ザ・キングダム。ヘカーティアが宿したタルタロスの力で、様々な世界から勧誘した者達で結成された大組織。始めこそ人員も少なく、妖精や鬼達しか人員は居なかった。その上活動資金も足りなかった。
では、その活動資金や給料等はどうやって稼いでいるのか?勿論その方法は一つではない。様々な理由で資金を集めているのだが、その中には別世界の人達を騙して金を大量に入手するインチキ商売も含まれている。
その全てを知る為には、ザ・キングダムをヘカーティアが結成してから間もない頃にまで遡る必要があるだろう。
ある泥棒三人組の子孫達が、最初にザ・キングダムへ勧誘された者達である。
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ドクロベエが倒されて、数日が経過した時間軸。ある一つの家に、一つの大きな黄金の穴が開いた。
「此処で暮らす事を選ぶなんて、ホントにあのドロンボー一味の子孫とは思えないわね。でも今は、彼等の力が必要よ」
そして、ヘカーティアは扉をノックした。
『は、はーい!』
そして、扉が開いて一人の青年が出てきた。
「ボヤッキーの子孫ちゃん、で良いかしら?」
「えっ!?何故それを・・・」
「私はヘカーティア・ラピスラズリ。貴男と、トンズラーの子孫、そして貴男達の主であるドロンジョ達を、勧誘しに来たのよん」
そして、ボヤッキーの子孫であるヴォルトカッツェと名乗る青年に家の中へ案内され、ヘカーティアは家に上がる。
そして、ヘカーティアは三人と向き合う形で正座をする。テーブルに緑茶が入ったコップが四つ置かれている。
「それで、ヘカさんは何で私達を勧誘したいの?」
ヴォルトカッツェやエレパントゥスに挟まれる形で真ん中に座る少女。彼女はレパード。ドロンボー一味の首領ドロンジョの子孫である。
「貴方達ドロンボー一味の力を貸して欲しいの。住む場所も用意する。メカが造れる場所も提供する。貴方達にも仕事を与えるわ」
「それはありがたいが・・・俺達に出来るのか?」
「勿論。貴方達の力が必要なの。ドロンジョ、ボヤッキー、トンズラー」
ヘカーティアがそう告げた。
「断ったらどうしますか?」
「貴方達に用無し。このまま立ち去るだけよ」
「・・・やれやれ、もう少し包んだ言い方をして欲しいですねぇ」
ヴォルトカッツェが頬を掻く。ヘカーティアの言葉のキツさに引いていたのだ。
「・・・ママに謝って来て良い?」
「レパード・・・」
「レパードお嬢様・・・」
レパードが口を開く。ヘカーティアは彼女の答えを待つ。
「ええっ、良いわよ」
三人は立ち上がり、扉に向かって歩き出した。ヘカーティアも後を追うように立ち上がり、歩き出した。
そして、外に出たレパード達は、複数の墓が存在する墓地にやって来た。そして、その中にある一つの墓場にレパードが話し掛ける。
「ママ。ごめんね。私も、ヴォルトカッツェも、エレパントゥスも、やっぱりドロンボーなんだね。でも、私は誓うよ。ご先祖様の信念を継ぐ。そして、ご先祖様の歩んだ道を歩むよ。でも、人殺しになんかならないし、困っている人達は助けて見せる。だからママ。私、行ってくるね」
その時、レパードはある姿を見た。それは、母であるドロシーの姿だ。ドロシーは笑顔を向けて、レパードに語る。
『行ってらっしゃい。レパード、私の天使』
そして、ドロシーの姿が消える。
「・・・ありがとう、ママ!」
そして、レパードはヘカーティアの元を向いて、決意を固める。
「・・・行くよ!ヘカ!私達の力を貸して欲しいなら、どんな事でもするよ!」
その瞳から、固い覚悟と決意を感じたヘカーティア。
「なら、来てくれる?って、ええっ!?」
ヘカーティアは驚いた。三人の服装が変わっていたのだ。ヘカーティアが瞬きをする間に、三人の服装はかのドロンボー一味に似た服装を身に付けていた。特にレパード/ドロンジョは木の箱に乗って仁王立ちしていた。
「私は、ドロンジョ!!」
「ボヤッキー!!」
「トンズラー!!」
「「「私/俺達は、ドロンボー!!」」」
その時、ヘカーティアは目の前の三人がかの伝説のドロンボー一味に見えたのだ。
(ふふっ。此は、中々の逸材ね。伝説のドロンボー一味の子孫、見せてもらうわ)
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そして、結成から数年経過した頃。それは、モンスターバースの幻想郷では永夜異変が始まった頃である。
その時、ドロンジョことレパード達ドロンボー一味はインチキ商売を始めていた。但し、一般人が対象ではない。ターゲットは富裕層。中でも悪徳な方法に手を染めている富裕層を主なターゲットにした、現代機器を活用したインチキ商売である。
ドロンボー一味は、戦闘を行う班に属している訳ではない。彼等が担当しているのは、異世界へ赴いて目的の物を回収する遠征班だ。そしてその過程で、インチキ商売を行っている。そのインチキ商売で手に入れた金はザ・キングダムの資金にも回されているが、彼女達の給料にもなっている。
「はい。そちらへ振り込んでください!振込次第、すぐさまドロンボ宅急便が荷物をお届け致します!」
ボヤッキーことヴォルトカッツェは、スマホを片手に会話をしていた。
そして、ヴォルトカッツェは通話を切った後に空中の画面を操作する。
「完了しました!後は此方を、宅配物として贈るだけです!」
「良くやったねボヤッキー!天才!」
ドロンジョことレパードがヴォルトカッツェを褒める。
今回のターゲットは、金に物を言わせる貴族が相手だ。
彼等は腐った富裕層を相手に、インチキ商売を行っていた。最初こそ慣れなくて失敗を繰り返すが、数年の内に今やインチキ商売のプロになっていた。
今回のインチキ商売は、宅配業である。
そして今回も、成功である。彼等の手元には、悪徳貴族を騙して得た大量の金貨が百十メートルプール一杯分も集まっていた。ドロンボー一味が使う部屋が埋め尽くされる程だ。
「アハハハッ!見た?あの太った貴族の悔しがる姿!実に滑稽だよ!オダ様も見たよね!?アハハハハハッ!」
「ブヒィッ!!」
レパードが金貨の上で足を嬉しそうにばたつかせながら、笑い転げていた。彼女は今や十二歳だ。それなりにスタイルも良くなり、顔も可愛さも残した上でより大人らしい別嬪さを醸し出していた。煙管風のシャボン玉吹き器を吹いてシャボン玉を飛ばす。
レパードの隣で、小さな豚が嬉しそうに跳ねる。彼がオダ様であり、ドロンボー一味、特にレパードのペットである。
「いやー本当に上手く行くものですねぇドロンジョ様」
「ホントだな!今や金貨のプールが出来るぞ!」
ヴォルトカッツェやエレパントゥスも、金貨の海を堪能していた。
金貨の海を堪能する三人の元に、自動ドアを潜ってある人物が入ってきた。
「やるじゃない。貴方達、異世界中で大人気よん。悪徳貴族を嫌う連中からは特に大人気よん。そんな彼等からは人気無いけど」
ヘカーティアである。
「さて、貴方達に新しいターゲットを出すわ。今度はかなりヤバい貴族よ。天竜人っていう貴族が相手だけど、貴方達ならやれるわよね?」
「当然だよヘカ!!ドロンボーが居る限り!!」
「「この世に悪徳貴族は栄えない!!」」
此れが、ヘカーティアがザ・キングダムへ最初に勧誘した新生ドロンボー一味である。
そして、この三人も怪獣──いや正確には怪獣と同等の強さを持つロボットを宿しているのだ。エレパントゥスは、戦国時代にタイムスリップしたヴィラン達が建設した機械仕掛けの城が五つ合体した巨大ロボットを宿した。ヴォルトカッツェは、最終的にヴィヴラニウムで構成された金属ボディを持った人工知能である。そしてレパードが宿したのは、ドロンボー一味を模したドロンボーメカを宿している。そしてレパードが宿したドロンボーメカと、宿したレパード自身には、秘めたもう一つの能力が存在する。それはまた、別の機会に見せるとしよう。
専用ED『天才ドロンボー(新生ドロンボーver):レパード、ヴォルトカッツェ、エレパントゥスcover』
↑この新生ドロンボーが歌ってると思って頂ければ。