東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第143話

「んぐ・・・んぐ・・・ッハァ!やっぱ風呂上がりの牛乳は美味いな!」

 

魔理沙は『博麗温泉』の食堂で牛乳を購入し、腰に手を当てながら立って飲み始めた。

 

「魔理沙ぁ~、日本酒取って来てぇ~////」

 

テーブルに突っ伏しながら座り、顔を赤くしている朱鷺子。日本酒の入った瓶を片手に持っており、かなり酔っ払っている。

 

魔理沙は朱鷺子と対面になる位置にある椅子に座り、朱鷺子の泥酔した様子を心配していた。

 

「朱鷺子、大分酔ってないか?流石に飲み過ぎだぜ?」

 

「宴会なんだからええじゃないか~。それに麟の奴がじぇんじぇんわだしのぎもちにきづがないんだぞ~////」

 

「いや、麟は鈍感じゃないから気付いてるだろう。でも麟はお子様や生徒は恋愛対象外らしいぜ」

 

「にゃんだと~!!私は霖之助のおねぇちゃんなんだぞー!!私が赤ん坊の頃の霖之助を世話した事だってあるし、おしめも変えてやったんだ!第一ぬらりひょん様から受け継いだ六角二胡の演奏を麟が使えるのだって、私が教えたからなのにー!!////」

 

朱鷺子は怒り出す。酔ってるせいでテーブルを素手で叩き出した。

 

「あまり恥ずかしい事を言わないでくれないかな朱鷺子。僕も流石に恥ずかしいよ」

 

魔理沙の隣の椅子に座る男が居た。霖之助だ。彼は盃の酒を一口飲み、二人に話し掛ける。

 

「でも、麟をあまり困らせないであげてくれ。生徒に告白される教師も珍しく無いからね。それに、麟は人里では子供だけじゃなく大人からも告白されてるんだ。この前だって、酒屋の跡取り長男からも告白されたんだってさ。断ったらしいけど」

 

「むぅー!麟は渡さないぞー!////」

 

「ハハッ。まあ麟はモテて当然だよな。自惚れやすい性格してるけど、優しくて人当たりも良いだけじゃなくて色々相談にも乗ってくれるし、厳しい所もちゃんとある。私も見習いたい所が沢山あるんだよな」

 

「そんな事は無いさ。魔理沙もずぼらなようでちゃんとしてる所はあるよ」

 

「ッ!わ、私はそんなんじゃないぜ!/////」

 

霖之助に褒められ、顔を赤くする魔理沙。酔っ払いながらもその様子を見ていた朱鷺子は、ニヤニヤしながら魔理沙の傍へ高速で駆け寄り、魔理沙に囁いた。

 

「魔理沙~霖之助に褒められて良かったね~///」

 

「おまっ!ちょ・・・私は別に・・・お前本当は酔ってないだろ!?////」

 

「酔いたくなるさ~!!麟ー!!私の気持ちに気付けよー!!」

 

「逆に怪しすぎるぜ・・・」

 

「んじゃあ私~、麟を誘惑してくるな~/////」

 

朱鷺子は演技ではなく本当に酔っているが、朱鷺子が本当はお酒に強いのかと疑ってしまう魔理沙。そして朱鷺子は酔っ払いながら温泉に向かって歩き始めるのだった。

 

「それより魔理沙。君は神降ろしに成功したんだって?」

 

「ああっ。ポセイドンだろ?香霖から貰ったミニ八卦炉がこんな感じになったぜ!」

 

魔理沙がミニ八卦炉が進化したミニトライデントを見せた。

 

すると、ヒカリが姿を現してテーブルに乗り、ミニトライデントを見た。

 

『此は確かに、星の力を感じるな。特に海の力が色濃く感じるぞ』

 

「ミニトライデントですね。ギリシャ神話のオリュンポスの神々の一人にして、ゼウスの弟である海神ポセイドンの武器と、僕の造ったミニ八卦炉が融合した武器だね。水や水源を生み出すだけじゃなく、地震を起こす事も出来るよ。本来の規模は星全体に二秒もあれば及ぼせる程だけど、此はあくまで町一つ分を巻き込める程度だね。地震を起こすやり方は分からなかったけど、多分地面に突き刺せば良いんじゃないかな」

 

『成る程。地球に住む神というのは、とても強い力を持っているのだな。霖之助、君の店にあった草薙の剣も凄まじい力を持っていた。我等でも計り知れないエネルギーを持っていた』

 

「ええっ。仮にも神様の武器ですからね。もし本来の持ち主が持てば、僕の能力で見た限り星も容易く切断出来るでしょう」

 

『・・・地球の神々は侮れんな。後で光の国にも報告しておこう』

 

ヒカリは、タイタンを含めた地球の神々の力の強さに感心を抱いた。そして、それを扱う幻想郷の住人達。改めて地球人の底無しの可能性を見せられたヒカリであった。

 

「香霖。後でミニトライデントを修理してくれないか?何処か悪い所は無いか見て欲しいんだ」

 

「ああっ。でも僕も初めて見る所はあるから、ヒカリさんと一緒にやってみるよ。ヒカリさん、手伝ってくれますか?」

 

『ああっ』

 

こうして、間欠泉の異変は幕を閉じた。『博麗温泉』は温泉宿として今後も営業を続ける事になるが、霊夢自身は神社の管理や修行、畑の手入れに加えて異変解決や依頼解決、妖怪退治等と意外にも多忙な為、経営はアリスが担当する事になった。アリスは霊夢の頼みならと、快く引き受けてくれた。従業員は全員ナノメタルと組み合わせて造った自立人形達ではあるが、人と変わらぬ感情を持って表情豊かである為、客受けも非常に良かった。

 

一日経過して、霊夢の両腕は完治し、巫女として復帰出来たのだった。

 

──────────────────────

 

そして、寺子屋前。一人の女性が立っていた。

 

「ふふっ。麟も成長しましたね」

 

爆乳美女のシスター。彼女は麟の義理の姉である冴月寅であった。昨日は温泉宿には入らなかったが、入り口前で目を閉じながら降り注ぐ雪を肩に被っていた。彼女は目を閉じていたが、麟の様子がハッキリと見えていた。覚り妖怪達やそのペット達、そして麟を好きである吸血鬼の少女の様子も全て。

 

「む?寅であったか」

 

其処へ、それぞれ仕事服に着替えているモルドが現れた。長女のモルドは鎧を纏っており、此から狩りに出向く様子であった。

 

「モルドさん。お久し振りです。あの時の話を守ってくれてありがとうございます」

 

「『麟と彼女の愛する幻想郷を護れ』という話か?そうだな。私もこの世界が好きになった。嘗ては侵略した能がなかった我々では見出だせなかった、こんな素晴らしい世界。侵略して手に入れたとしても、このように平和な世界とはならなかっただろう」

 

「ふふっ。それなら何よりですね」

 

すると、モルドを呼ぶ声がした。

 

『モルドさーん!妖精の群れが目撃されました!早く向かいましょう!』

 

『『ギギギッ!!』』

 

ギギ達だ。彼等も幻想郷で暮らして、時に鍛練を励みながら平和に暮らしている。

 

「ああっ!今行く!では寅、失礼する」

 

「はい」

 

こうして、モルドはギギ達の元へ向かう。その様子を見ていた寅は、微笑ましい笑顔でモルドを見送った。

 

「・・・この幻想郷を、麟を必ず護ってみせる。父さん、母さん・・・私が例え、この世全ての邪悪に染まったとしても・・・」

 

その時、寅の目は赤く輝いていたが、それに気付いた者は誰一人として居なかった。そして寅は、その場から姿を消した。




次回は番外編、タイタンとザ・キングダムの闘いです。まあ、かなり短めにはなりますが。
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