東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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後日談・その4:氷の女戦士

麟達は香霖堂にやって来たが、鍵が掛かっており、中に入れない。耳を澄ませても音や声もしない為、誰も居ないと理解出来る。

 

「何処に行ったんだろ?」

 

「店の中にも居ないしな」

 

萃香が霧の状態から元に戻る。どんな施錠も意味が無い侵入手段だが、今回はそうも言ってられない。

 

「麟!萃香!」

 

ルナサが空を飛びながら二人を呼ぶ。

 

「彼処!平野で五人の巨人が戦ってるわ!四人はウルトラマン達よ!きっとさっきの女と闘ってるんだわ!」

 

「ありがとうルナサさん!行こう!萃香!」

 

「ああっ!捕まってろ!」

 

麟は萃香の両手に掴まり、萃香に引っ張られながら空を飛んだ。空を飛べない麟が、ジラライザーによる変身を使わずに翼も無く空を移動する手段だ。

 

そして、麟達は進む。巨人達が戦っている、その場所へ。

 

──────────────────────

 

その時、グロムとヒカリ、トライスクワッドの戦闘はグロムが四人を相手に大立回りを演じる形となっていた。彼等の体のあちこちに、殴られた痕が凍った形で出来ていた。

 

グロムはタイガの拳を避けた後、左ジャブをタイガの下顎に当てる。

 

『ぐはっ!?』

 

『強い・・・この女強すぎるわよ・・・』

 

タイガだけでない。サニーもダメージを負っている。二人の殴られた下顎の凹みが、凍って戻らない。

 

グロムは四人のウルトラマンが束になって掛かっても、其処までダメージを与えられない。グローザ星系人特有の再生能力により、肉体が何度でも再生してしまう。その為、一撃の元に吹き飛ばさなくてはならない。しかし、ヒカリはグローザムの娘であるグロムは、グローザムとは違う危険性を感じていた。それは、ヒカリにとって見抜くのは容易い事であったが、それ故に手出しが難しい相手だと理解出来る。

 

『この女の周りの熱が吸収されている!グローザムも複数の惑星を凍らせた強敵だが、彼女は違う!彼女は熱その物を吸収して冷却してしまうのだ!』

 

冷却されれば熱は収まってしまう。

 

『・・・・ははは、楽しいわ!楽しいわよ!ウルトラマン!!もっと・・・ゲホッ!ゴホッ!』

 

グロムの様子が可笑しい。とはいえ、戦い方は理性的だ。全身が赤黒く染まっており、目も赤くなっている。息切れも激しくなっており、グロムの口から涎が滝のように流れ出て来る。但し、出た瞬間に凍って砂粒のように砕け散る。その間に咳き込んでおり、弱っているのが目に見えていた。

 

『なんか可笑しいぜ彼奴・・・まるで、前のお前に近いな』

 

『ああっ、トレギアの罠で俺は闇に堕ちてしまったんだ。あの人、まさか俺と似た感じか?』

 

フーマの言う通り、グロムの様子は嘗てのタイガと似ている。タイガは嘗て、あるウルトラマンの罠によって闇に堕ちてしまった。前の憑依者であるヒロユキや、仲間であるタイタスやフーマのお陰で光を取り戻し、ウルトラマンとして目覚める事が出来た。

 

そしてその事は、サニー達にも話している。ウルトラマンも闇に堕ちる事があると知ったサニー達だが、乗り越える事も出来ると更に学べた。

 

『ねえタイガさん!私達の力で、グロムさんを助けてあげましょう!だって見て!あの人、泣いてるじゃない!!』

 

サニーにそう言われたタイガは、グロムを見た。グロムはヒカリの光剣を避けた後に拳を繰り出し、ヒカリが避けて腕を斬ろうとしてもすぐに引っ込めるという剣と拳の闘いを続けていた。その時のグロムは、笑ってはいたものの、その目から無数の小さな氷の粒が零れ落ちていた。涙が凍っている為だ。

 

『ッ!サニー、俺達の力で、闇に苦しめられたグロムを助けてやるぞ!』

 

『ええっ!タイガさん!』

 

そして、タイタスも走り出した。

 

『ルナ!君の力を通じて、彼女の体内の振動音を感じた!彼女は苦しんでいる!我々の力で助け出す!』

 

『勿論ですわ!行きましょうタイタスさん!』

 

そして、フーマがグロムの背後に回り込んで、彼女の片腕を掴む。フーマの腕が冷えていき、凍っていくのもお構い無しだ。

 

『へへっ!絶対助けてやるぜ!』

 

『行くわよ皆!グロムさんを助けてみせる!』

 

スターは未来を見た。グロムが解放される光景を。闇が祓われる瞬間を。

 

『頼もしくなったな。タイガ、タイタス、フーマ』

 

『それに、光の三妖精達も。ヒカリさん。後はあの六人にお任せしましょう』

 

『ああっ』

 

ヒカリと霖之助は、タイガ達に任せて傍観する事にした。すると、ヒカリの真上から複数の人影が迫ってきた。麟達だ。麟は萃香に掴まって空を飛んでおり、ミスティアや響子、ルナサにメルラン、リリカにレイラは、自力で空を飛んでいた。レイラはまだ麟に憑依しており、麟の隣で浮いている。

 

「ヒカリさ~ん!霖之助さんも!大丈夫ですか!?」

 

麟がヒカリに大声で話し掛けた。

 

『無事だ。霖之助もな』

 

「そうですか」

 

そして、ルナサがヒカリに話し掛ける。

 

「ヒカリ。いざとなったら、リリカに任せるわ。リリカ、頼めるかしら?」

 

「うん・・・怖いけど、やるよ!」

 

リリカが宿す怪獣。否、それは果たして怪獣という概念と捉えて良いのか分からない、謎の存在だ。リリカ自身、此まで一度も使用経験が無いのだ。

 

『ああっ。マックスから話は聞いていた存在だ。光の国でも最重要監視対象の一つになっている』

 

「・・・そうよね。でもルナサ姉さん、心配だわ。リリカが幻想郷を──」

 

「メルラン!」

 

ルナサが怒鳴った。

 

「ご、ごめんなさいルナサ姉さん。そうよね。私達が止めれば良いだけだもの」

 

『リリカお姉ちゃん・・・私達が一緒だからね!』

 

「メルランお姉ちゃん、レイラ・・・ありがとう」

 

リリカは姉妹の優しさに感謝した。

 

そして、グロム戦は最終段階に入った。

 

───────────────────────

 

『離せえええ!!』

 

グロムは全身から冷気の風を放つ。冷気の風は、グロムを背後から押さえ込むフーマを苦しめる。更に、グロムの両腕を握り締めるタイタスにも襲い掛かるが、タイタスの全身は音の振動によってバリアが張られており、冷気がタイタスを凍らせる事が出来ない。

 

とはいえ、破られるのは時間の問題だ。タイタスはルナの力で音のバリアで守っているが、グロムの冷気が強すぎて後十秒で破られるだろう。フーマは根性で持ちこたえているが、カラータイマーの点滅が誰よりも速まっており、残された時間は少ない。

 

『旦那!気合いで耐えるぜ!』

 

『うむ!タイガも急げ!!』

 

『ああっ!!行くぜサニー!!』

 

『ええっ!』

 

そして、サニーはタイガスパークのレバーをスライドした後、腰に付けたタイガキーホルダーを手に取った。先端の二又に分かれた部分に順に触れる。すると、タイガキーホルダーが先端が展開した。

 

『カモン!アース!シャイン!』

 

『『輝きの力を手に!!』』

 

『バディー・・・ゴー!!!』

 

そして、サニーは地球の力を宿す『フォトンアースキーホルダー』を真上に翳した。その瞬間、タイガの全身が黄金の鎧で包み込まれていく。荘厳な姿となったタイガが、グロムに触れた。

 

『ウルトラマンタイガ!フォトンアース!』

 

グロムは全身から冷気を放つが、何故かタイガには通用しない。

 

『俺とサニーの光、そして地球の力でお前を浄化してやる!!』

 

『行くわよタイガさん!』

 

『『ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』』

 

タイガの全身が輝く。サニー自身も全身を太陽よりも輝かせ、その光で周囲を包み込んでいく。

 

『ルナ!届けよう!私の腕力と君の声を!』

 

『ええっ!届いて!私達の声を!』

 

そして、タイタスが全身を輝かせる。更に振動波を全身から放って、グロムを包み込む。

 

『俺達も行くぜ!スター!こいつの闇を晴らしてやろうぜ!』

 

『勿論よフーマさん!何故なら私達は・・・』

 

フーマも全身を輝かせる。星光のように全身を輝かせたフーマ。

 

『『『『『『光の三妖精だからね/トライスクワッドだからな!!』』』』』』

 

そして、グロムの全身から黒い靄が漏れ出ていき、彼女本来の姿が現れていく。赤い目も元の色に戻っていく。

 

『『『ウオオオオオオオオオオオオ!!!』』』

 

『『『ハアアアアアアアアアアアア!!!』』』

 

トライスクワッド、光の三妖精、それぞれの力を解放していく。そして、スターが未来を見た。否、()()()()()()()()()()()()

 

そして、その場を激しい光が包み込んだ。




次回で後日談を終わらせますが、その前にクリスマススペシャルを投稿したいと思います。
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