東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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後日談・その3:氷の女戦士

グロムは香霖堂に居る者全員を表に出した。此から戦う為にも、相手の店を破壊するような真似は出来なかったからだ。

 

戦う場所は、月明かりが明るく照らす平野だ。セルヴァム化し凶暴化した妖精達の気配が無い、魔法の森の数少ない安全地帯だ。其処が、グロムの選んだ決戦の場所だ。

 

グロムは道中で、自分の疑問を考え始める。

 

(・・・昔から疑問だった。一族は今までウルトラマンと戦ってきた。特に父は、皇帝を復活させて全てを滅亡させようとした。でも、私には解らなかった。ウルトラマンはそんなに戦わなければならない相手?それに、全部滅ぼすって事は・・・私の事も、自分の事も、全部消してしまおうという事じゃないかって。父は私を愛してなかったの?私や母より、皇帝っていう奴の方が大切なの?ウルトラマンメビウスに倒されたと聞いた時、最低だけど『ざまあみろ』と思ってしまった・・・)

 

しかし、当時のグロムに、『ざまあみろ』という気持ちと共に複数の感情が芽生え出した。具体的には二つ。一つはウルトラマン達への憎しみ。自分や母を大切にしなかったとはいえ、自分の唯一の父親が殺されたのだ。恨まない訳がない。しかし、もう一つの感情がグロムを苦しめていた。それは『慈悲』だった。相手を許し、相手を慈しむ感情だ。

 

グロムはウルトラマン達を憎む反面、許してやりたい気持ちも芽生えてる。

 

どちらに身を委ねるべきか、グロムには決められなかった。

 

だから、ウルトラマン達と戦い、答えを見出だす。

 

その為に、仇であるメビウスの友であるヒカリ。そしてトライスクワッドというチームのウルトラマン三名と戦う。もし自分が勝てば、モヤモヤしたままでもフェレス達に協力する。勝ったからそうすると割り切るだけだ。しかし、負けた後は?負けた後、自分はどうすれば良い?

 

いっそのこと、彼等に聞いてみるのも良いだろう。

 

しかし、負けるつもりは無い。勝負を挑んだ以上、全力でやっつける。

 

そして、グロムは霖之助達を平野に連れてきて、彼等の元を向いた。

 

「どうかしら?此処なら誰にも邪魔されない、そして一対四でも闘える、最高の場所よ?幻想郷に来る前、フェレスに貰った幻想郷の地理が載った地図で調べたのよ」

 

「態々調べてくれるなんて、それほど君はヒカリさんと戦いたかったのかい?」

 

「そうね。本当ならメビウスと戦いたかったけど、この際ウルトラマンなら誰でも良いわ。でも、ウルトラマンヒカリが居たのは幸運だったわね。メビウスではないけど、仇討ちはさせてもらうわよ。それに、この幻想郷の決闘法は聞いたわ。モンスターバトルだったわね?そのルールに従うわよ」

 

自分が今からやる事が正しいかは分からない。しかし、言った以上は負けない限り最後までやる。そう決めたのだから。

 

「さあ、行くわよ!!』

 

グロムの身体を吹雪が包み込む。そして、グロムを包み込む吹雪は五十五メートルにまで大きくなった後、霧散して消える。そして、鎧のような姿をしたスタイリッシュな女のグローザ星系人が姿を現した。

 

『闘いなさい!でなければ、幻想郷を凍らせてやるわ』

 

グロムが地面に降り立つ。大地が揺れだし、彼女の足元の草原が凍り始めた。触れただけで凍らせたのだ。

 

「そんな事、させるわけ無いでしょ!タイガさん!行くわよ!!」

 

『ああっ!行くぜ!皆!!』

 

『『『ああっ/ええっ/おうよ!!』』』

 

そして、霖之助がナイトブレスからナイトブレードを引き抜き、再びナイトブレスに差し込んだ。そして、ナイトブレスを翳して霖之助はその名を叫ぶ。

 

「ヒカリイイイィィィッッ!!」

 

そして、霖之助が光に包まれて、一人のウルトラマンが姿を現した。ウルトラマンヒカリである。

 

そして、サニー、ルナ、スターの三人もそれぞれ右手に『タイガスパーク』を光と共に装着し、それぞれのタイガスパークの下部にあるレバーを左手でスライドさせた。

 

『『『カモン!』』』

 

そして三人は、腰に着けた変身用のキーホルダー型のアイテム『ウルトラタイガアクセサリー』をそれぞれ手に取った。各ウルトラマンの胸部に頭部が付いたような細長い形状をしている。此をサニー達が持つ限り、タイガ達との会話が可能である。

 

「光の勇者、タイガ!」

 

「力の賢者、タイタス!」

 

「風の覇者、フーマ!」

 

サニーはタイガキーホルダー、ルナはタイタスキーホルダー、スターはフーマキーホルダーをそれぞれ右手で掴んで、握り締める。その瞬間、それぞれのキーホルダーから光が流れ出て、それぞれのタイガスパークに流れ込んでいく。そして、キーホルダーを握り締めた右手を背後に大きく振り上げ、それぞれ掛け声を上げながら真上に右手を突き上げた。

 

「「「バディ・・・ゴー!!!」」」

 

そして、それぞれのタイガスパークから光が放たれる。赤、黄色、青の光がそれぞれのタイガスパークから放たれる。

 

『ウルトラマンタイガ!』

 

『ウルトラマンタイタス!』

 

『ウルトラマンフーマ!』

 

そして、タイガとタイタス、フーマの三人が光と共に現れる。

 

そして、四人のウルトラマンが平野に降り立ち、大量の土が衝撃で浮き上がり、再び地面に落ちた。

 

『・・・さて、審判は・・・朱鷺子、頼めるか?』

 

ヒカリが朱鷺子に尋ねた。朱鷺子は怪獣娘形態となって両腕の翼と背中の翼でそれぞれ羽ばたいて、ウルトラマン達とグロムの真上を飛んでいた。朱鷺子は大きな声を出して告げる。

 

「じゃあ私が審判をやるよお!皆構えてー!」

 

朱鷺子がそう叫んだ後、ウルトラマン達とグロムがそれぞれ構え始めた。ウルトラマン達はそれぞれの構えだが、グロムはキックボクシングスタイルの構えを取っていた。

 

「行くよ!!レディー・・・・ファイト!!」

 

朱鷺子がそう叫んだ瞬間、グロムがウルトラマン達に向かって走り出した。鎧のような姿からは想像も出来ない足の速さで、四人のウルトラマンの前に出てきた。

 

そして、左の拳でヒカリの下顎を殴り飛ばそうとする。

 

『速い!』

 

しかし、ヒカリはグロムの左アッパーを避けた。頭を後ろに傾けて、グロムのアッパーを避ける。しかし、ボクシングスタイルの構えへ即座に戻ったグロムは、その構えを取りながら軽快なステップで距離を取り、ウルトラマン達の周囲をステップしながら移動する。

 

『やるな!なら俺が行くぜ!』

 

フーマが走り出す。フーマが高速で移動してグロムに迫る。グロムもフーマの速さに驚くが、フーマの高速の手刀を軽快に避けていくグロム。そして、左ジャブを放ってフーマの頬を殴ろうとした。しかし、フーマは突然の攻撃にも関わらず、グロムの左ジャブをしゃがんで避けた。しかし、グロムも負けてはいない。フーマの左ジャブを避けられても、そのまま膝蹴りでフーマの腹を狙う。

 

『フーマさん!』

 

『未来視サンキュー!!』

 

しかし、スターの未来視によって腹への攻撃も見抜いたフーマによって、繰り出した膝は両手で掴まれて止められた。

 

『なっ!?』

 

グロムは距離を離した。フーマが自分の攻撃を止める程の力があるから、ではない。先程の攻撃は無意識にやり、フーマに止められた事で初めて自覚した。しかし、そんな不意打ちにも対応したフーマの反射神経に驚愕していたのだ。否、ウルトラマンとはいえ反射神経があまりにも速すぎる。まるで、()()()()()()()()()()()()()()

 

まさか・・・。

 

『未来視なんてズルいじゃない。おっと!』

 

グロムはステップをして避けた。それは、タイタスの繰り出した拳だった。何故か分からないが、当たれば危ない気がしたのだ。

 

『避けたか!』

 

『惜しいですわ!』

 

タイタスは拳を繰り出すが、フーマよりも遅い為かグロムにとってやり易い相手だった。タイタスの拳を避けて、両拳で同時に殴る暇すらある程に。タイガやフーマに劣るが、タイタスも素早い筈だ。しかし、それでもグロムの速さは尋常ではない。

 

タイタスの右ストレートを叩いて避けた後、右ストレートで胸の中央を殴るグロム。しかしグロムは、殴った感触がまるで硬い金属のようで、ゴムのようでもあると感じた。どれだけ鍛え上げればこんな筋肉が出来るのか?

 

そして、タイガも加わった。タイガはパワーや速度はフーマに劣るが、総合戦闘力は二人を超えていた。恐らく、ヒカリと同等かそれに近い実力者。

 

グロムは感じていた。自分の憎しみや覚悟がどうでも良い位の、ある感情に支配されていた。目が赤く染まってきており、全身が赤黒く染まっていく。

 

『・・・楽しい!楽しいわよウルトラマン!仇討ちがどうでも良くなって来るわ!!もっと闘いましょう!!もっと殺りましょう!!アハハハハハハハ!!』

 

しかし、ウルトラマン達や彼等を宿す霖之助、光の三妖精は、グロムの事を哀しい目で見ていた。

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