東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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今回で、小夜編はおしまいとなります。次回から日常編に戻ります。


勧誘編特別版:更木小夜編・その5

文人を前にした小夜。その瞳は赤く輝いており、文人を飢えた狼のように睨み付ける。

 

「どうして小夜がそんな姿になったのか、それは分からない。けど、そんな姿も君に似合ってる。僕は今までで一番素敵な君に出会えたよ」

 

『グルルルルゥゥッ・・・』

 

文人の横から、人型の古きものが姿を現す。

 

「・・・っ!父様!」

 

それは、小夜の父親を演じていたものの、本人も小夜を娘のように思っていた、唯芳本人だった。彼は、古きものと人間が交わって産まれた存在だった。

 

「成る程。半分は人間なんだね」

 

「そうね。じゃあ私達は、あの七原文人って奴を捕らえて、小夜をとっとと勧誘しちゃいましょ──」

 

しかし、彩菜の背後から光と共に転移してきたテンペラー星人が襲い掛かる。テンペラー星人が片腕を振り下ろして鞭状の光線を放つが、彩菜はカルミラバトンを振って光線を弾き返した。

 

『我々の邪魔はさせん!』

 

「ヘカーティアの言ってたテンペラー星人かしら!?ヒュドラムの予想は当たってた訳ね!」

 

彩菜はカルミラバトンからカルミラウィップを伸ばしてテンペラー星人に向かって振り下ろすが、テンペラー星人は片手で叩いてカルミラウィップを弾く。再びカルミラウィップを振り下ろして、テンペラー星人を叩く彩菜。軌道が変化していくが、テンペラー星人は軽く叩いて受け流す。

 

『食らえ!ウルトラ兄弟必殺光線だ!』

 

「『カルミラショット』!」

 

彩菜はカルミラバトンから青白い光線を放つ。テンペラー星人のウルトラ兄弟必殺光線と放つタイミングが重なり、それぞれの光線がぶつかって周囲の建物が吹き飛んだ。

 

一方結芽も、彩菜の援護に向かおうとするが、途中で身体が動かなくなってしまう。

 

『余計な真似はさせませんよ。私達は小夜を“巫女”として連れて行く必要があるんです』

 

それは、嘗て幻想郷に現れたメフィラス星人であった。

 

「・・・貴男は?」

 

『此はどうも。私はメフィラス星人のフェレスと申します。彼方のテンペラー星人はヴィランテと言います』

 

「・・・念力か何かかな?こんなもので捕まえたと、思うな!」

 

結芽は力を全身に込めて、自分を縛る何かを振り切った。フェレスは予想外の出来事に驚いたものの、自身を光らせた後にその身体に青と銀の美しい鎧を纏った。それは、暗黒四天王のメフィラス星人が武装した姿である『アーマードメフィラス』だ。

 

右手に持つ剣『メフィラスブレード』で、結芽の炎の剣トワイライトを止めるフェレス。

 

『凄まじい力ですね!流石は終焉の巨人の力!』

 

「そっちだけに目を向けない方が良いよ!」

 

フェレスの剣を弾いた後に、結芽は懐に入って左肩でタックルし、更にトワイライトでフェレスの腹を斬る。フェレスは後方に下がる。フェレスは体勢を立て直した後にメフィラスブレードによって突きを放つが、結芽はトワイライトで受け止めた後にメフィラスブレードを剣で伝いながらフェレスに向かって走る。そして、フェレスの懐に再び入り、膝蹴りを放ってフェレスのお腹を蹴る。フェレスの体勢が崩れた瞬間に剣を振り下ろして再びフェレスを斬る。フェレスは首を横に傾けて頭が斬られるのを避けるが、今度は肩を斬られた。斬られた箇所が熱く、激痛が走る。アーマードメフィラスとなったフェレスの鎧を容易く斬る切れ味に加えて、凄まじい高熱によって斬られた鎧の傷の断面が溶けている。

 

結芽は、嘗て神奈子に負けた事を反省している。力だけでは対抗出来ないと知った時、力の差は“技”で埋める事を知った。勿論力を上げるのも怠ってない。その為の筋トレやランニングといった基本的なトレーニングを重ねただけでなく、更に天然理心流を更に極める為に剣術の動画を見て参考にしたり、実際にやって反復練習等もやった。天才であったが為に、何処か天狗になっていたのだが、神奈子の件で反省し、更に自身を磨く為にトレーニングをしてきた。

 

その結果、アーマードメフィラスを圧倒している。アーマードメフィラスと結芽の実力は離れている。スルトが無敵でも、結芽はそうではない。しかし、技も身に付ければフェレスを圧倒するのは容易い。

 

『ぐっ!?地球人が此処まで強くなるとは!』

 

「嘗めない方が良いよ!私だって、ちゃんと特訓してるからね!それに・・・大好きな人達と一緒に居たいから、大好きな人達を守る為にも、私はもっともっと強くなる!貴男も私の強さ、覚えておいてね!」

 

結芽が駆け出す。フェレスは左腕から光線を放つが、結芽はトワイライトに炎を纏い、縦に振り上げて光線を斬った。

 

「『ラグナスラッシュ』!」

 

今回は光線が相手の為、火柱は立たない。光線を斬り続けて、フェレスを突き刺した。そして、トワイライトをメフィラスの腹から引き抜きながら、彼を斬る。

 

『がああああっ!!?』

 

フェレスは後方に下がる。

 

『此処までやるとは・・・ヴィランテ!此処は退きますよ!』

 

フェレスは、彩菜と戦うヴィランテにそう告げた。

 

『ぐっ!?仕方あるまい・・・彩菜とやら!勝負はお預けだ!次は我輩がこの手で殺してやる!』

 

ヴィランテは彩菜を両手の突きで吹き飛ばした。そして、フェレスの傍に寄る。軈て二人はその場から姿を消しそうになる。二人は追撃する事はしなかった。

 

『今回は失敗しましたが、此方で“生け贄”は既に見つかりましたからね。今回は、退かせて頂きますよ。小夜さん。次こそは貴女を全盛期以上の皇帝を復活させる“巫女”として、貴女を捕まえに行きますからね!』

 

そして、フェレスとヴィランテの姿が消えた。

 

「「小夜おねーさん/小夜!」」

 

二人が小夜を見る。其処には元の唯芳に戻り、彼を膝で寝かせている小夜と、彼女の傍で刀で貫かれて倒れている文人の姿があった。小夜は元の姿に戻っており、眼鏡は壊れたのかバラバラになって地面に散らばっている。

 

「父様・・・」

 

「すまなかった小夜・・・お前を騙していた。だが、お前と過ごした日々、お前を私の娘と思っているこの気持ちは、本物だ。それにお前は、新たに進むべき道を記してくれる仲間が出来た」

 

唯芳は結芽と彩菜を見た。二人が小夜に、新たな未来を作り出してくれると信じたのだ。

 

「小夜・・・・・・小夜、私の娘。この先、お前がどんな道を歩もうとも、私が何者だったとしても、私はお前をずっと愛している」

 

「ッ!父様・・・」

 

小夜は、唯芳を抱き締めた。その光景を見た結芽と彩菜は、自分が求めていた親子の絆をその目で見る。

 

(良いなぁ・・・やっぱり私、お父さんとお母さんに会いたいよ・・・)

 

(お父さん・・・私のお父さんも、こんな人であって欲しかった・・・)

 

二人は、親関係の複雑な事情を抱えている。だからこそ、仲の良い親子関係が羨ましかった。目の前の小夜と唯芳は本当の親子ではないが、それでも其処には確かに親子の絆があった。切っても切れぬ関係が其処にはあった。

 

「・・・ごめんね。小夜・・・君にこんな辛い思いをさせてしまって・・・・・・」

 

三人は倒れている文人を見た。文人は、胸を刀で貫かれているにも関わらず、顔を上げて小夜を見つめる。

 

「古きものが少なくなって、この先何百年も生き続けるであろう小夜が喰らう者が居なくなれば、きっと小夜は死んでしまう。そうさせないように、此処までやったけど、思わない形で失敗しちゃったね」

 

「・・・小夜おねーさんの事なら安心してよ。私達が死なせない。きっと、文人おにーさんが望む小夜おねーさんの幸せを、実現してみせるから。まだどうすれば良いか分からないけど、信じて」

 

結芽が文人にそう告げた。

 

「・・・そうか。なら・・・小夜をお願い。小夜、一人じゃないよ・・・僕は何時だって見守ってる。そして新しい仲間と・・・どうか・・・幸せにね。勝者(小夜)には褒美(幸せ)を・・・敗者()には()を・・・・・・」

 

こうして、文人は灰となって風に吹かれながら散り散りになっていった。小夜は文人の亡骸である灰の一つを握り、懐に仕舞う。そして、小夜は文人が持っていた銃や、彼を貫いていた刀を手に持って、鞘に収める。

 

「・・・借りていく」

 

そして、小夜は二人の傍に歩み寄って来た。

 

それと同時に、二人の背後から黄金の穴が開く。其処からヘカーティアが現れて、小夜に手を伸ばした。

 

「ようこそ小夜。私達の『ザ・キングダム』へ。貴女を歓迎するわよん」

 

「・・・宜しく頼む」

 

小夜はヘカーティアの手を握る。そして四人は黄金の穴へ入り、穴はその場で閉じた。此れで、小夜は元の世界から姿を消して、新たなる世へ旅立った。それが、小夜の運命を大きく動かす事になるのだった。




オリジナル技集

『カルミラショット』
使用者:彩菜
カルミラバトンから放つ青白い光線。青白いものの闇の光線である。威力は彩菜及びカルミラの身長によって変化する。彩菜が放った時は、同じ身長とはいえテンペラー星人のウルトラ兄弟必殺光線とぶつかり合い、互角に押し合った。
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