東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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龍結晶が出来た理由にオリジナル設定を加えました。


番外編・7:マイクローブ

ティアーユは船を使って作られた気球によって空に浮かぶ研究所で、研究所の所長や研究者と共に、はたての写真を確認していた。

 

「天然の微生物がゴーデス細胞に感染して、こんな突然変異を起こすなんて……」

 

「麟の知ってるマイクローブって奴に似てるけど、ティアーユはコイツどう思うの?」

 

「そうね。人工生命体なら製造データがあれば大抵弱点を割り出せるわ。まあ、製造データが無かったとしても弱点を割り出せるわよ。けど、此れは天然の微生物でしかもゴーデス細胞による突然変異であるなら、私達にはデータが足りないわ。あの地域に生息する微生物に詳しい人が必要よ」

 

すると、研究所の所長が手を上げて、声を上げる。

 

「心当たり、あるワ」

 

「本当!?」

 

ティアーユが所長に尋ねた。

 

「龍結晶の地に存在する結晶。それは、古龍の生体エネルギーが結晶化したものだけど、あれはエネルギーを取り込んだ微生物が増えて出来た物ヨ」

 

「それを見せてくれる?」

 

ティアーユは所長から微生物について詳細に書かれている本を貰った後、本を開いて微生物が乗るページを見ていく。文字はこの世界の物ではあるが、ティアーユはこの世界の文字を一通り学んでいる為、苦もなく読める。

 

その本に書かれた研究情報を見たティアーユは、この世界の学者達がどれ程優秀なのか理解出来た。

 

そして、龍結晶の地に生息する微生物の詳細を知ったティアーユは、麟に通信を繋げ始めた。

 

「麟。ちょっと良い――」

 

『ああっ♥胸ダメェ♥いやぁん♥気持ち良いなぁもう♥こんな感覚初めて♥えへへぇ♥』

 

「えっ?何が――なぁ!?/////」

 

ティアーユは麟の喘ぎ声に首を傾げるが、麟の姿が映像として映った瞬間に、顔を赤くする。其処には全身にマイクローブが取り付き、胸を包み込まれ、全身に纏わりついてしまった麟の姿があった。どうやらピンチのようだ。

 

『いゃあぁん♥ってまたこれぇ!?んむぅーー!?/////』

 

そして、顔も包み込まれて、麟は剥がそうとするがマイクローブは剥がれ落ちない。ティアーユは恥ずかしくて目を反らすが、首を何度も振って平常心を取り戻す。

 

「ッ!平常心平常心……麟ちゃん大丈夫!?///」

 

『―――ッ!!』

 

全身を包み込まれながらも必死に藻掻く麟。どうやら息が出来なくなって苦しんでるようだ。

 

『ーぷはっ!この!気持ち良いけど離れて!』

 

麟は口からパワーブレスを吐いて頭部のマイクローブを焼き殺した後に、体全体に纏わり付くマイクローブへ噛み付き、引き剥がした。

 

すると、麟の体からマイクローブが離れて、周囲の龍結晶へ集まり始めた。ギリギリ全裸になるもビキニのパンティーだけは無事であった麟。仮面は溶けているが、頭のリボンやリボンから糸でぶら下がる4つの赤い玉は無事であった。麟は胸や股関を両手で押さえながら気持ち良かったのか、顔を赤くしながら楽しそうに笑っていた。しかし、すぐに真面目な顔付きに戻って胸を片手で隠しながら走り出す。

 

どうやら麟を窒息させようとしたが、新たな獲物を見つけて麟を後回しにしたらしい。

 

『……ふぅ♥気持ち良かったなぁ♥あっ、ティアーユさんどうしました?』

 

「エッチな目に遭ったのにそんな反応なんて……まあそんな事より、その微生物を倒す方法が解ったわ。突然変異と言っても、元は微生物。死滅させる方法が解ったから、貴女に伝えようと思ったの」

 

『倒し方が!?パパみたいに変なCDとフラスコ使って倒すの!?』

 

「パパ?」

 

『あっ………ごめん……今のはジラが父親と見ているニックさんの事で……僕の父さんの事じゃないですから/////』

 

麟は恥ずかしがる。どうやらジラの記憶にあるニックの事をパパと呼んだ事だけでなく、それをティアーユに聴かれて恥ずかしくなったのだ。

 

「……取り敢えず、私達の方でマイクローブを倒す薬を開発してみるわ。貴女達には時間稼ぎを頼みたいの」

 

『任せて!でも急いでください!』

 

そして、麟は通信を切った。

 

「話を聞いたわね?早速マイクローブを倒す方法を思い付いたわ。この微生物は、一つの脳髄を狙わないと倒せないのよ。其処でよ。麟が話した内容を考えるに、彼女の言うニックという男はコンピューターウイルスであの微生物と似た存在を倒していた。ならあのマイクローブも、似た方法で倒せる筈」

 

「なら、此処を使って頂戴。此処に居る研究者は皆優秀ヨ。アナタの求める設備は無いかもしれないけど、それを補えるかもしれないわ」

 

「ありがとう!じゃあはたて、麟達を援護しに行って!」

 

「了解〜!」

 

そして、はたては出入口から飛び去った。全員が瞬きした瞬間に飛び去っており、はたての速さを改めて理解した。

 

しかしティアーユは知っていた。幻想郷には、はたてより速く飛べる空飛ぶ速さは幻想郷最速の少女が居る事を。

 

(はたてより速い射命丸文……どんな子なのかしら?)

 

そんな疑問を抱きながらも、ティアーユは研究所の研究者達と共にマイクローブを倒せる薬の開発に取り組み始めた。微生物のサンプルが必要なのだが、はたての写真と元の微生物のデータを見れば、例え突然変異しようと微生物の仕組みがよく解る。況してや微生物の事を知ってた麟や、映像越しで見た微生物の仕組みを見ればティアーユにとって弱点を割り出すのは容易い。

 

――――――――――――――――――――――――

 

《渡りの凍て地》

 

その頃、渡りの凍て地では睦美とカールが氷の怪獣と闘っていた。氷山に憑依したスフィアの手により産まれたスフィア合成獣は、全身から冷気を放っており、空中から30メートルの氷柱を生み出してミサイルのように放ってくる。

 

睦美は両手から糸を出して、氷柱を糸で作った網で捕えて、そのまま投げ返す。

 

更に、カールはシュツルムファンゴを解放して、頭部がプロペラになっているファンゴが怪獣に向かって突進していき、怪獣の足を粉々に砕く。しかし、怪獣の足は吹雪を纏って氷雪を作り、足を再生させる。そして、カールはハンマーを放り投げて、怪獣の眉間にめり込ませる。カールは磁力によって怪獣の眉間にめり込んだハンマーを引き寄せ、それを利用して怪獣を前のめりに倒す。

 

そして、睦美は大量の糸を生み出して怪獣の体を拘束した。粘着性のある糸は怪獣を拘束し、徐々に締め上げていく。無論これだけではいずれ抜け出す。狙いはカールのシュツルムによる攻撃である。

 

「やれシュツルム!」

 

カールの指示通りにシュツルムファンゴは怪獣を向いて、『炎』と記されたランプをパトカーランプのように輝かせた。そして、プロペラが赤く輝きながら回転を速めた瞬間、プロペラから炎が放出された。怪獣の全身を覆い尽くす程の炎が放たれ、怪獣は徐々に溶けていった。そして、全身があっという間に溶けて、取り憑いたスフィアも炎で焼かれて砕け散った。

 

「こんなもんだろうよ」

 

「後は、龍結晶の地ですね」

 

古代エジプトの女神とカマキリを合わせたような衣装を纏い、虫の頭部のような王冠を頭に被る睦美の怪獣娘形態。睦美は怪獣娘形態を解いて、分厚いコートを纏った通常形態に戻る。

 

渡りの凍て地での駆除活動を終えた時、二人の隣に黄金の穴が開いて、其処から小傘が姿を現した。寒い為、首にマフラーを巻いて頭に毛皮の帽子を被り、傘を被って水色が基調のコートを纏った寒さ対策のファッションになっている。

 

「援護しに来たよ〜って……もう終わった?」

 

「ええっ。凍て地はもう大丈夫ですよ。小傘ちゃんは用事が終わったのですか?」

 

「そうだよー。ヘカーティア様から用意してもらったしね。でも終わっちゃったのか〜残念残念」

 

「まあな。だが油断は出来ねえ。警戒はしとけよ。それに、お前の力は新大陸を吹き飛ばしかねないからな」

 

並の古龍をも超える台風を起こせる小傘。その力を使えばどうなるのか、小傘自身も解っている。戦場に出ても、小傘は自慢の武器を殆ど使えない。それを使えば、味方すらも巻き込み、周囲の環境をも飲み込んでしまう。

 

「それでどうなってる?」

 

「瘴気の谷では天子さんが無双して、陸珊瑚の台地では累君とユウキちゃんが対処して、大蟻塚の荒地ではエリスちゃんとエミリーちゃんが頑張ってます。残りは龍結晶の地です」

 

「だが、ヤバい相手と闘ってるらしいな」

 

カールが腕輪に表示した映像を見る睦美と小傘。映像はかなり揺れているが、その姿を二人も見る。はたての腕輪からの映像だが其処にはオレンジと赤のスライム状の怪獣が映っており、巨人化したエレンの拳を受け流し、麟の熱線に当たっても再生し、シズさんの光線も効いてる様子が無い。

 

「何コイツ……気持ち悪い……」

 

「此れも、ゴーデス細胞による変異なんでしょうか?」

 

「分かんねえが、コイツはヤバいぜ。俺も全ゾルダートを動かしても勝てるかどうか……」

 

そして、龍結晶の地に戻る。

 

――――――――――――――――――――――――

 

《龍結晶の地》

 

その頃、マイクローブはどんどん自己増殖を繰り返し、大きくなっていく。

 

(どうしよう……詰んだかも……)

 

ほぼ全裸になっていた麟は、露出した胸を両腕で隠しながら、龍結晶を取り込むマイクローブを見つめていた。

 

「薬とやらはまだですか!?」

 

腕輪に語り掛ける麟。

 

『もうすぐ終わるわ!後1分!頑張って!』

 

「お願いしますよ!」

 

麟は走りながらマイクローブに向かって熱線を吐きつつ、ある事を思う。

 

(ニックさん達ヒートシーカーが居たらなぁ……いや、そんな事考えても意味無いか)

 

そんな気持ちを抱いた麟。それ程相手に追い詰められていたのであった。




オリジナル怪獣もとい生物

『ドラゴクローブ』
全長:ミクロ
体重:ミクロ
龍結晶の地に生息する集合微生物。本来は生物の持つ生体エネルギーを取り込んで自身を成長させて増殖し、様々な鉱石や結晶へ変化して形造る変わった性質を持つ。取り込んだ生体エネルギーによって増殖と成長の限度がある。瘴気の谷から地脈に流れる古龍の生体エネルギーを取り込み、自己増殖して龍結晶を形造った。この微生物にも弱点があり、脳髄が存在する部位を体から切り離されるとコロニー全てが死滅する。

因みに、『古明地さとりは動かない』のシナリオを活動報告にて募集してます。
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