東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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前の三人の勧誘は、簡潔な説明にはなりますが、さとうとしおの配下にするつもりです。そしてメインは、最後の柊ナナになります。


勧誘編・その9・前編:巴マミ、ニコル・アマルフィ、黒歌、柊ナナ

~巴マミ、ニコル・アマルフィ、黒歌side~

 

しおはさとうと共に、ヘカーティアの元に来ていた。さとうとしおが暮らしている城は、アブソリュート宮殿を模して建設されたお城であり、新生ドロンボー一味のインチキ商売によって得た金で、ヴォルトカッツェとエレパンティス、そしてザ・キングダムで暮らす鬼達によって建設されたのだ。二人は初め、この城で共に暮らせて満足していた。しかし、以前のタイタン達との闘いでさとうから守られてばかりであった事を、しおは強く気にしていた。

 

しおは、さとうを守る為にヘカーティアに相談した。さとうとしおの住む城のバルコニーで、三人は話し合っている。

 

「さとうを守れるようになりたい?」

 

「うん!さとちゃんは前に、私をおっきな怪獣さん達から守ってくれた!でも、さとちゃんが傷付いたのに、私は何も出来なくて・・・」

 

「そんなに落ち込まないでしおちゃん。私がしおちゃんを守りたかっただけなの。ただそれだけだよ」

 

「・・・そうよん。しお、貴女が気にやむ事でも──」

 

しかし、さとうとヘカーティアの説得も虚しく、しおは大声を上げて自分の意見を主張した。

 

「嫌!もう守られてばかりじゃ嫌!今度は私がさとちゃんを助ける!さとちゃんを守る!私がさとちゃんを守るの!」

 

「・・・何でしおちゃん!私がもっと強くなってしおちゃんを守るから!私が守り続けるから、しおちゃんは戦わないで!」

 

「さとちゃん!私だって守られるだけじゃない!さとちゃんを守る為に私は闘いたい!」

 

「でも、しおちゃんが戦って死んだら・・・私はどうやって生きていけば良いの!?私がもっと強くなってしおちゃんを守るから!」

 

「嫌!さとちゃんは私を守ってくれる!だから今度は、私がさとちゃんを守るんだ!私、もっと強くなってさとちゃんを守りたい!強くなりたい!」

 

その時、さとうはしおから強い覚悟を感じた。その瞳から放たれるのは、さとうがよく知るしおの無邪気な眼光ではなかった。覚悟を決めた強き者の眼光であった。

 

「・・・本気なんだね?しおちゃん」

 

「うん!」

 

「・・・ありがとうしおちゃん。そんなに強い覚悟を踏みにじったら、それこそしおちゃんの為じゃなくなるよ」

 

さとうはしおを抱き締めて、耳元で囁いた。

 

「改めて宜しくね。私のしおちゃん」

 

「っ!うん!宜しく!私のさとちゃん!」

 

改めて二人の絆の強さを感じたヘカーティア。未来に置いても、二人の絆を引き裂ける者は、恐らくこの世に居ないだろう。

 

「ふふっ。二人の強い覚悟、確かに感じたわ。実はこんなことがあろうかと、二人に心強い味方を三名も呼び出しておいたの。入ってきなさい!」

 

ヘカーティアが手を叩いた。すると、二人の前にとある三名の男女が姿を現した。一人は金髪で髪をロールさせた少女。もう一人は少女のような見た目をした、短髪パーマの美少年。そして最後の一人は、猫耳と尻尾を持った黒い着物を身に付けた女性だ。

 

「この子がしおちゃんかしら?私は巴マミ。この城での食事担当よ」

 

「僕はニコル・アマルフィ。城の警備を行うし、リクエストがあれば何か演奏してあげるよ」

 

「私は黒歌だニャ。しおとさとうの戦闘の師範をやらせてもらうニャ!」

 

マミ、ニコル、黒歌の三人だ。この後、ヘカーティアが三人を勧誘した経緯を説明した。此から幻魔王フォーティンブラスを宿したしおの部下となる、三人が勧誘された経緯を。とは言いつつも、三人がザ・キングダムに招かれた経緯は簡単な物だ。

 

先ずはマミ。彼女はとある魔女を倒したと思って油断し、本来ならそのまま喰われてしまう所だった。しかし、ヘカーティアによって喰われそうになるギリギリで助け出され、ザ・キングダムへやって来たのである。

 

次にニコルは、地球へ降下してオーブ連合首長国近海で機体に乗り、アスランのイージスガンダムを援護しようとしたが、反射的に振られたソードストライクのシュベルドゲベールがコックピットに当たりそうになる辺りだ。此処もヘカーティアにギリギリ回収され、ナラクを経由してザ・キングダムにやって来たのだ。

 

最後に黒歌。彼女は妹の白音に罪を背負わせまいと自ら罪を被り、はぐれ悪魔となってさ迷っていた所をヘカーティアによって勧誘されたのだ。白音が大丈夫か不安だったが、ヘカーティアによって未来で彼女が元気にやっている事を知って安心したようだ。

 

三人は良い言い方をすればヘカーティアに救われたのだ。しかし悪い言い方をすれば、誘拐されたのである。

 

「貴女達に宿す力。しお、貴女も宿した存在の記憶に刻まれている筈よん」

 

「クローディアス。ローゼンクランツ。オフィーリア」

 

「正解。貴女達には、此処で見届けてもらうわ。この三人が高等三幻魔を宿す、その時を。アブソリュート粒子、及び適合怪獣、注入!」

 

そして、ヘカーティアが空中に出現させたホログラムの画面に触れて、マミ達の画面を押した後に真ん中の輪の中心を押した。その瞬間、マミ、ニコル、黒歌の三人に金色の粒子が降り注ぎ、更にその中に紛れた三つの人魂のような形をした異形が、三人の体に入り込んでいく。

 

マミに宿ったのは、高等三幻魔の一体ローゼンクランツ。蠅をイメージした学者服のような姿となっている。

 

ニコルには、高等三幻魔の一体クローディアス。ニコルの姿はムカデのような鎧を全身に纏っている。

 

そして黒歌には、高等三幻魔の一体オフィーリア。蛾をイメージした花魁(おいらん)のような姿となっている。

 

「さあ、此でアブソリュート粒子の注入は終わり。宿した怪獣も、それぞれの適性に似合う者よん。しお。今日からこの三人が貴女の部下よん。とは言っても、さとう。貴女がしおを傍で支えてあげなさい」

 

「分かってる。しおちゃん、三人に挨拶をしよう」

 

「うん!私、神戸しお!此から宜しくね!マミちゃん!ニコちゃん!黒ちゃん!」

 

しおに渾名(マミはそのままだが)で呼ばれた三人は、しおの明るい笑顔に胸がときめいた。この子の部下になるなら、それも良いと思えたのだ。

 

「・・・松坂さとう。しおちゃんを苛めたら、ただしゃおかないから」

 

その時、さとうは頭に狼の耳を、腰からは狼の尻尾を生やし、首元は白い毛皮に覆われている。その下には、白いセーラー服を着ている。狼王ギネスの眼光をさとうは放ち、三人は冷や汗を流した。

 

「そ、そんな事しないわ!私達を信じて!」

 

「うん。僕もそのつもりは無いよ」

 

「ホントだニャ!信じて頂戴!」

 

「・・・『狼王の探索(ギネスサーチ)』」

 

その瞬間、三人はその場に倒れた。まるで魂が抜けたように、全身が真っ白になって痩せている。

 

「・・・っ!そう・・・後で謝らせて頂戴」

 

「さとちゃん?」

 

「・・・しおちゃん。この人達を、貴女の部下とする事を認めます」

 

「っ!ホントに!?」

 

「うん!」

 

こうして、さとうも公認の上でしおの部下となったマミ、ニコル、黒歌の三名。マミやニコル、黒歌は自分の主であるしおより、「しおちゃんで良いよ」と言われて堅苦しくする必要が無くなった上に、妹のような存在が出来て新たな幸せを掴めたと実感出来た。

 

──────────────────────

 

~柊ナナside~

 

「いや・・・嫌だああああああああ!!ああああああああああああああああっっ!!!」

 

ある島で、一人の少女の亡骸に寄り添いながら大泣きする一人の少女の姿があった。

 

「ミチル・・・私の・・・初めての友達・・・うああああああああああああっっ!!」

 

何故こうなってしまったのか?簡潔に述べるなら、幽体離脱の快楽殺人鬼により少女───犬飼ミチルが殺されそうになった所を少女が庇い、ミチルを守る為に彼女へ自分が殺人者と告げてその場から逃がした。ある男に協力してもらい、殺人鬼を止められたものの、少女──柊ナナは死にかける。しかし、自分の事を知ったにも関わらず、ミチルは自分を救う為にその命を犠牲にした。そして、その死を嘆いていた。

 

本来なら柊ナナの運命は、後悔の念に押し潰されそうになりながら苦しみ続けながら生きる事になる。あまりにも残酷な運命が、彼女に襲い掛かるだろう。

 

しかし、ナナの運命はこの瞬間に変わる。

 

ナナの元に、三人の女性が姿を現した。一人はヘカーティア。二人目が彩菜。そして最後の一人が両姫だった。ヘカーティアを除く全員が、怪獣娘形態に変身している。彩菜はカルミラを模したスーツを。両姫はゴルバーを模した鎧を纏った。

 

「・・・初めて出来た友達を、こんな形で失って辛いでしょう」

 

「・・・何だ?お前達は?」

 

「私は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスの契約者にして、地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリ。このエッチなスーツの子が藤沢彩菜ちゃん。此方が彩菜ちゃんの部下の両姫ちゃんよ」

 

「エッチは余計よ」

 

「うーん。彩菜ちゃんは私を部下と思ってないのよね~。友達として接して良いって言われたし~」

 

ナナは三人を睨む。

 

「何なんだ!?究極生命体とか契約者とか、地獄の女神とか、何なんださっきから!?お前達も人類の敵なのか!?」

 

ナナが怒鳴り始める。それほどまでに、友を失ったショックが大きいのだ。

 

「人類の敵、ねぇ。私はそんなつもりは無いわよん。寧ろ私は、この先待っている貴女の未来を見せに来たのよん。そして貴女の求める真実を、私は知っているわ!」

 

そして、ヘカーティアは両手を重ねて手の甲にある宝石を光らせた後、人差し指をナナの額に当てる。

 

その瞬間、ナナの頭に流れ込んできた。

 

其処には、未来の自分が辿る結末や真実、そして自分を操る者の正体が、百パーセントのリアリティーとしてナナに伝わっていくのだった。




長くなるので、後編に分けます!
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