「怪獣の力に、ザ・キングダム?」
「そう。僕達が所属してる組織なんだ。僕達は怪獣の力を宿してる。そしてあの怪獣達と同じゴーデス細胞をこの世界から駆逐するのが目的なんだ」
麟は全てを説明した。ザ・キングダムの仕事。自分達幻想郷の住人の事。そして、宿した怪獣の事を。
「にしても、アンタ達もどうだい?鬼の酒は格別だぞ?」
萃香が伊吹瓢から器に注いだ酒をサーヴァント達に手渡す。
「酒か!ありがたい!」
「私も頂こう。暫く酒にはご無沙汰だったからな」
クー・フーリンとエミヤが、萃香が器に注いだ酒を飲む。他のサーヴァント達も萃香の注いだ酒を飲み始める。
「ほら、お前も飲めよ~」
「いや、私未成年なの・・・」
萃香がイリヤに酒を薦める。イリヤは断ろうとするが、
「やめなよ萃香。この世界じゃ二十歳にならなきゃお酒は飲めないんだよ」
「良いじゃないか。こんなご時世だ。こんな時くらい酒を飲め」
「・・・ごめん。諦めて」
萃香が酒をイリヤに飲ませようとするが、それを見ていたアルトリアが萃香を制した。
「やめてくださいお願いですから!」
「何でだよー」
すると、数人のサーヴァント達が萃香を連れて別の部屋へ行く。麟とフランは訳が分からなかったが、美遊とクロエが説明する。
「イリヤって酔ったらもう一つの人格が出てくるのよ」
「成る程。その人格ってかなり凶悪なの?」
「・・・まあそんな感じ」
麟は気になったものの、休む暇が無い事をすぐに思い知る事になる。
「マスター!また怪獣が出たんだ!しかも今度は悪魔達が怪獣になったんだ!」
「・・・もう、何時になったら悪夢が終わるの!?」
どうやらまた被害者が出たらしい。この世界の地球は、恐らくもう手遅れな状態なのだろう。ゴーデス細胞の侵食は既に地球の裏側にまで到達してるのだろう。もしゴーデス細胞を駆逐しても、犠牲者達は戻ってこないだろう。
だが、それでもザ・キングダムは奴等を駆除しなくてはならない。
「ねえ、君達はゴーデス怪獣を元に戻す方法は解る?」
麟はイリヤ達に尋ねる。
「それは、解らないけど・・・」
「なら、彼等は殺す他無いよ。ゴーデス細胞は一片も残さず消滅させなきゃならないんだよ。それが、彼等を救うせめてもの方法だからね」
麟達は拠点を出る前にある錠剤を五つ程イリヤに手渡した。
「ねえイリヤ。君達の力だけじゃ、ゴーデス怪獣は倒しにくいと思う。このカオスヘッダー入りの錠剤を使って。その中にある錠剤には『カオスヘッダー』という光のウイルスが入ってるんだ。それがあればゴーデス細胞に対抗出来るよ。時間が無いから、三つの事を覚えてて」
麟はカオスヘッダー入りの錠剤について説明する。
一つ。一度服用したら三分過ぎて効力が消えるまで服用しない事。
二つ。一度に服用するのは一つまでにする事。
三つ。それを破ったら、暴走してしまう事。
以上が主な注意点である。
「うん。でも、五つしか無いの?」
「ごめんね。元々十錠ずつしか持ってないんだ。だから、数が少なくてごめんね?」
イリヤは少し残念そうな顔をする。
「まあ人間には過ぎた代物さ。こんな力は乱用しない方が実際は良いんだろうからさ」
萃香がその場に現れた。そして、イリヤに頭を下げた。鬼の萃香にしては珍しい光景だ。
「あーっ、悪かったよ。説明されてお前に酒を飲ませようとしない理由が解ってさ。まあお前も大変なんだな」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「だがまあ、このまま大人しくしてても難だ。ゴーデス細胞を駆逐しなくちゃ、地球が覆われちまうんだ。犠牲者達を救う方法は無いからな。あっても全員は救えない。彼等を葬ってやるのが、せめてもの救いだよ」
萃香は拠点から外に出た。麟とフランも、萃香に続いて拠点を出ていった。
「イリヤ・・・」
「・・・」
なんと声を掛けてあげたら良いのか。クロエも美遊も、イリヤに掛ける言葉が見つからなかった。
「・・・バーサーカー。私、どうしたら良いの?」
「・・・」
イリヤがバーサーカーと呼んだ大型の男も、イリヤに対して返事を返す事が出来なかった。
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麟達が外に出て、錠剤を一つ懐から取り出して、その手に握り締める。外にはゴーデス怪獣化した被害者が多数居た。動物だけでなく、昆虫や建物型の怪獣も居る。建物は兎も角、生き物の場合は殺してやるしか無い。
「・・・被害者達を苦痛から解放してあげよう!」
「うん!もう解放してやらないと!」
「そうだな!」
そして、麟、フラン、萃香の三人は錠剤を飲んだ。水要らずで飲めるのが良い所だ。
「「「っ!?うおおおおおおおおおおっ!?」」」
こうして三人はカオス怪獣形態へと姿を変える。初めは怪獣を纏った姿となり、そして光の粒子が全身を回ってすぐに姿を変異させる。
麟は背鰭が真っ赤に染まって、両腕に鎌のような赤い刃を生やし、瞳以外の目が赤く染まる。顔に着けた仮面も禍々しいデザインとなった。麟のカオス怪獣形態。名付けるとするなら『冴月麟:カオスゴジラ形態』と言うべきか。
フランも姿が変化する。怪獣形態と姿はさほど変わらないが、元々あった羽に生える宝石が全て赤く染まり、形も禍々しくなる。名付けるなら『フランドール・スカーレット:カオスデストロイア形態』だろう。
萃香も変化する。フランと同じく怪獣形態と姿は変わらないが、元々あった二つの角が鹿の角のように分かれた禍々しい形となる。そして、鎖に繋がれた三種類の分銅や瓢箪も、赤い角のような突起物を生やしている。名付けるとすれば、『伊吹萃香:カオスマガオロチ形態』と名付けるべきだ。
「・・・なにこれ凄い!力がみなぎる!」
「あはははー!いっくよー!!」
「ああっ。此がカオスヘッダーの力か!此れなら行ける!」
三人は走り出す。その瞬間、人型怪獣が掌からゴーデス細胞を含めた光線を放つ。ゴーデス細胞が全身に振り掛かるのだが、三人の体に変化は無い。怪獣達も驚愕しているようだ。
「おおっ!ホントに効かない!」
「その場で抗体を作ってんだな!だが三分しか保たないんだよ!だから早めに決着着けさせて貰うぜ!」
三人は空を飛ぶ。いや正確には、フランと萃香が空を飛んで、麟はビルを全身を使ってよじ登り、ビルからビルへ跳ぶ。その跳躍力はまるで、空を飛んでいるようだ。
怪獣が麟を触手で捕まえる。そのまま麟の体にゴーデス細胞を直接流し込むが、麟は口からパワーアップした火炎を触手に向かって吐いた。触手は火炎に包まれて炭になっていく。更に炎は全身を侵食して、軈て怪獣の肉体を炎で包み込んだ。怪獣はボロボロに崩れ落ちて、ゴーデス細胞もろとも燃え尽きた。
「・・・ごめんね。でも、ゴーデス細胞に苦しめられるよりはマシだと思う」
萃香は素手で人型のゴーデス怪獣を次々と殴り飛ばし、怪獣の山を形成する。そして、萃香は口から電撃光線を放つのだが、更に三本の角から更に赤黒い電撃光線を放つ。『マガ迅雷』のカオス怪獣形態による強化光線『カオスマガ迅雷』である。カオスマガ迅雷を受けた人型怪獣達は全身が崩れていき、軈て大爆発と共に消滅した。
「・・・来世では幸せにな」
そしてフランは、自分より何十倍もある巨大なゴーデス怪獣の触手を掴んで投げ飛ばし、角から放つ赤黒い光線『カオス・オキシジェン・デストロイヤー・レイ』をゴーデス怪獣に直撃させる。そしてゴーデス怪獣は大爆発を起こして消滅した。更に、巨人のように大きくなった人間型ゴーデス怪獣達に向けて、レーヴァテインを振り下ろした。人間型ゴーデス怪獣達は悲鳴と共に、レーヴァテインの炎によって焼き尽くされた。
「・・・ごめんね」
三人は犠牲者達に謝罪を向けながら、ゴーデス怪獣達を倒していく。途中、カオス怪獣形態となった事で生まれた自分の中にあるゴーデス細胞に対する抗体を、犠牲者に素手を介して注入した事もあった。しかし、抗体は犠牲者の中に入った瞬間、ゴーデス怪獣は全身から灰となってボロボロに崩れ落ちた。
つまり、彼等はもう助からない。完全な怪獣形態になった彼等は、もう殺すしか無いのだ。
三人が戦い続ける中、イリヤ達が駆け付ける。
「覚悟を決めたよ!私も戦う!」
「グオオオオオオォォォォッ!!!」
そして、彼女のサーヴァント達も駆け付ける。但し、彼等の手元にはそれぞれ一粒の錠剤がある。
「三分だけなんだよね?でも、彼等を出来る限り救ってあげたい!行こう!皆!」
イリヤがカオスヘッダー入りの錠剤を口にする。更に、バーサーカー、アルトリア、エミヤ、ギルガメッシュ、クー・フーリンが錠剤を飲む。その瞬間、彼等の姿が変化する。全身の服が赤く染まり、個体によって姿は違うが、全員の目が赤く染まった。アルトリアの剣は赤く染まり、甲冑もトゲが生えた禍々しい形となる。バーサーカーは髪が赤く染まり、無数の太く鋭いトゲを背中に生やし始める。エミヤはさほど姿は変わらないが、髪が赤く染まり出す。クー・フーリンは四足歩行の化け物になり、両腕が異形の怪物となっていた。ギルガメッシュは全身の黄金鎧が赤く染まり、トゲを生やして胸元に黒い顔のような模様が浮かび上がる。
そしてイリヤは、魔法少女姿から赤黒く禍々しいドレス姿へと変貌し、髪の色も赤く染まる。更に、その手に握り締めたルビーも禍々しい形へと変貌した。
彼等はカオスヘッダーによって変異した。言うなれば『カオスサーヴァント』と言うべきか。
「・・・成る程覚悟を決めたんだね」
「はい!行きましょう!」
こうして、ゴーデス怪獣達に立ち向かった麟とイリヤ達。犠牲者達を弔う為にも、彼等を葬るしかないのだ。
コラボ。後二話で終わります。