINITEY』

 

こいしに向かってシン・霊夢と魔理沙が走り出す。こいしは霊夢の振り下ろした爪を避けるが、シン・霊夢はそのまま身体を回転させて踵落としをこいしの頭に食らわせた。こいしは頭にシン・霊夢の踵落としを食らって怯むが、構わず攻撃を繰り出そうとする。

 

しかし、魔理沙がトライデントを振り下ろしてこいしを斬る。その瞬間、一瞬だけとはいえこいしの胸に傷が出来た。こいしは笑いながら断末魔の悲鳴を上げて、傷を付けられた胸元を押さえる。

 

「効いてる!此れが、宇宙の穴を縫う針の力!」

 

グリーザに対して唯一倒す方法は、宇宙に開いた穴を縫う事である。それが出来るのが、魔理沙のミニトライデントと融合した針である。

 

『宇宙の穴を縫う針から感じた力は、聖剣と呼ぶべき特性がある。だが我の槍と融合した事で、聖剣ならぬ“聖槍”となっている。霧雨魔理沙。お前はお前の思うままに力を振るえ』

 

「ああっ!ポセイドン!」

 

魔理沙は槍を振り回す。槍を回して、先端から生み出した水によって円を形成した。巧みな槍の技術と海の神の力による水の生成にて繰り出す水の防御陣形に、こいしは光線を放って破壊しようとした。

 

しかし、槍はこいしの光線すらも取り込んで、円をより大きく描く事になった。

 

「『ヒャハッ!?』」

 

「驚くよな!此はお返しだぜ!」

 

魔理沙は片手で槍をより速く回すと、再び両手で持った後に回転の勢いに任せて振り上げた。

 

「『トライデントカウンター』!!」

 

魔理沙が槍を振り上げて、こいしの攻撃を組み合わせた水流を放つ。水流は光の如き速さでこいしに迫り、彼女のお腹を貫通した。

 

「『キャアアアアアアアアアアッ!!』」

 

こいしが断末魔の悲鳴を上げる。

 

「まだまだ行くぜ!!『アクアスパーク』!」

 

魔理沙は背鰭から電光を発生させて、槍の先端に集束させる。そして、青く水流を取り込んだ熱線を放った。こいしに直撃し、再び身体を貫通し、こいしにダメージを与える。

 

「『『シン・夢想封印』!』」

 

更に霊夢が追撃を仕掛ける。虹色の炎に包まれた陰陽玉を無数に生み出し、こいしを囲んで虹色の炎で包み込んだ。その瞬間、こいしの姿が怪獣娘形態から元に戻ろうとして居た。

 

「『今よ麟!アンタの祈りを、この子に届けて!』」

 

『うん!』

 

麟は霊夢の精神世界で神楽を舞う。強くする為ではなく、祈りをこいしに届ける。

 

そして、その様子を見ていたレミリアはフランの肩に手を置き、助言をした。

 

「フラン。貴女の友達なんでしょ?なら、貴女も参加して呼び掛けなさい」

 

「お姉様・・・うん!」

 

「妹様!無理をなさらぬように!」

 

「分かってるよ咲夜!」

 

そして、フランは走り出した。フランは夢想封印の中を、デストロイアを纏った怪獣娘形態となり、こいしに掴み掛かる。

 

「こいしちゃん!!」

 

こいしはフランに揺さぶられながらも、未だに笑い続けていた。

 

「こいしちゃん!!私だよ!!フランだよ!!聞こえるよね!?」

 

「『ヒャハハヒヒギイイハハハハハ───』」

 

しかし、こいしは笑いながら悲鳴を上げて、再び笑い始めた。そして、フランの顔を平手で殴る。

 

「っ!こいし、ちゃん!!」

 

フランが再び呼び掛けた。

 

「フラン!!諦めるな!!私も手を貸す!!だから、お前はこいしに呼び掛けるんだ!!戦わせろ!!」

 

魔理沙は槍でこいしの胸を突き刺した。その瞬間、こいしの胸元からだけでなく、全身からエネルギーが漏れ始めた。魔理沙の聖槍が、こいしへ干渉していく。フランはこいしを抱き締めた。

 

「『ッアアアアァァァアァァアアアアァアアアアアアアアアアアアァァアアア!!!!』」

 

「こいしちゃん!!大丈夫!!こいしちゃんは怪獣なんかに負けない!!こいしちゃんの方がずっと強いよ!!」

 

こいしが絶叫を上げた。フランはこいしに呼び掛け続ける。

 

そして、霊夢の精神世界で発生した亀裂の中に手を突っ込んだ麟は、亀裂から見えた少女の頭を掴んだ。

 

『こいしちゃん!!』

 

麟は祈りを込めてこいしに話し掛ける。

 

『こいしちゃん。聴こえるかな?君の事を呼んでる声が』

 

麟はこいしに祈りを届ける。

 

「こいしちゃん!!」

 

すると、こいしを背後から抱き締める者が現れた。それは、こいしの姉であるさとりであった。

 

「こいし・・・お願い・・・目を覚まして・・・」

 

さとりは涙を流しながら、暴走するこいしに話し掛ける。

 

「『う・・・あ・・・あ・・・・アハヒヒヒヒハハハハハヒヒ・・・・ああが・・・』」

 

こいしの揺れが止まり始めた。霊夢の精神世界にて、こいしの頭を撫でる麟は、祈りと共にこいしへ語りかける。

 

『こいしちゃん・・・思い出して。お姉さんとの日々や友達と遊んだ思い出を・・・』

 

『・・・とも、だち・・・おねえ・・・ちゃん』

 

こいしの姿が崩れ落ちる。その身体が、ではない。怪獣娘形態を形成したスーツが崩れていく。

 

こいしは涙を流しながら、こいしは思い出す。苦労しながらも姉と過ごした日々や、友達のフランやもう一人の大妖怪と遊んだ一日。楽しかった思い出が、こいしを支配するグリーザの意志を侵食していく。

 

『・・・家族や友達が好きでしょ?』

 

麟はこいしの頭を撫でる。こいしの頭に思い出が蘇る。色々あったが、それでもこいしは幸せだった。

 

『・・・それを失っても良いの?』

 

こいしに語りかける麟。麟の言葉が、こいしに自分を取り戻させていく。

 

『・・・嫌だ・・・お姉ちゃんも、フランちゃんも、ぬえちゃんも・・・お燐もお空も・・・皆居なくなっちゃうなんて・・・嫌だああああああああああああああああああああああ!!!!』

 

その瞬間、こいしを中心に精神世界が光輝く。麟は光に巻き込まれて、精神世界から追い出された。

 

そして、現実世界でも、こいしは涙を流しながらその場で膝を着いた。

 

霊夢と麟が再び分かれて、麟はその場に尻餅を付いた。霊夢は未だに立ち、その場で倒れて元の姿に戻ったこいしを警戒していた。

 

「やったね。魔理沙のお陰だよ」

 

「おうよ!でも、ポセイドンが居たから、そして麟がデュークから針を買ってくれたから助かったんだぜ!デュークにも感謝してるよ!」

 

魔理沙はトライデントを握り締める。神降ろしが上手く行ったのは、針のお陰でもある。しかし、そのお陰でこいしを助け出せた。

 

「・・・こいし、こいしね」

 

「・・・ごめんなさい・・・お姉ちゃん」

 

さとりはこいしを抱き締めて泣いていた。フランもこいしに抱き着き、共に泣いていた。

 

「・・・ふう。此で、異変は解決かしら」

 

霊夢はその場で仰向けに倒れた。巫女服はボロボロになっており、全身には痣も出来ていた。特に両腕には痣が多く出来ている。

 

「・・・霊夢、さっきザ・キングダムから連絡よ。世界中のタイタン達が、帰って行ったそうよ」

 

紫が倒れた霊夢にそう告げた。

 

「・・・そう・・・良かった・・・」

 

霊夢はそのまま眠りに入る。激闘を続けた霊夢を、紫はその額を撫でて宥めた。

 

「疲れたでしょう。今は、休みなさい」

 

そして、麟は紫と霊夢に近付いて、紫に話し掛けた。

 

「紫。霊夢の代わりに、僕が古明地姉妹に判決を下したいんだ。霊夢はこんなんだし、冴月家の人間として、僕が下したい」

 

「・・・元より貴女達の役目は、仲良くしたいと願う人間と妖怪の架け橋。しかしその反面、冴月家の人達は博麗の巫女が何かしらの事態に巻き込まれて動けなくなった時、博麗の巫女に代わって人間又は妖怪に裁きを下す役目もあった。だから、お願いするわ。麟なら、きっと良い判決を下してくれる」

 

「うん」

 

そして、麟はフラフラになりながらも、古明地姉妹に近付いて判決を下した。

 

「古明地さとりさん。古明地こいしちゃん。二人に判決を下します。二人には───」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、間欠泉の異変は幕を閉じた。こいしの暴走によってあまり目立たない異変となったものの、地底から怨霊や地底妖怪が出向く事は無くなった。

 

因みに間欠泉の異変は、古明地姉妹のペットであるお空が起こしたものである。その理由は、暴走した為にさとりやお燐、お空の三人で封じるしか無かったこいしを止める者達を地底へ赴かせる為であった。




新技集

『トライデントカウンター』
使用者:魔理沙
トライデントを振り回し、水による円を形成して防御陣形を取る。ただの水の円を形成するのではなく、敵の攻撃を受けてエネルギーを取り込めば取り込む程に円が巨大化する仕組みである。そして、今まで受けてきた攻撃を水流と共に発射する。

『アクアスパーク』
使用者:魔理沙
トライデントから破壊の水流と熱線を放つ技。フィリウスの熱線と細く速い水流を合わせた熱線は、破壊よりも貫通力に特化するようになる。その為、当たっても爆発は起きないが、貫通力によって如何なる物体や結界も貫通する。
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