東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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OP:『零れ桜(幽閉サテライト)』


春雪異変の章
第19話


四月の終わり頃。季節は春。今ならば桜を見終える時期の筈なのだ。しかし、今は何故か雪景色が広がっており、桜すら咲いていない。

 

霊夢も異変に気付く。最初は春が遅いのだろうと思っていたのだが、四月の終わり頃になっても雪景色が続いた時点で漸く異変だと気付く。

 

「・・・また異変ね。夏の紅霧異変と言い、何でこうも異変が起きるのかしらね。うう、寒い!」

 

霊夢は防寒着を着て、早速異変解決に動き出す。

 

一方で魔理沙も、寺子屋に居る麟の元へ来ていた。

 

「春だってのにこの雪景色だぜ!冬の妖精やら妖怪やら、活発になってるぜ!」

 

「確かにこの雪景色は異常だね。雪掻きも皆でやってるし、お花見を楽しみにしてる子供達も気分が沈んでるんだよ。チルノは元気だけどね」

 

「だよなあ。チルノは氷の妖精だし、雪景色が続くのが好きなんだろうな」

 

「それと、レミリアやパチュリーが呼んでたよ。魔理沙に助っ人と異変の首謀者の情報があるって」

 

「そーなのか」

 

「ルーミアかよ」

 

「じゃあ案内頼むぜ麟」

 

「スルーすんな」

 

魔理沙をレミリアやパチュリーの元へ案内する麟。二人は寺子屋の職員室で休憩していた。パチュリーは相変わらず本を読んでいるが、足が無い為に車椅子生活のままだ。

 

「いらっしゃい魔理沙。待ってたわ」

 

「おうレミリア。案内ありがとな、麟」

 

「うん。じゃあ僕は、此れから二胡の授業に向かうね」

 

麟は職員室を出て、生徒達の所へ向かった。

 

「パチュリー。今はどうだ?」

 

「足が無いのは不便だけど、レミィが介抱してくれて助かってるわ」

 

「それより魔理沙、麟から聞いてるわね?」

 

「ああっ、私に助っ人が居るってな。それと異変の首謀者の情報もあるって」

 

「その通りよ。パチェ、咲夜」

 

「「ええっ、レミィ/はい、お嬢様」」

 

パチュリーが掌から魔法陣を展開し、咲夜が魔理沙の隣に現れた。

 

「うおっ!?相変わらず驚かすのが好きだよな?咲夜」

 

「私の能力についてご存知の筈ですわ。お忘れかしら?魔理沙」

 

「忘れてないけど、心臓に悪いぜ」

 

魔理沙の言う通り、咲夜は自分が宿した『メカキングギドラ』の他に、自分の能力である『時間を操る程度の能力』によって時間を停止させて、その中を移動して来るのだ。そして時間を動かして姿を現したように見せているのだ。周りからすれば瞬間移動したような感じなので、慣れずに驚いてしまう。

 

「咲夜が貴女の助っ人として共に行くわ。咲夜、魔理沙のサポートを頼むわよ」

 

「かしこまりました。魔理沙、宜しくお願いしますわ」

 

「おう!咲夜が助っ人ならありがたいぜ!それと、異変の首謀者は何処に居るんだ?」

 

魔理沙がパチュリーに尋ねる。パチュリーは掌の魔法陣を広げて、魔法陣に映像を出す。

 

「今の幻想郷は、春が遅い訳じゃないのよ。何者かが幻想郷中から“春”を吸い取っているのよ。何の目的があって吸い取っているのかは不明だけど」

 

「そして吸い取られた春が何処へ向かっているのか、パチェが調べたのよ。そしたら、幻想郷の上空にある『冥界』の入り口に春が吸い込まれているのが明らかになったの」

 

パチュリーが見せた映像。其処には空に出来た穴に、幻想郷中から伸びている桜の花弁一つ一つで構成された川のように揺れる線が吸い込まれていく映像だった。

 

「其処に行けば良いんだな!サンキュー!パチュリー、レミリア!」

 

「あっ!まだ説明を、ってもう行ったわね。咲夜、追いなさい」

 

「はい。お嬢様」

 

魔理沙は職員室を出て中庭に出た後、箒に乗って上空へ飛んで行った。咲夜もレミリアの命により、中庭から空へ飛んで魔理沙を追い掛ける。

 

「全くあの白黒の魔法使いは・・・」

 

「まあ良いじゃない。この異変が終われば紅魔館再建が再開するんだ。後もう少しで直るらしいからな」

 

「そしたら寺子屋の教師を辞めなきゃならないわね。子供達の事を考えると、少し寂しいわね」

 

「なら慰めてやろうか?紅魔館再建出来たら、あの大きなお風呂に入りましょ?二人っきりで」

 

パチュリーが顔を赤くする。

 

「・・・何それ?口説いてるの?」

 

「口説いて居るのよ?」

 

「・・・そういうのは場所と雰囲気を考えて言う物よ」

 

レミリアはパチュリーの太股に頭を乗せながらパチュリーの顔を見て笑う。パチュリーは顔を赤くしながら、レミリアに対してそっぽを向くのだった。

 

──────────────────────

 

「・・・私の勘が告げて居るわね。この方向で間違い無さそうだわ」

 

霊夢は勘で、異変の首謀者らしき人物が居る方向へ向かって飛んでいた。

 

「ん?」

 

霊夢はある者を見つけた。それは、両手首と両足首が毛深い毛皮で覆われている女性であった。

 

「あら?博麗の巫女ね」

 

「アンタは、雪女ね?まさかアンタじゃないわよね?この異変を引き起こしたのって」

 

「そうね。確かに私は雪女。でも、春の訪れを邪魔するような真似は出来ないわ。『ウー』も望まないものね」

 

「ウー?」

 

「私が宿した怪獣、もといある女の子の母親の亡霊よ。彼女は『ウー』と名乗ってたわ。娘の為に動いた、優しい優しい亡霊さん」

 

「成る程。じゃあアンタは、この異変を終わらせようとする私を止めに来たのかしら?」

 

「本当ならそうしたいのだけど、私もウーも、争う事は嫌いだもの。でも誰かの為に戦う事は嫌いじゃないわ。それに、私達では貴女に勝てないもの」

 

「そう。じゃあ行かせて貰うわ」

 

「あっ、博麗の巫女、自己紹介と異変の首謀者について教えてあげる」

 

女性は霊夢を止めた。しかし、戦う為ではない。

 

「私はレティ・ホワイトロック。雪女であり『伝説怪獣ウー』を宿した妖怪よ。そして異変の首謀者は、恐らく冥界に居るわ。ただ、冥界への門は『プリズムリバー三姉妹』という騒霊三姉妹が護ってるわ、特に三女の力が厄介よ。そして三姉妹の背後に誰かが居るらしいわ。気を付けなさい」

 

「大丈夫よ。パパっとやっつけてくるわ」

 

霊夢は自信満々に言った。そして、そのまま上空へ向かって飛んでいく。

 

レティはその様子を見て居たが、心の中では嫌な予感が過っていた。

 

(・・・何か嫌な予感がするわ・・・胸騒ぎが止まらないわね・・・)

 

レティの姿は、吹雪の中に消えていく。吹雪が収まった後、レティの姿はその場から消えていた。まるで幻であるかのように・・・。




ED:『雪の華(中島美嘉)』
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