東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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今回から、『古明地さとりは動かない』を始めます。

OP:『岸辺露伴は動かないテーマソング』


古明地さとりは動かない:年越しの鏡・前編

さとり「古明地さとりです。皆さん、今年も後少しで終わりますね。ですが皆さんは、年越しの日に禁止されている事をご存知ですか?此は、私が大晦日の日にある一家から話を聞いた、年越しにのみ起きる怪異のお話です」

 

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さとりは登校日の授業を終えて、今年最後の教師の仕事も全て終えた。そしてさとりは、こいしと泊まっている宿に向かった。そして、宿で夕食を済ませた後にこいしと共に風呂へ入ると、こいしが思い出したようにこんな話をした。

 

こいし「所でお姉ちゃん、お姉ちゃんは知ってるかな?生徒間で噂になってる、“年越しの鏡”について」

 

さとり「年越しの鏡?ああっ、その話なら聞いた事があるわ」

 

年越しの鏡。それは寺子屋の生徒達が噂をしていた話である。その噂の内容は、“年越しの瞬間に鏡に映る自分を見た時、未来の自分が見える”というものだ。

 

さとり「未来が見えるかぁ。この幻想郷では珍しく無さそうな怪異ね」

 

こいし「うん。それで、年越しに皆で鏡を見ようって話になったんだよ。未来の自分がどんな様子なのか、この目で見ようって事になったの」

 

さとり「そうだったわね。所で、この話は誰がしてたのかしら?」

 

こいし「隣のクラスの橋本君という少年だよ。本名は『橋本達哉』君。この子がその話をして、それから引きこもり始めたんだよ」

 

さとり「ああっ、なんかその話を聞いたわね。登校日で途中で無断帰宅した子が居るって。職員室でも問題になってたわ。麟も頭を悩ませてたわよ」

 

こいし「麟先生も?麟先生も困ってるなら、橋本君の家に行って話をしないと!」

 

さとり「ふふっ。麟の事になるとホントにやる気出すわね。でも私も、話を聞いてみたかったのよね。なら、明日は二人で橋本君に話を聞きに行ってみようかしら?」

 

こいし「うん!」

 

こうして、年越しの鏡の話を広めた橋本君の元へ向かう事にした古明地姉妹。しかし、此処で噂の真相を知る事になるとは、そして二人が鏡の起こす怪異に巻き込まれる事になるとは、誰も思わなかった。

 

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さとり「・・・お母さん。お話を伺えますか?」

 

翌日の昼頃。さとりとこいしは、橋本君の家にやって来た。家にやって来て扉を五回ノックした後、橋本君の母親が出てきて家に案内された。そして、年越しの鏡に付いて話をしに来たとさとりが告げた瞬間、橋本君の母親が顔を青ざめてしまう。

 

そして、応接室となっている和室で、円テーブルにお茶とお菓子を用意してもらい、古明地姉妹はお茶を啜った後にお菓子を食べ始める。そして、橋本君の母親が姉妹と向き合うように座る。

 

因みに息子の橋本達哉は、部屋に閉じ籠って出てこないのだ。その理由も含めて、全てを話してくれる。さとりはすぐに心を読んでも良かったが、此処は敢えて話を聞く事にした。但し、嘘を言ってる可能性もある為、話し始めたら心を読む能力も展開し続ける。

 

達哉の母「・・・すみません。でも達哉は今、誰かに会わせる訳には行かないんです。達哉がその話をしてしまうなんて、余程追い詰められていたのでしょう。ですが、無理も無いかもしれません」

 

さとり「・・・それって、どういう事ですか?達哉君は何を見たのですか?」

 

達哉の母「・・・寺子屋で広まっている『年越しの瞬間に鏡を見ると、自分の未来が見える』という噂ですが、此には誤りがあります。息子が自分以外を一緒にあの世へ連れて行こうとする為に、話を一部だけ変えて話を広めたのです。この話の真実はこうです。『年越しの瞬間に鏡を見ると、()()()()()()()()()()()()()()()()』というものです」

 

古明地姉妹は戦慄した。未来で自分が死ぬ瞬間。確かにそれは、普通なら誰も見たくない光景だ。

 

達哉の母「では、お話しましょう。私と達哉、そして一週間前に亡くなった夫が体験した忌まわしい怪異を────」

 

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去年の大晦日の夜。

 

当時の橋本家は新たな年を迎える為に、家族全員で門松や鏡餅、注連縄等を家中に飾っていた。

 

達哉の母「達哉。後は神棚の掃除よ」

 

達哉「うん!お母さん!」

 

達哉の父「さあ、後少しで年を越すぞ。そしたら皆でお祝いしよう。亡くなったお爺ちゃんやお婆ちゃんにもお酒を分けて上げないとね」

 

橋本家は、祖父母が去年亡くなって今は三人家族となったが、それでも三人で力を合わせて悲しみを乗り越えたお陰で幸せに生きる事が出来た。

 

そして今、神棚の近くにある仏壇に飾られた遺影の傍に置かれた二つの杯に、それぞれ日本酒が注がれた。

 

そして、三人で年越しの瞬間に祈る為に神棚の鏡を見つめて、そして時計が十二時丁度になった。家族全員でその瞬間を祝おうとした、その時だった。

 

神棚の鏡が家族の誰かと視線を合わせるように倒れてきて、達哉の父が鏡を見た。更に異変はまだ続く。お酒を注いでいた達哉の母と達哉は、杯に注がれた酒の表面に映る自分の姿を見た。共通しているのは、自分が映る物を見てしまった事だ。

 

三人はそれぞれ、自分が映る物で見たのは、自分が死ぬ瞬間の映像だった。

 

達哉の父は、自分の心臓の箇所を強く押さえ込みながら道端で倒れる光景。

 

達哉の母は、仏壇に押し潰される光景。

 

そして達哉はなんと、部屋の中でハサミが首に刺さって亡くなっている様子を見た。

 

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さとり「ちょっと待ってください!確か達哉君のお父さんは道端で心臓麻痺を起こされたと聞きましたが、まさかそれが原因だと!?」

 

達哉の母「・・・はい」

 

こいし「そ、そんな事があったんだね・・・」

 

さとりは戦慄した。心を読んでも嘘は付いて無かった。

 

その話を聞くと、生徒達にこの体験をさせる訳には行かない。

 

こいし「私、フランちゃんの所に行ってくる!フランちゃんに止めるよう伝えてくるよ!」

 

さとり「その方が良いわね。麟にも伝えておくし、霊夢にも伝えておくわ」

 

こうして古明地姉妹はそれぞれ分かれて、年越しの瞬間に鏡を含めた自分の姿が映る物を見ないよう伝えに向かう。

 

しかし、さとりはまだ知らない。年越しの鏡の、本当の恐ろしさという物を。

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