「クマ…は置いといて!アンタ達、このクマに乗ってんの!?」
霊夢は、クマのメカ――アークマッタナーから少女の声が聴こえてきたとはいえ、このメカに一人しか居るなんて有り得ないと見抜いた。
『あらドロンジョ様。あの巫女さん私達の事を見抜いてますね』
『確かに凄いな。あれが博麗霊夢か。本当に華奢な見た目だが、確かに途轍もない力を感じる』
『確かにね……博麗霊夢!此処は私達に任せて、お前は先に行くんだよ!』
レパードがコックピットから霊夢にそう叫ぶ。
「クマさんのメカなんて最高ですね!私も残ります!クマさんのメカと戦えるなんて最高です!」
「霊夢!アタイも残るよ!霊夢は先に行って!」
「…早苗、チルノ……分かったわ!任せたわよ!」
霊夢はその場から飛んだ。しかし、グロリアーナビショップは霊夢が飛び去るのを見ても、追跡するような事はしなかった。
『ムラサ、追い掛けなくて良いのですか?』
『何となくさ。分かるんだよね。あの巫女は聖に酷い事をしないって。それにさ、足止めを引き受けた此奴等の相手が先だよ!』
ムラサがそう言った瞬間、グロリアーナビショップが両腕を真上に上げて咆哮を上げた。
「さあ、行くよ!喰らえ!『ヴィシュラバースト』!」
ムラサがレバーを押した。その瞬間、グロリアーナビショップがビショップクローをアークマッタナーに向けて、爪から光弾を放った。一発だけでなく、2発、6発と光弾を連射し続ける。
「ボヤッキー!やっておしまい!」
「ガッテン!!喰らえ!『アークマッタクマッタ暴食ベルゼバクバク』!!ポチッとな!」
レパードの指示を受けて、ヴォルトカッツェがボタンを押した。操縦台には既存のボタンとは別に7つのボタンがある。『傲慢』『嫉妬』『暴食』『憤怒』『怠惰』『強欲』『色欲』の7つに分かれたボタンが台にある。今ヴォルトカッツェが押したのは『暴食』のボタンである。このアークマッタナー限定の『七つの大罪ボタン』である。
その瞬間、アークマッタナーの口が開いて、グロリアーナビショップが放つ光弾を口に吸い込んでいく。まるで渦巻きに飲み込まれて行く水のように、光弾は口の中へ吸い込まれて行く。
そして、アークマッタナーのお腹は徐々に大きさへ増していく。光弾を食べ続けるアークマッタナーが徐々に太っていき、最終的にはお腹だけがグロリアーナビショップを徐々に凌ぐ大きさへ膨らんで行く。
「今ですチルノさん!私達も攻撃しますよ!!」
「うん!バックパック分離!」
『洩矢諏訪子!ブートアップ!洩矢神!』
早苗はハイパーモリヤガンの下部に、諏訪子のハイパーモリヤキーをセットした。チルノは肩に担ぐバックパックユニットを分離して上空へ逃し、両脚のジェットを噴射して跳び上がる。
『食らえ!『ダイヤモンドキック』!』
チルノがグロリアーナビショップの左手を蹴った。先程のバリアは見受けられず、チルノの氷を纏って完成した巨大な足に蹴られたグロリアーナビショップの左手。しかし、左手が真上に上がっただけで目視による損傷は確認出来なかった。
「ぐぁ……なんて硬いやつ!」
チルノが涙目になりながら足を抑えた。
「下がってくださいチルノさん!諏訪子様!力をお借りします!」
早苗はハイパーモリヤガンをグロリアーナビショップに向けて構えた。そして、引き金を引いた瞬間に赤く染まった溶岩の弾が銃口から放たれた。
溶岩の弾は先程チルノが蹴ったグロリアーナビショップの左手に直撃した。当たった瞬間に周囲に溶岩が飛び散るが、飛び散らなかった溶岩がグロリアーナビショップの左手を貫いた。貫かれた左手は爪諸共、粉微塵になって吹き飛んだ後に欠片は魔界の地面にボトボトと音を立てながら落ちて行った。
グロリアーナビショップのコックピットで、ムラサが青ざめながらグロリアーナビショップの左手がある方向を見つめる。
「やだぁ!ビショップクローがやられちゃったよぉ!」
「何故!?毘沙門天様の加護を受けたバリアが機能しないなんて!?」
しかし、星はバリアが突き抜けた原因を感付いた。
(まさか先程のマグマ、毘沙門天様と同じく神の力が!?毘沙門天様の加護を突き抜けられる程なんて、そんなの星を丸ごと投げ込むような物!あの緑の巫女、一体何者ですか!?)
しかし、此処でドロンボーのアークマッタナーから追撃を受ける。
『そーれ!『クマッタクマッタ悪魔的クサーイ息攻撃』!』
ヴォルトカッツェの声が響いた瞬間、アークマッタナーの口が開いて其処から淀んだ緑色の煙が直線状に吐き出され、グロリアーナビショップの頭部に直撃した。
「臭っ!?」
「ち!チルノさん!?この臭すぎオロロロロォォッッ!」
チルノは鼻をつまみ、早苗はその場で嘔吐した。
「く、臭い……」
「負けないで臭っ…ください臭っ…此れも修行臭っ…」
グロリアーナビショップも匂いで苦しんでおり、全身から電気を発しながら顔を残った右手で抑えている。コックピット内のムラサや星も匂いで苦しみ出した。某美食漫画の顔面崩壊を想像して欲しいところである。
しかし、レパード達にも影響が無い訳では無かった。
「ボヤッキー…………何で此方も臭く……オエエェェッ!」
アークマッタナーのコックピット内も匂いが充満し、レパードがヴォルトカッツェに問い掛ける最中に、近くのゴミ箱へ嘔吐した。
「いやぁ、このメカは一年間も放置し続けて腐らせたシュールストレミングを5千個も激臭増幅装置に溜め込んだので、この攻撃しちゃうと中も充満しちゃうんです……臭っ!」
「成程そういう事か……オエッ!エホッ!エホッ!」
ヴォルトカッツェはハンカチで鼻を抑え、エレパントゥスは噎せていた。
この様に、カオス化していくメカ合戦。後に到着した魔理沙と成美とラステルは、この戦場に辿り着いた時にこう発言した。
「「「臭っ!?」」」
………である。
新技集
『アークマッタクマッタ暴食ベルゼバクバク』
使用者:新生ドロンボー/アークマッタナー
アークマッタナーの『暴食』ボタンにより発動する技。どんな物も喰らい続ける攻撃であり、更に攻撃を食べる事で防御も行える攻防一体の捕食攻撃。食べれば食べる程にアークマッタナーのお腹が膨らむ。膨らんだお腹を利用した押し潰し攻撃や食べた物をエネルギー弾に変えて吐き出す攻撃も可能。更に、ドロンボーメカお約束の“アレ”の威力にも直結し、お腹の大きさに応じて爆発範囲や威力が増す。
『クマッタクマッタ悪魔的クサーイ息攻撃』
使用者:新生ドロンボー/アークマッタナー
アークマッタナーの口から出す一年間も放置して腐らせたシュールストレミング5千個分の匂いを、激臭増幅装置によって増幅させた臭い息。一度吐き出せば、地獄のような激臭に機械すら苦しめられてしまう、正に悪魔的にクマッタクマッタ息である。