東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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勧誘編特別版:更木小夜編・その3

結芽が走り出す。ゴモラも並んで走り、残った右目で結芽を捉え続ける。歩幅は違うのだが、結芽はゴモラと離れながら並走していた。その間に、結芽はゴモラに狙いを定めていき、トワイライトを振り上げる。振り上げたトワイライトから放たれた無数の炎弾が、ゴモラに向かって飛んでいく。ゴモラは時々尻尾を振り下ろすが、結芽は跳んで避けた。そして、飛ばした炎弾がゴモラに当たり、大爆発を起こす。ゴモラの全身が爆発に巻き込まれ、ゴモラは悲鳴を上げた。

 

『キシャアアア!?』

 

「どうかな?目標に向かって飛んでく『ラグナミサイル』は」

 

結芽は走りながらゴモラに話し掛ける。ゴモラは咆哮を上げながら、角を輝かせて赤い光線状の『超振動波』を放った。結芽は足の踵をアスファルトに埋め込みながら引き摺った後、二十メートルの地点で止まる。そして、トワイライトを両手で持ち、刀身を炎と高熱で輝かせた後に突き出した。

 

「『ラグナフレイム』!!」

 

そして、トワイライトの刀身から炎で構成された熱線を放つ。熱線がゴモラの超振動波とぶつかり、振動と熱波が周囲に飛び散った。湖が淡き、大地が溶ける。しかし、結芽が押されていた。結芽が弱いからではない。本気で技を放てば炎がゴモラの足元にある湖に当たり、水蒸気爆発を引き起こしてしまう可能性があるからだ。結芽はそれを分かっており、本気で技を放てないのだ。それに気付いた小夜と彩菜が動き出す。

 

「彩菜さん!」

 

「分かってるわよ!ヒュドラム、ダーゴンと代わりなさい!」

 

『分かりました。全く彩菜さんは人使いが荒いですねぇ』

 

そして、ヒュドラムの姿が変化して、今度は筋肉質な上に体格がヒュドラムより若干大きい武闘派の男の姿となる。彼がダーゴン。闇の巨人の中でも最強のパワーを持つ武闘派だ。

 

『任せよ彩菜!我がゴモラを!その間に攻撃しろ!』

 

ダーゴンがゴモラの懐に入り込み、そのままゴモラのお腹に向かって右の拳を振り上げて殴る。ゴモラが怯み、超振動波が弱まるが、まだ結芽の熱線と拮抗している。彩菜はゴモラが怯んだ隙に、右手に短剣『ダガーヒュドラム』を装備し、ゴモラの膝裏を狙って斬る。両膝の裏を斬られたゴモラは膝を湖に浸けて倒れそうになるが、その間に追撃を受けた。小夜が刀をもう片方の目に突き刺した。血が噴き出し、小夜の全身がゴモラの血で真っ赤に染まる。

 

「サンキュー!どりゃああああああっ!!」

 

結芽が熱線を重ねて放ち、ゴモラの超振動波を押し返した。そして、熱線はゴモラの頭に当たり、そのまま頭を貫通した。

 

そして、ゴモラは横に倒れた後に大爆発を起こした。

 

「・・・安らかにね」

 

結芽はそう告げた。それは、ゴモラとレッドキングに対して言った言葉だった。

 

「・・・説明してもらえるか。お前達は何者なんだ?」

 

小夜の言葉が、今までと違った物となっていた。その瞳は赤く染まっており、折れた刀を二人に向けている。

 

「・・・そうだね。此処まで見てしらばっくれるのも無理があるし、全て話してあげる。但し、おじさんも一緒にね」

 

「言っておくけど、此から語る事は嘘偽りは無いと約束するわ。陰の圧力も無い。信じろとしか言えないけど、信じて」

 

「・・・分かった」

 

そして、結芽達は共に帰路へ着こうとした。しかし、此処で小夜は古きものの死体に近寄り、死体から血を吸い始めた様子を見て、結芽も彩菜も少し引いた。

 

「ほら、早く行くよ」

 

血を吸い終わったのか、小夜がその場に倒れそうになる。しかし、彩菜が小夜を受け止め、その手から赤黒いオーラを放ったまま小夜の額に触れた。

 

「起きて」

 

「っハァ!?」

 

小夜が目を覚ました。そして、古きものの死体や口元に残る血や肉の感触を知り、自分が何をしたのか分からず困惑した。

 

「な、此は・・・」

 

「それは貴女が古きものの血肉を食べたからよ。美味しかったかしら?」

 

「馬鹿な・・・うっ!?」

 

小夜は頭を抱える。

 

『ふ~ん?どうやら記憶操作されているようだね。あたし等の力を送りなよ彩菜』

 

「分かってるわカルミラ。小夜、思い出して。貴女が何者なのか」

 

彩菜は闇の力を送り込む。小夜の口に自らの指を突っ込んだ彩菜は、闇の力を送り込んでいく。

 

「大丈夫。私の炎も分けてあげる」

 

結芽は小夜の背中に触れて、永久なる炎を分け与えた。永久なる炎は消えない炎であり、尽きる事は無い為、どれだけ分け与えたとしても平気だ。結芽の掌から小夜の体内へ、永久なる炎が輸血されるように送り込まれていく。

 

「あっ・・・ああっ・・・そういう事か」

 

小夜は思い出す。自分が何者なのか、そして自分が何をしてきたのか、そして黒幕が誰なのか。

 

「・・・思い、出したぞ!!何があったのか、私が此処に居る理由が!!文人おおおお!!」

 

小夜の目が赤く染まる。其処に居る小夜は、嘗ての天然ドジっ娘な小夜ではなかった。凛々しい目付きに似合った氷のように冷たい表情。それこそが正に、小夜の本来の姿と呼ぶべき姿であった。

 

小夜が憎き相手の名を叫んだ時、全身から闇のオーラを放ち、結芽と彩菜はある鎧の姿をイメージした。

 

『やっぱり、ヘカーティアおねーさんは正しかったね。小夜おねーさんは、このカプセルに入ってる鎧の近くに居るせいかめっちゃ強くなってるし』

 

『闇の皇帝の本来の持ち物であるあの鎧に、完全適合出来る。ヒュドラムの言ってた何者かが狙う訳だわ』

 

「さあ、向かうわよ。浮島神社へ」

 

「おじさんも一緒にね」

 

「・・・分かった」

 

彩菜と結芽、そして小夜の三人は浮島神社へ向かう。全てを知るであろう男、唯芳に会い、話を聞く為に。




新技集

『ラグナミサイル』
使用者:結芽
狙いを定めた目標を何かに当たるまで追尾する炎弾。狙いを定めた箇所が多い程、炎弾の数も増していき、威力だけでなく殲滅力も増す。剣を振り上げる又は両手からでも放てる。

『ラグナフレイム』
使用者:結芽
トワイライトを突き出して放つ炎の熱線。本来ならばあらゆる物質を集中した火力で瞬く間に溶かすのだが、神奈子には通用せず。また、氷や冷気、水に直接当てると水蒸気爆発を引き起こして熱核兵器に匹敵する大惨事を招く危険な技でもある。
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