東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第178話

その頃、上空を飛んでいた聖輦船は、突然発生した台風の影響により、航路が乱れていた。雨風を受けた聖輦船の甲板で、船員風の少女が舵を強く握っていた。

 

「うおおおぉぉぉぉっ!!船長魂いィィィィ!!」

 

彼女の名前は『村紗水蜜』。嘗て水難事故により無くなった霊で、船幽霊となって活動し続けて来たが、白蓮に出会った事で解放され、こうして白蓮の復活に向けて動き出したのだ。寅丸星からはムラサ。輪入道の雲山や一輪からもムラサと呼ばれている。ナズーリンに至っては、ムラサ船長若しくは船長呼びだ。ぬえもまた、ムラサと呼んでいる。

 

そして今、ムラサは船長として船を任されている。そんなムラサもまた、主力メンバーと同じく怪獣を宿しているのだ。宇宙人の手により改造された無数の沈没船の残骸から作られ、主に戦艦大和をベースとしているのだ。

 

「ムラサ!左から吹き飛ばされた大岩が20個も迫ってくるわ!風が強すぎて雲山が動けない!!」

 

「面舵一杯!」

 

「オモーカージイッパーイ!」

 

一輪が危険を知らせ、星が指示を出す。ムラサが号令を掛けながら舵を回し、船の進路を30度変更する。そして、聖輦船に飛んできた大岩は全て擦れ擦れで通り過ぎて行った。

 

「モドーセー!」

 

ムラサが号令を出し、船を元の状態に戻す。

 

「星ちゃん!万が一の時は、()()()()()()()!」

 

「勿論です。先程、ナズから念話が送られました。どうやら私達の事を察知した方々が居るようです。ならば、()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()

 

ムラサの提案に乗る事にした星。

 

「ナズがやられた以上、我々も備えなくてはなりません」

 

「でも、この嵐…いや台風を越えなきゃ魔界に行けないよ!私に任せて!船幽霊になった私だけど、船長としてどんな嵐が来ようとも、逆に利用して派手に航海してやる!」

 

ムラサがそう叫んだ。ムラサがそう叫んだ後、激しくなり始めた突風と豪雨、落雷の中を聖輦船は進み続ける。ワーバット達も、聖輦船の後を付いて行く。

 

台風が起こす暴風を、聖輦船は突き進む。誰もが船長の決めた航路を信じている。

 

そして、後から追いかけて来る者達も、それは同じであった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

そして、霊夢と早苗、そして小傘と審判を務めるラステルの話に戻る。

 

ラステルは、小傘の大規模な攻撃に冷や汗を流し、豪雨と暴風の二段攻撃に耐えながら審判を続けた。

 

(小傘、本気で幻想郷を吹き飛ばすつもり!?)

 

小傘は優しい妖怪だ。幻想郷を崩壊させるような事をして彼女に何の得があるのだろうか?

 

「…小傘、何を考えてるのよ?」

 

そんなラステルの心配を他所に、小傘は霊夢や早苗を相手にしていた。傘を回転させ続けて、台風を引き起こしていく。

 

「ほらほら〜早くしないと台風強くなるよ〜」

 

小傘は台風の中を飛びながら、霊夢や早苗の攻撃を避けながら、二人に攻撃を仕掛ける。

 

「『ペダニウムマタージ』!」

 

早苗が自身から星が刻まれたミサイルを出現させ、周囲に拡散させた。そして、ミサイルは小傘に向かって飛んでいくが、あまりの暴風にミサイルは全て吹き飛ばれてしまう。

 

「『煉獄・夢想封印』!」

 

霊夢は炎に包み込まれた陰陽玉を複数展開し、小傘に向かって飛ばした。

 

「『バキュームバリケーン』!」

 

小傘は口を窄めた後、霊夢の飛ばした陰陽玉を全て吸い込んだ。数万度もあるスペシウム光線も吸い込んでしまうバリケーンの吸収能力だ。

 

「嘘ッ!?」

 

「ほら!どんどん速くなるよ!」

 

小傘が傘の回転を速めた。更に台風は勢いを増していき、軈て岩や木々が吹き飛ばされていき、妖怪の山では地滑りが起き始めた。本来風が発生しただけでは地滑りは起きないのだが、台風による豪雨によって地面が柔らかくなり、地滑りが発生しているのだ。

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

悲鳴が聞こえた。妖精達だ。彼女達も暴風に吹き飛ばされていき、台風に巻き込まれていく。

 

このままでは、小傘の言う通り、幻想郷は小傘の台風で更地となってしまうだろう。

 

とはいえ、モンスターバトルを始めてから5分も経過しているが、未だに小傘へダメージが与えられない。

 

すると、早苗は懐からある物を取り出した。それは、にとりから渡された『ハイパーモリヤガン』であった。

 

「神奈子様!力をお借りします!」

 

そして、神奈子の絵が描かれたハイパーモリヤキーのスイッチを押した。

 

『八坂神奈子!』

 

そして、ハイパーモリヤガンの下部にマガジンのようにセットした。

 

『ブートアップ!建御名方!』

 

「喰らえ!!」

 

早苗は小傘、ではなく台風に照準を構えた。小傘は攻撃しようと傘の触手から電撃を放とうとした。しかし、何故か小傘は電撃を止めた。

 

「ッ?」

 

霊夢は、小傘が攻撃を止めた事に疑問を抱く。今の早苗を狙うには絶好のチャンスだと言うのに。

 

そして、早苗はトリガーを引いて、神奈子の力が込められた光弾を台風の目に向けて撃った。

 

風と雷を纏った光弾は台風の目に向かって飛んでいき、軈て飲み込まれる。しかし、台風はまるで内側から爆発した爆弾のように雲が晴れていき、軈て暴風も豪雨も収まり、黒い雲に覆われていた青空が姿を現した。

 

そして、台風の後に出来る虹も上空を覆う程に出来上がった。

 

「……あーあっ。此れじゃわちきに勝ち目ないなぁ」

 

小傘は怪獣娘形態を解いた。二人は驚いた。小傘が突然戦闘を放棄したのである。

 

「もう私の負けだよ。二人がこの先に待ち受ける相手と戦えるって分かったしね。迷惑掛けてごめんね。お詫びは今度きちんとするから」

 

「…じゃあ小傘。迷惑掛けた詫びに、今度奢りなさい」

 

「私からは、あの船が誰を迎えに行ったのか、そして敵がどんな神を降ろしたのか、それを答えてくれる?」

 

「えー。二人共、私の体を好きなように――――」

 

「「結構です!!///////」」

 

こうして、小傘との戦いは幕を閉じた。この後、小傘から船が迎えに行った相手と、その相手が降ろした神の正体を知る事になるのだった。




新技集

『ペダニウムマタージ』
使用者:早苗
早苗の周りに出現させた星を刻んだミサイルを拡散させて、飛ばす技。追尾能力があり、何かに当たらない限り相手を追跡し続けるが、小傘の台風によって吹き飛ばされて無力化された。
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